表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
19/25

第十九章:異常区域への深層潜入

風間 悠真が雷霆の如き手段で権謀派を粉砕した後、秘境学園内部は完全に風間 悠真時代へと突入した。


密かな掣肘せいちゅうがなくなったことで、風間 悠真は全精力を異常事態の調査に注ぎ込んだ。


朝霧 璃子が持ち込んだ研究会の資料によると、異常事態の区域は拡大を続け、変異怪物の実力も着実に向上しており、一部の変異怪物が初歩的な知能と組織性を示し始めたという報告さえあった。


これらの異常事態は、学園の奥深くに存在する古き封印が緩んでいる兆候であることは明白だった。


そして、封印の下に隠された秘密、および異常エネルギーの本質は、風間 悠真自身の力と生い立ちに深く関わっていた。


虎の穴に深く潜り込み、真相を探る時が来たのだ。


風間 悠真は彼のチーム――里見 心愛、烈火 如歌、艾莉絲、姫月 星華、そして朝霧 璃子を招集した。


生徒会室は臨時の行動指揮センターへと改造され、朝霧 璃子が持ち込んだ精密機器が効率よく稼働し、異常区域のリアルタイムデータを分析していた。


「最新のモニタリングデータによると、異常区域は学園裏手の三号訓練場まで広がっています。」朝霧 璃子はホログラム地図上の赤い区域を指差しながら言った。


「エネルギーの波動は以前よりもさらに強力になり、新たなエネルギー反応も現れています。より高位の変異怪物であると疑われます。」


「より高位の怪物?」艾莉絲は興奮して拳を振った。


「やったね!ちょうど私の新しい技を試せるわ!」


「油断するな、艾莉絲。」姫月 星華は低い声で言った。


「異常区域の環境は非常に複雑で、エネルギーが乱れており、超能力者への影響も大きい。


それに、怪物が知能を持っていれば、さらに手ごわくなる。」


「姫月 星華さんの言う通りよ。」里見 心愛も心配そうに言った。


「異常区域は未知に満ちているから、私たちは注意しなければならないわ。」


風間 悠真は彼の隊員たちを見て、その目に自信の光を宿らせた。


「心配いらない。どんな怪物であろうと、私の前では恐れるに足らない。」


彼は知っていた。


異常事態が深刻化したとはいえ、彼自身の実力向上の速度はそれを上回っていると。


特に【法則感知】とシステムショップの中級権限は、より複雑な状況に対応する能力を彼にもたらしていた。


「今回の作戦の目標は、異常区域の奥深くまで侵入し、異常エネルギーの源を調査し、変異怪物のサンプルを収集することだ。」風間 悠真は言った。


「朝霧は技術サポートと情報分析を担当し、常に我々と連絡を取り合ってくれ。


里見 心愛は補助と治療を担当し、必要に応じて偵察も頼む。


烈火 如歌、艾莉絲、そして姫月 星華、君たちは道中の変異怪物を排除し、自身と里見 心愛を守ってくれ。」


「私については……」風間 悠真は口元に淡い笑みを浮かべた。


「私が全てのトラブルを解決する。」


彼の隊員たちは皆、風間 悠真の実力を熟知しており、彼のこの言葉が決して傲慢ではなく、事実であることを知っていた。


準備が整うと、風間 悠真は彼の小隊を率いて、異常区域へと足を踏み入れた。


異常区域の縁では、空気中に不快なエネルギー波動が満ちていた。


元々青々と茂っていた木々は枯れて歪み、地面は灰色の結晶で覆われ、微かな蛍光を放っていた。


奥へ進むほど、この感覚は強まり、周囲の環境もますます異様になっていった。


異常区域に入って間もなく、彼らは最初の変異怪物群に遭遇した。


これらの怪物は、以前学園内で出現したものとは異なり、体が大きく、エネルギー波動も強く、行動はさらに敏捷だった。


彼らは咆哮しながら、風間 悠真たちに襲いかかった。


「私たちに任せて!」艾莉絲は興奮して前へ飛び出し、全身に眩い電光を放った。


彼女が腕を振るうと、太い雷電が狂ったようにうねる銀色の蛇のように走り、瞬く間に先頭に突進してきた数匹の変異怪物を炭と化した。


烈火 如歌もそれに続き、両手から燃え盛る炎が火の波となり、接近しようとする怪物を焼き尽くした。


彼女の炎は以前よりも純粋で強力であり、風間 悠真の指導の下で確実に向上していた。


姫月 星華は敏捷な豹のように、怪物群の中を駆け巡った。


彼女の体術は熟練の域に達しており、一撃一撃が強力な【崩撃】を伴い、変異怪物を吹き飛ばし、粉砕した。


彼女の動作は簡潔で淀みがなく、極めて効率的だった。


里見 心愛はチームの後方に立ち、常に仲間たちの状況に注意を払っていた。


彼女の手のひらからは淡い白い光が放たれ、傷ついた仲間の治療にいつでも備えていた。


同時に、彼女は自身の補助能力を用い、周囲のエネルギー波動を感知し、隠れた危険を仲間たちに知らせていた。


しかし、彼らが奥へ進むにつれて、遭遇する変異怪物たちはますます強力になり、その数も増えていった。


一部の変異怪物たちは特殊な能力を発揮し始め、エネルギー弾を発射する者、腐食性の毒液を生成する者、さらには姿を消す者までいた。


「注意して!これらの怪物、連携している!」姫月 星華が警告した。


数匹の変異怪物が突如側面から攻撃を仕掛け、烈火 如歌と艾莉絲を回り込み、後方の里見 心愛を直接狙おうとした。


「させない!」烈火 如歌は怒鳴り、巨大な炎の障壁がそそり立ち、怪物の行く手を阻んだ。


艾莉絲もすぐに雷電の領域を放ち、炎の障壁を突破しようとする怪物をその中に閉じ込め、全身を麻痺させて身動きできないようにした。


隊員たちは連携が取れていたが、変異怪物の数と強度は、彼らにかなりのプレッシャーを与えていた。


まさにその時、異常区域の奥深くから、さらに大きな咆哮が響き渡った。


直後、地面が震え始め、巨大な影がゆっくりと彼らの視界に現れた。


それは小型建築物にも匹敵する体躯の変異怪物で、全身を硬い甲殻で覆い、身の毛もよだつようなエネルギー波動を放っていた。


その目は青緑色の光を放ち、怪物に似つかわしくない……知能を宿していることを示していた!


「新たなエネルギー反応を確認!強度はこれまでの怪物の十倍です!」通信機から朝霧 璃子の声が届いた。


その声には微かな厳粛さが混じっていた。


「これは……変異ロード!」姫月 星華の顔色が変わった。


変異ロードは、異常区域で最も強大な存在であり、強力な力だけでなく、初歩的な知能をも持ち、他の変異怪物を指揮して戦わせることができた。


巨大な変異ロードは耳をつんざくような咆哮を上げた。


周囲の変異怪物たちは何らかの召喚に応じたかのように、さらに狂ったように風間 悠真たちに襲いかかった。


「数が多すぎる!」艾莉絲の雷電領域は強力だったが、これほどの数の怪物相手では、少々力不足だった。


烈火 如歌の炎も、瞬時に全ての怪物を焼き尽くすことはできなかった。


姫月 星華は強力ではあったが、変異ロードと周囲の怪物の集中攻撃に、プレッシャーを倍増させていた。


里見 心愛は唇をきつく噛み締め、絶えず仲間のエネルギーを回復させていたが、それだけでは全く足りないことを知っていた。


チームが苦戦に陥っている最中、風間 悠真は一歩前へ踏み出した。


「下がれ。」風間 悠真は淡々とそう言った。


その声は大きくなかったが、一人一人の隊員の耳にはっきりと届いた。


里見 心愛、烈火 如歌、艾莉絲、姫月 星華はためらうことなく、風間 悠真の背後に退いた。


彼らは、風間 悠真が真の力を示す時が来たことを知っていた。


風間 悠真は変異怪物群と巨大な変異ロードの前に立ち、その顔には微塵も恐れる様子はなく、全てを掌握する落ち着きだけがあった。


彼はゆっくりと手を差し出した。


体内の超能力が脈動した。


それは単なる気流ではなく、【法則感知】との融合によって、周囲の空間を絶対的に掌握する力だった!


「【真空領域】。」

目に見えない波動が、風間 悠真を中心として瞬時に拡散した。


その範囲は広く、変異怪物群全体と巨大な変異ロードをもその中に包み込んだ!


全ての変異怪物、そしてその変異ロードも、苦痛に満ちた咆哮を上げた。


彼らの体内のエネルギー波動は乱れ、動きは鈍くなり、まるで何らかの力によって完全に抑圧されたかのようだった。


直後、風間 悠真は心の中で念じ、【風の刃】を発動させた!


無数の、ほとんど見えないほど微細な風の刃が真空領域の中に何もない空間から現れた。


それらは死神の鎌のように、音もなく変異怪物たちの生命を刈り取っていった。


「ザシュッ!ザシュッ!ザシュッ!」

変異怪物たちは悲鳴を上げる間もなく、その体は無数の風の刃によって粉々に切り裂かれ、空中に飛び散る血の雨と肉片へと変わった。


巨大な変異ロードも逃れることはできず、硬い甲殻は風の刃の前では紙のように脆く、容易に切り裂かれた。


わずか一瞬で、変異怪物群全体、そしてあの強力な変異ロードも、風間 悠真一人によって完全に掃討されたのだ!


真空領域が消散し、空気中には濃厚な血の匂いと変異エネルギーの気配が満ちていた。


地面には、先ほど起こった全てを証明するかのように、変異怪物たちの残骸だけが残っていた。


里見 心愛、烈火 如歌、艾莉絲、そして姫月 星華は皆、呆然と風間 悠真を見ていた。


その目には驚愕と崇拝が満ちていた。


風間 悠真が強いことは知っていたが、まさかここまで強いとは!


あの力への掌握、あの瞬時に場を一掃する能力は、まさに神業だった!


通信機から朝霧 璃子の声が届いた。


信じられないというような震えを帯びていた。


「エネルギー波動が……完全に消滅しています!全ての変異怪物、瞬時に消滅しました!」

風間 悠真はその場に立ち尽くし、表情は平静で、まるで取るに足らない些細なことをしたかのように見えた。


彼は異常区域の奥深くに視線を向け、その目に探求の光が宿っていた。


「これらの変異怪物、体内のエネルギー構成が非常に特殊だ。」風間 悠真は脳内でシステムに言った。


「システム、彼らのエネルギーを吸収することは可能か?」


「ピッ!異常エネルギーを感知。宿主のエネルギーと同源性が極めて高いです。システム経験値またはエネルギーポイントに変換して吸収可能です!」

「吸収を開始する!」風間 悠真はためらうことなく指令を下した。


目に見えない吸引力が風間 悠真の体内から放たれ、地面に残された変異怪物の残骸は急速に萎び、純粋なエネルギーとなって風間 悠真に吸収された。


風間 悠真は、体内の力が再び向上したのを感じ、システム経験値バーも猛烈な勢いで伸びていた。


「ピッ!宿主、おめでとうございます。レベルがLV.6に上昇しました!」

「ピッ!異常エネルギーに特殊な情報が含まれていることを感知。解析中……」

風間 悠真の口元に笑みが浮かんだ。


異常エネルギーを吸収するだけでなく、さらに多くの情報まで得られるとは!


異常区域の奥深くには、さらなる秘密と危険が隠されていた。


だが風間 悠真は微塵も恐れなかった。


なぜなら、彼には全てを圧倒する力があり、そしてまだ未熟ながらも、潜在能力に満ち、彼を限りなく信頼するチームがいるからだ。


「先に進むぞ。」風間 悠真は淡々とそう言った。


そして異常区域のさらに奥深くへと足を踏み出した。


彼のチームはその後ろにぴたりと続き、その目には未知への好奇心が宿っていた。


異常事態の根源、古き封印の秘密、そしてその先に待つものへと。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ