第十五章:研究会の挑戦と新たな仲間
風間 悠真が公開アリーナで姫月 星華を圧倒し、その麾下に加えたという知らせは、燃え広がる炎のように、秘境学園の熱狂を完全に点火した。
彼の名前は、もはや単なる伝説ではなく、一つの象徴となった。
絶対的な力、信じられないほどの台頭を象徴する存在となった。
里見 心愛、烈火 如歌、艾莉絲、そして加わったばかりの姫月 星華。
風間 悠真のチームは初期段階の規模を形成しつつあり、どのメンバーも学園で名うての天才ばかりだ。
このような組み合わせは、いかなる勢力も注目せざるを得ないものだった。
しかし、全ての者が風間 悠真の台頭に興奮や畏敬の念を抱いていたわけではない。
学園のもう一方の端では、同じく歴史が古く、実力も侮れない部活動――研究会が、風間 悠真の存在に深い不安と好奇心を抱いていた。
研究会は、武道部のような純粋な力への崇拝とは異なり、超能力の理論研究、科学技術開発、そして戦術分析をより重視していた。
その部員の多くは、頭脳明晰で、超能力と科学技術の融合に長けた「知者」だった。
研究会は学園で最も先進的な実験室と設備を所有し、彼らの科学技術の成果は学園の防衛システムにさえ影響を与え得るものだった。
研究会の会長、その名は朝霧 璃子。
彼女は眼鏡をかけた少女で、なめらかな黒い長髪を持ち、端正な顔立ちと、智慧の光を宿した瞳をしていた。
朝霧 璃子は理論知識が確かなだけでなく、超能力と科学技術を融合させた天才であり、エネルギー分析、力場構築、超能力シミュレーションなどの分野で非凡な造詣を持っていた。
彼女は超能力そのものに強い好奇心を抱き、その本質を解き明かし、科学技術に応用することを切望していた。
朝霧 璃子が風間 悠真に注目したのは、彼が能力テストで測定器を破壊したという報告からだった。
全く測定不能だったその力に関するデータは、彼女に大きな興味を抱かせた。
そして、風間 悠真が示した【真空領域】と【風の刃】は、彼女に超能力の応用における全く新しい可能性を見せた。
研究会の実験室で、朝霧 璃子は核心メンバーを招集した。
スクリーンには、風間 悠真がアリーナで姫月 星華を撃破する録画が映し出されていた。
「会長、この風間 悠真は……あまりにも不可解です。」一人の研究会メンバーが眼鏡を押し上げて言った。
「彼の超能力は『気流』のはずなのに、真空を生成したり、あの恐ろしいほど鋭い風の刃を形成したりできる。これは我々が抱く気流超能力の認識とは全く合致しません。」
「その通りです。彼の力体系は、既存の理論による説明の範囲を既に超えています。」別のメンバーが付け加えた。
「特に姫月 星華への勝利は、能力上の相性を完全に利用したものです。【真空領域】が姫月 星華が【崩撃】や体術を発揮する環境を奪い、そしてあの無形の攻撃で弄ぶ……この戦術的思考もまた、恐ろしい。」
朝霧 璃子はスクリーンに映る風間 悠真を凝視した。
その目には探求の光が宿っていた。
彼女は風間 悠真が示した力に強い好奇心を抱き、それを解剖し、分析し、彼女の研究体系に組み込みたいと切望した。
「彼の能力は、もしかしたらより高次の領域に既に触れているのかもしれない。」朝霧 璃子はゆっくりと言った。
「あの空間の歪曲、力の精緻な制御は、我々が研究している『法則シミュレーション』と深く関係している可能性が高い。」
「法則シミュレーション?」メンバーたちは顔を見合わせた。
それは研究会の最も核心的で、最も極秘の課題だった。
「その通りだ。」朝霧 璃子は頷いた。
「もし風間 悠真の能力を研究できれば、我々の研究に画期的な進展をもたらすかもしれない。」
しかし、風間 悠真の能力を研究するのは容易なことではない。
彼は学園内で卓越した地位にあり、実力も強大だ。
力ずくで彼を捕らえるのは、研究会のスタイルではないことは明らかだった。
「無理に彼を捕らえることはできません。」一人のメンバーが言った。
「我々にその能力があるかどうかも定かでないし、仮に成功したとしても、学園に動揺を招くでしょう。」
「我々には機会が必要だ。」朝霧 璃子の目に鋭い光が閃いた。
「彼の能力を間近で観察し、分析できる機会。彼の限界を試すことができる機会が。」
彼女は振り返り、実験室の中央に置かれた様々なハイテク機器を見た。
口元には自信に満ちた笑みを浮かべた。
「武道部は力の対決を重んじるが、我々研究会には、我々自身のやり方がある。」朝霧 璃子は言った。
「科学技術を使い、戦術を使い、そして罠を使う。」
「会長のおっしゃる意味は……」
「風間 悠真に挑戦を申し込む。」朝霧 璃子は言った。
「だが、それは格闘ではない。……一つの特殊なテストだ。」
間もなく、研究会会長朝霧 璃子が風間 悠真に挑戦を申し込んだという知らせは、再び学園に騒動を巻き起こした。
武道部の挑戦とは異なり、研究会の挑戦はむしろ「招待」に近いものだった。
風間 悠真を研究会の訓練場に招き、一つの「超能力と科学技術の交流テスト」を行うというのだ。
この知らせは生徒たちの好奇心を刺激した。
研究会?彼らは皆、研究をしているだけではないのか?
なぜ騒ぎに加わってきたのだろう?
生徒会室。
風間 悠真はシステムショップを確認し、どの能力やアイテムを交換するか検討していた。
里見 心愛、烈火 如歌、艾莉絲、姫月 星華は皆、傍らで業務を処理したり、修練を行ったりしていた。
「風間 悠真様、研究会から招待状が届きました。」鹿島 小雨がオフィスに入ってきて、一通の書簡を風間 悠真に手渡した。
彼女は今や風間 悠真に業務報告をする役割に完全に順応していた。
風間 悠真は書簡を受け取り、開いた。
内容に目を通すと、彼の口元に遊び心のある笑みが浮かんだ。
「研究会か……」風間 悠真は静かに呟いた。
彼は研究会の存在を知っており、彼らが超能力の研究に深く携わっていることも知っていた。
脳裏にシステムメッセージが響いた。
「ピッ!新たな挑戦/招待イベントを感知!」
「イベント名:研究会のテスト招待」
「イベント説明:研究会会長朝霧 璃子が宿主を研究会訓練場に招待し、超能力と科学技術の交流テストを行います。宿主の能力を観察・分析することを目的とします。」
「イベント報酬:テスト結果に応じて配布。」
「招待を受けますか、宿主?」
風間 悠真の目に探求の光が閃いた。
研究会?
科学技術?
テスト?
これは学園の科学技術レベルを理解し、超能力理論に関するさらなる知識を得る機会かもしれない。
それに、システムもこれをイベントとしてリストアップしているということは、報酬が得られることを意味する。
「受ける。」風間 悠真はためらうことなく脳内で応じた。
彼は鹿島 小雨を見た。「研究会に伝えろ、彼らの招待を受けると。日時と場所は書簡の通りで。」
「承知いたしました。」鹿島 小雨は頷き、研究会が一体何を企んでいるのか、かすかな好奇心を抱いていた。
「風間 悠真様、研究会の者たちは皆賢いし、奇妙な科学技術機器をたくさん持っています。」里見 心愛が少し心配そうに注意を促した。
「分かっている。」風間 悠真は微笑んで言った。
「だが、彼らの科学技術がどこまでできるのか、見てみたいものだ。」
烈火 如歌の目は鋭かった。
「もし彼らが汚い手を使おうとするなら、炎の恐ろしさを教えてやります。」
艾莉絲は興奮して拳を振った。
「やったー!また面白いことになりそう!研究会の人たちって、きっと珍しいものいっぱい持ってるよ!」
姫月 星華は何も言わなかったが、その目には微かな闘志が宿っていた。
彼女は研究会の実力を知っていた。
彼らは手ごわい「知者」の集団なのだ。
風間 悠真は彼の隊員たちを見て、心に温かいものが込み上げた。
彼のチームは、ますます強力に、そして活気に満ちたものになっていた。
三日後、風間 悠真は約束通り、研究会の訓練場へとやってきた。
そこは学園の地下深くにある巨大な空間で、周囲の壁には様々な複雑な配線と機器が張り巡らされ、科学技術的な雰囲気に満ちていた。
研究会会長朝霧 璃子と数名の核心メンバーが、訓練場で待機していた。
朝霧 璃子は眼鏡をかけ、その目には微かな好奇心と探求の色が宿り、風間 悠真を注意深く観察していた。
「風間 悠真さん、研究会へようこそ。」朝霧 璃子は微笑んで言った。
その口調は穏やかで丁寧だった。
「朝霧会長、こんにちは。」風間 悠真は淡々と応じた。
「今回あなたを招待したのは、友好的な交流テストを行うためです。」朝霧 璃子は言った。
「私たちはあなたの超能力に大変興味を持っており、このテストを通じて、その原理と潜在能力を理解したいと考えています。」
「交流テスト?」風間 悠真は眉をひそめた。
「面白そうですね。」
「もちろんです。」朝霧 璃子は言った。
「テスト項目は既に準備できています。どうぞこちらへ。」
朝霧 璃子は風間 悠真を訓練場中央へ連れて行った。
そこは巨大な円形プラットフォームで、平台には様々なセンサーとエネルギー発射装置が設置されていた。
「最初のテスト項目は、エネルギー耐性テストです。」朝霧 璃子は言った。
「あなたに異なる強度のエネルギービームを発射しますので、全力で防いでください。」
朝霧 璃子の言葉が終わると同時に、プラットフォーム周囲のエネルギー発射装置が光を放ち、様々な色のエネルギービームが風間 悠真に向けて発射された!
風間 悠真はその場に立ち尽くし、顔には淡い笑みが浮かんでいた。
彼は【真空領域】や【風の刃】を使うことなく、体内の気流の力を動かし、体中に目に見えない気流の障壁を形成した。
「ドカン!ドカン!ドカン!」
エネルギービームは気流の障壁に激しく衝突し、耳をつんざくような轟音を上げた。
しかし、気流の障壁はまるで堅牢な盾のように、全てのエネルギービームを防ぎ切り、微かな波紋さえ生じさせなかった。
研究会メンバーたちの顔には驚きの表情が浮かんだ。
彼らが発射したエネルギービームは、SS級超能力者の防御を容易に破壊するのに十分な強度だったが、風間 悠真には全く効果がなかったのだ!
「エネルギー強度を上げてください!」朝霧 璃子は冷静に言った。
エネルギー発射装置の光はさらに眩く輝き、発射されるエネルギービームの強度が再び上がった!
しかし、結果は依然として同じだった。
風間 悠真の気流の障壁は、あらゆるエネルギー攻撃を吸収できるかのようで、エネルギービームの強度がどれほど高まっても、貫通することはなかった。
「そんな馬鹿な!」一人の研究会メンバーが驚きの声を上げた。
「彼の気流の障壁は、エネルギー攻撃を完全に吸収できるというのか!?」
朝霧 璃子の目に狂気じみた光が閃いた。
この能力は、彼女の認識を完全に超えていた!
「結構です。エネルギー耐性テストは合格です。」朝霧 璃子は言った。
その口調には微かな興奮が混じっていた。
「次は力場制限テストです。」
プラットフォーム周囲の装置が再び起動し、強力な力場が何もない空間に現れ、風間 悠真をその場に拘束しようとした。
風間 悠真は力場の中心に立ち、その強力な拘束力を感じた。
彼は無理に抵抗せず、心の中で念じ、体内の気流の力が特殊な方法で脈動した。
「ブーン――」
奇妙な波動が風間 悠真の体内から発散され、周囲の力場と共鳴した。
直後、研究会メンバーたちは驚愕して見た。
元々強力だった力場が、歪み、変形し始め、最終的には……崩壊したのだ!
「力場発生器オーバーロード!」
「データ異常!」
研究会メンバーたちは再び衝撃に陥った。
彼らの力場発生器は、学園で最も先進的な設備であり、SSS級超能力者の行動さえ制限できるはずだったが、風間 悠真には全く無効だったのだ!
朝霧 璃子の眼鏡のレンズが光を反射し、彼女は風間 悠真を凝視した。
その目には信じられないという思いが満ちていた。
彼が力場を瓦解させられるというのか?
これは単に力が強大というだけでなく、エネルギー、そして空間の……掌握だ!
「風間 悠真さん、あなたの能力は……本当に驚嘆に値します。」朝霧 璃子は心から感嘆の声を上げた。
その口調には微かな畏敬の念が混じっていた。
「どうやら、我々の科学技術は、まだあなたの力を完全に理解するには至らないようです。」
彼女の心の中では既に決断が下されていた。
風間 悠真の能力は、いかなる研究成果よりも価値がある。
彼女は彼とより緊密な関係を築く方法を考えなければならない。
あるいは……彼のチームに加入するのだ!
「朝霧会長、お褒めいただき恐縮です。」風間 悠真は微笑んで言った。
「あなた方の科学技術も素晴らしい。超能力の別の可能性を見せていただきました。」
彼は知っていた。
彼が絶対的な力で、研究会の「知者」たちを征服したことを。
朝霧 璃子は深く息を吸い込み、その目には揺るぎない光が宿っていた。
「風間 悠真さん、私には厚かましいお願いがあります。」朝霧 璃子は言った。
「私は……あなたのチームに加入したいのです。あなたの能力を間近で研究させていただくと同時に、私の科学技術の知識で、あなたのチームに協力させてください。」
風間 悠真はこの言葉を聞き、口元に満足げな笑みを浮かべた。




