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第十四章:激突!風と崩撃

秘境学園の公開アリーナは、今日、人々の歓声に包まれ、かつてないほどの高揚感に達していた。


巨大な円形アリーナの座席は満員で、通路や端にまでつま先立ちで首を伸ばす生徒がひしめき合っていた。


教師たちや学園上層部も観客席に姿を見せ、その顔には厳粛さと期待が混じっていた。


全ての者の視線はアリーナ中央に集中し、この世紀の対決の主役の登場を待ち望んでいた。


一方は学園の伝統的な力の象徴、武道部部長であり格闘の天才、姫月 星華。


もう一方は、彗星のごとく現れた伝説的人物、生徒会を掌握し、その実力は底知れない、風間 悠真。


この対決は、単なる個人の実力の競い合いに留まらず、二つの異なる力体系、二つの異なる理念の衝突でもあった。


万人の注目の中、まず最初に入場したのは武道部部長、姫月 星華だった。


彼女は簡潔で引き締まった黒い武道着を身につけ、ショートヘアは風になびき、眼差しは刀のように鋭かった。


彼女は落ち着いて力強い足取りでアリーナに入場した。


一歩一歩が、まるで人々の心臓の鼓動を踏むかのようだった。


彼女の後ろには、武道部の核心メンバーたちが続いていた。


彼らの目は狂気に満ち、部長に声援を送りつつ、同時に風間 悠真に対して敵意をむき出しにしていた。


アリーナ内には山鳴りのような歓声と叫び声が響き渡った。


それは武道部メンバーと姫月 星華の支持者たちが彼女を応援する声だった。


「部長、頑張れ!」

「あの風間 悠真を倒せ!」

「武道部最強!」


姫月 星華はアリーナ中央に立ち、周囲の熱い視線と応援の声を感じながら、深く息を吸い込んだ。


体内の【崩撃】超能力が脈動し始め、強力な圧迫感を放ち始めた。


彼女の視線は反対側の入場通路に固定され、その目には闘志が満ちていた。


続いて、反対側の入場通路がゆっくりと開いた。


風間 悠真が落ち着いた足取りで姿を現した。


彼は何の特別な衣装も身につけておらず、いつも通りの簡潔な学園制服姿で、まるで散歩にでも来たかのようだった。


彼の顔には淡い笑みが浮かび、眼差しは平静で、周囲の狂熱的な雰囲気とは鮮明な対比をなしていた。


彼の後ろには、彼の「小隊」である里見 心愛、烈火 如歌、そして艾莉絲が続いていた。


里見 心愛の顔には微かな不安が見えたが、それ以上に風間 悠真への信頼が勝っていた。


烈火 如歌の目は鋭く、どこか見物するような興味を帯びていた。


艾莉絲は興奮して左右を見回しており、まるで盛大なパーティーに参加しているかのようだった。


風間 悠真の出現は、アリーナ内の雰囲気を一瞬にして沈黙させ、その後、さらに熱烈な歓声と悲鳴を爆発させた!


これは風間 悠真の支持者たち、そして純粋に彼の強大な実力に感服した生徒たちが発した声だった。


「風間 悠真様!」

「風間 悠真様、無敵!」

「ぶっ潰せ!」


二つの全く異なる歓声がアリーナ内で交錯し、奇妙な音の波を形成していた。


風間 悠真はゆっくりとアリーナ中央へ歩み寄り、姫月 星華から数十メートル離れた位置に立ち止まった。


彼は姫月 星華から放たれる強大な力波動と、その実体のような闘志を感じ取った。


「姫月 星華さん、こんにちは。」風間 悠真は微笑んで挨拶した。


姫月 星華は返事をせず、ただ鋭い眼差しで彼を睨みつけた。


彼女には、風間 悠真の笑顔が、彼女の力を軽蔑し、無視しているように見えたのだ。


「口答えは無用!」姫月 星華は低い声で言い、標準的な格闘の構えを取った。


全身の筋肉が引き締まり、今にも飛びかかろうとする豹のようだった。


「その力で語れ!」


風間 悠真は肩をすくめ、その顔には相変わらず淡い笑みが浮かんでいた。


彼は知っていた。


姫月 星華のような純粋な格闘家にとって、どんな言葉も無駄であり、力だけが彼女を納得させられるのだと。


「望み通りに。」

審判が試合開始を宣言した!


姫月 星華は矢のように風間 悠真へと突進した!


その速度は極めて速く、一歩一歩が強大な力を秘めており、地面には彼女が踏み出した浅い跡が残っていた。


彼女は右拳を握り締め、全身の【崩撃】超能力が瞬時に拳に凝縮された。


空気は「バチバチ」と音を立てて爆ぜ、まるで空間が彼女の拳によって打ち砕かれるかのようだった!


この一撃には、姫月 星華の最強の力と技術が込められており、彼女が誇る必殺技だった!


彼女は、竜崎 厳のような巨体でさえ、この一撃を正面から受け止めることはできないと信じていた!


しかし、姫月 星華の流星のような恐ろしい一撃に直面しても、風間 悠真はその場に立ち尽くし、微動だにしなかった。


彼はただゆっくりと手を差し出し、そして……そっと握りしめた。


「【真空領域】。」

目に見えない波動が、風間 悠真を中心として瞬時に拡散した。


姫月 星華が風間 悠真から五メートル以内の距離に達した時、彼女は突如として強力な抵抗が何もない空間に現れたのを感じた。


まるで目に見えない壁にぶつかったかのようだった!


その直後、彼女は周囲の空気が瞬時に消え去ったのを感じた!


呼吸は極めて困難になり、体はまるで何らかの力に拘束されたかのようだった。


速度は急減し、動きは鈍くなった。


彼女が拳に凝縮した【崩撃】も、まるで媒体を失ったかのように威力が大幅に減退した。


これは一体何だ!?


姫月 星華は心の中で大きな恐怖を抱いた。


こんな状況に遭遇したのは初めてだった!


彼女の【崩撃】は、最大の威力を発揮するために空気を媒体とする必要があったが、今、周囲は真空と化しているのだ!


彼女はこの束縛から必死に逃れようとしたが、その目に見えない領域は、まるで骨に食らいつく蛆のように、彼女をしっかりと閉じ込めていた。


風間 悠真は真空領域の外に立ち、その顔には依然として淡い笑みが浮かんでいた。


彼は領域の中で藻掻く姫月 星華を見て、一片の憐憫も示さず、ただ全てを掌握する落ち着きがあった。


【真空領域】は、まさに姫月 星華のような近接体術型能力者に対処するための最適な手段だった。


空気を奪い、行動を制限し、彼女たちの誇る近接能力を完全に無効化するのだ。


姫月 星華は真空領域の中でますます激しく藻掻いた。


彼女の顔は酸素不足のために赤く腫れ上がり、額には豆粒大の汗が滲み出た。


彼女は自身の力が急速に消耗していくのを感じたが、風間 悠真は全く傷つくことなく外に立っていた。


「これ……これは一体何なの!?」姫月 星華は苦しそうに喉から数文字を絞り出した。


風間 悠真は微笑んだが、答えなかった。


彼は心の中で念じ、真空領域の範囲が縮小し始め、姫月 星華の活動空間をさらに狭めていった。


姫月 星華は絶望を感じた。


このような環境では、彼女は全く自分の実力を発揮できず、ただ風間 悠真のなすがままになるしかなかった。


彼女が誇る体術と【崩撃】は、ここでは完全に無用の長物と化した。


彼女は屈しなかった!


このまま負けるわけにはいかない!


姫月 星華は歯を食いしばり、体内に残る全ての力を爆発させ、無理やり真空領域を突破しようと試みた。


彼女の体表の筋肉は隆起し、歯が浮くような摩擦音を発し、まるで体が引き裂かれるかのようだった。


しかし、風間 悠真の【真空領域】がそう簡単に破られるものだろうか?


特に、彼が今や大幅に力を向上させ、【法則感知】を初歩的に掌握した後では、領域の制御はさらに精緻になっていた。


「無駄だ。」風間 悠真は淡々と言った。


「私の領域の中では、君は逃れられない。」


彼はゆっくりと手を差し出し、指先にほとんど見えないほど微細な風の刃を凝縮させた。


これこそが、彼の新スキル――【風の刃】だった。


【風の刃】は音もなく真空領域を貫き、正確に姫月 星華の武道着の裾を切り裂いた。


「ヒッ――」

微かな引き裂く音が響き、姫月 星華の武道着の裾は綺麗に切り取られ、真空領域の中を漂った。


しかし、下に落ちることはなく、そこに浮遊していた。


姫月 星華の体は硬直した。


何の痛みも感じなかったが、彼女は知っていた。


もしあの風の刃が彼女の体を切り裂いていたら……その結果は想像を絶するものだっただろう。


彼女は風間 悠真を見た。


その眼差しには、驚愕と恐怖が満ちていた。


彼が真空領域の中で、これほど正確にこの恐ろしい攻撃を制御できるとは!


風間 悠真は止まらなかった。


彼は指先を微かに動かし、さらに多くの風の刃を出現させた。


それらはいたずら好きな精霊のように、姫月 星華の周囲を囲み、彼女の衣服を切り裂きながらも、巧妙に彼女の体を避けていた。


「ヒッ!ヒッ!ヒッ!」

姫月 星華の武道着はバラバラに切り裂かれ、その下にある緊身の訓練服が露わになった。


彼女は一瞬、羞恥と憤りを感じたが、それ以上に、風間 悠真のまるで手玉に取るような手腕に衝撃を受けていた。


彼は強大な力で直接彼女を倒すのではなく、まるで弄ぶかのように、彼女に全く反撃の機会を与えなかったのだ。


この掌握力、この力への理解と運用は、姫月 星華の認識をはるかに超えていた。


彼女が誇る格闘技と【崩撃】は、風間 悠真の前では、まるで子供のおままごとのように滑稽だった。


彼女はついに理解した。


風間 悠真の強さは、決して「技巧に走ったもの」や「異端」などではなかった。


それは力の真髄の理解、そして法則への初期的な接触だったのだ!


絶望の感情が心に込み上げた。


彼女が誇る全てが、風間 悠真の前では、あまりにも小さく、そして脆かった。


風間 悠真は姫月 星華の絶望に満ちた眼差しを見て、時が来たと悟った。


彼は【真空領域】を解除し、空気が姫月 星華の周囲に戻った。


彼女は大きく息を吸い込み、脱力と酸素不足のために体がぐらついていた。


「今も、武道部が学園最強だと、君は思うか?」風間 悠真の声は平静だったが、雷鳴のように姫月 星華の耳に響き渡った。


姫月 星華は地面にへたり込み、その目は虚ろだった。


彼女は負けた。


完全に、そして尊厳もなく負けた。


彼女が誇る武道部は、風間 悠真の前では、全く取るに足らない存在だった。


風間 悠真はゆっくりと姫月 星華の前に歩み寄り、手を差し出した。


「姫月 星華、君の実力は素晴らしいし、力への追求も純粋だ。」風間 悠真は言った。


その口調には微かな称賛が込められていた。


「私のチームに加入しないか。君を力の真髄に触れさせ、君の【崩撃】を想像を絶する高みに到達させよう。」


姫月 星華は顔を上げ、風間 悠真が差し出した手を見た。


彼女は、その平静な瞳に宿る強大な自信と、全てを掌握するかの力強さを感じた。


彼女は、風間 悠真が以前烈火 如歌と艾莉絲にしたことを思い出した。


彼女たちの能力が質的に飛躍したことを。


彼女は知っていた。


これはチャンスだと。


自分をさらに強くし、より高い境地へ到達するためのチャンスだと。


彼女は歯を食いしばり、最終的に手を差し出し、風間 悠真の手を握った。


「加入します。」姫月 星華の声はとても静かだったが、その中に込められた決意は強かった。


彼女は負けたが、より強い力を追求する機会を得たのだ。


アリーナ内は、水を打ったように静まり返っていた。


誰もがこの光景に衝撃を受けていた。


武道部部長、学園公認の格闘天才が、まさか負けたとは!


しかもこれほど徹底的に!


さらに驚くべきことに、彼女が風間 悠真のチームに加入したことだ!


その後、さらに熱烈な歓声が爆発した!


風間 悠真は再び絶対的な力で、学園のトップ天才を一人征服したのだ!


彼の伝説は、まだ続いている!


武道部のメンバーたちは、まるで青天の霹靂に打たれたかのように、顔には信じられないという思いと落胆が満ちていた。


彼らの部長、彼らの偶像が、まさか服従しただと?

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