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第十三章:武道部の挑戦

風間 悠真が学園の能力テストで見せた驚くべきパフォーマンス、そして彼が生徒会を掌握し、次々と烈火 如歌と艾莉絲という二人のトップ天才をチームに招き入れたという知らせは、まるで静かな湖面に投じられた巨大な石のように、秘境学園に怒涛の波を巻き起こした。


彼はもう、名もなき「落ちこぼれ」ではなかった。


学園で最も注目され、最も実力があり、そして最も神秘的な人物となったのだ。


彼の台頭は、多くの者に興奮と崇拝をもたらしたが、一方でいくつかの老舗勢力の利益と尊厳にも触れた。


その中でも、最も強く反応したのは、秘境学園最強の部活動――武道部だった。


武道部は、学園で最も歴史が古く、部員の実力も最強で、そして何よりも力を重んじる部活動だ。


その部員の多くは、近接戦闘や体術に長け、あるいは強力な攻撃系超能力を持つ生徒たちだった。


武道部の部長は、学園でも生徒会長鹿島 小雨に次ぐ、トップクラスの強者として公認されていた。


長年にわたり、武道部は「学園最強」を自負し、その部長は無数の生徒たちから憧れの的だった。


しかし、風間 悠真の出現は、この均衡を完全に崩した。


彼が能力テストで見せた全てを圧倒するパフォーマンスは、武道部が誇る力に関するデータを色褪せさせ、彼が容易に竜崎 厳を撃破したことは、彼の実戦能力が学園の大部分の人々をはるかに凌駕することを証明した。


さらに武道部のメンバーたちを不満にさせたのは、風間 悠真の超能力が「気流」という、一見捉えどころのない能力であることだった。


それは彼らが重んじる力と力のぶつかり合いの格闘スタイルとは相容れない。


彼らにとって、風間 悠真の強さは「技巧に走ったもの」であり、「異端」であり、決して「学園最強」と称されるに値しないものだった。


この不満な感情は武道部内部で急速に広まり、最終的に武道部部長へと集約された。


武道部部長、その名は姫月ひめつき 星華せいか


彼女はすっきりとしたショートヘアで、小麦色の肌は健康的な輝きを放ち、背が高く、爆発的な力を秘めた体つきをしていた。


その顔立ちは凛々しく、眼差しは刀のように鋭く、あらゆる虚偽を見抜くかのようだった。


姫月 星華は学園で公認された格闘の天才で、彼女の超能力は【崩撃】。


力を極めて凝縮し、爆発的な形で瞬時に放つことができ、その威力は驚異的だった。


彼女の体術はまさに熟練の域に達しており、学園で間違いなく近接戦闘の王者だった。


姫月 星華は風間 悠真の台頭に対し、当初はただ様子見の態度を取っていた。


しかし、彼が能力テストで、たった「気流」だけで力テスト器を破壊するのを見た時、彼女の心の内にある闘志は完全に点火された。


彼女は強者と手合わせしたい、限界に挑戦したいと渇望したのだ。


そして武道部メンバーたちの議論と不満は、彼女の決意を一層固めた。


彼女は武道部の栄光が「異端」によって覆い隠されることを許せなかった。


彼女は学園全体に証明したかった。


真の力とは、千の鍛錬を経た肉体と技術であり、真っ向からの対決なのだと!


武道部の訓練場では、姫月 星華が全ての中心メンバーを召集した。


「部長!俺たちはあの風間 悠真がこれ以上好き勝手するのを、ただ見てるわけにはいきません!」体格のいい武道部メンバーの一人が大声で言った。


「そうだ!あいつの能力なんて、最強と呼ぶに値しない!」

姫月 星華は訓練場の中央に立ち、その鋭い眼差しで集まった全てのメンバーを掃くように見渡した。


彼女は彼らの心にある不満と闘志を感じ取った。


「皆がどう考えているか分かっている。」姫月 星華の声は冷たく力強かった。


「風間 悠真の力は確かに強い。だが、強いからといって打ち破れないわけではない。」

彼女は一拍置き、その目に燃え盛る闘志を宿らせた。


「武道部の栄光は、拳で守る必要がある。学園最強の称号も、真の勝負によって決定されなければならない。」


「部長!まさか……」

「風間 悠真に挑戦する。」姫月 星華はきっぱりと言い放った。


「学園の公開アリーナで、全校生徒や教師たちに、誰が真の学園の頂点なのかを示す!」


この言葉が発せられると、武道部メンバーたちは一斉に沸き立った!


風間 悠真に挑戦する!


これこそが彼らの心にずっとあった願いだったのだ!


「部長、最高!」

「あの風間 悠真に、本当の力とは何かを見せてやろう!」

姫月 星華はメンバーたちの歓声には構わず、振り返って学園のメイン教学棟の方を見た。


まるで幾重もの障害を透かし見て、生徒会室に座る風間 悠真を見ているかのようだった。


「風間 悠真……」彼女は静かにその名を呟いた。


その目には強い闘志が宿っていた。


「がっかりさせないでほしいわ。」


間もなく、武道部部長姫月 星華が風間 悠真に公開挑戦状を叩きつけたという知らせは、まるで嵐のように学園全体を駆け巡った。


この知らせは、風間 悠真が竜崎 厳を撃破したという知らせよりも、さらに衝撃的だった!


姫月 星華とは誰か?


それは学園の無数の者たちの心にある偶像、力と栄光の象徴だ!


彼女の挑戦は、学園最強の力体系同士の衝突を意味していた!


学園全体が沸き立った!


生徒たちは口々に伝え合い、教師たちは議論を交わし、学園上層部までもが、この迫り来る対決に大きな注目を寄せていた。


公開アリーナは、学園内で最大かつ最も公式な試合会場で、数千人を収容できる。


挑戦の知らせが広まると、無数の生徒たちがこの世紀の対決を見逃すまいと、事前にアリーナの席取りを始めた。


生徒会室。


風間 悠真は里見 心愛、烈火 如歌、艾莉絲と異常事態の手がかりについて話し合っていた。


「風間 悠真様、お聞きになりましたか?」里見 心愛が少し心配そうに尋ねた。


「武道部部長の姫月 星華が、あなたに挑戦状を叩きつけたそうです。」


烈火 如歌の目に微かな興味が走った。


彼女は姫月 星華の実力を知っていた。


あれは本物の格闘家だ。


艾莉絲は興奮して飛び上がった。


「わあ!姫月 星華さん!あの格闘がめちゃくちゃ強い先輩!あなたに挑戦するの!?面白すぎる!」


風間 悠真は手に持っていた資料を置き、口元に淡い笑みを浮かべた。


「挑戦、か……」彼の目には興味深げな光が宿った。


「どうやら、私の名声が彼らの注意を引いたようだな。」


脳裏にシステムメッセージが響いた。


「ピッ!新たな挑戦イベントを感知!」

「イベント名:武道部の挑戦」

「イベント説明:武道部部長姫月 星華が、武道部の栄光を擁護し、学園最強の称号を争うため、宿主に対し公開挑戦を仕掛けました。」

「イベント報酬:挑戦結果に応じて配布。」

「挑戦を受けますか、宿主?」

「受ける。」風間 悠真はためらうことなく脳内で応じた。


彼は里見 心愛、烈火 如歌、艾莉絲を見て、微笑んで言った。


「私の力量を試したい者がいるのなら、それに応えよう。」


「だが、この挑戦は、単なる力の競い合いではない。」風間 悠真の目に深遠な光が宿った。


「全校生徒、そして全ての勢力に、私の真の実力を見せつける機会でもある。」


「姫月 星華か……」風間 悠真は静かにその名を呟いた。


その目には闘志が満ちていた。


彼はこの学園最強の格闘家と手合わせし、彼女の【崩撃】と体術が、彼の風暴の法則を揺るがすことができるのかどうか、見極めることを期待していた。


公開アリーナは、かつてない対決を迎えるだろう。


風間 悠真、対、姫月 星華。


風暴、対、崩撃。

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