異能覚醒、私には超能力システムがある

第十章：学院上層部との対峙

それはもはや単なる噂話ではなく、その場に居合わせた全ての者たちの心に深く刻まれた光景となった。彼の拳一撃で悲鳴を上げた巨大な力テスト器、その残像すら捉えきれなかった高速センサー、そして直接爆裂した制御器と精神力測定器。

彼が示した力は、学園の既存の超能力レベル体系で測れる範囲をはるかに超えていたのだ。

学園上層部の会議室は、異様なほど厳粛な雰囲気に包まれていた。

円卓に座っていたのは、秘境学園で最も権力と実力を持つ長老たちであり、彼らの誰一人として、外の世界に出れば、その名を轟かせる存在ばかりだった。

しかしこの時、彼らの顔には、かつてないほどの真剣さと微かな不安の色が浮かんでいた。

「テスト報告は皆さんご覧になったはずだ。」仙人めいた風貌ながら底知れぬ実力を持つ学院長が、低い声でゆっくりと口を開いた。

「風間 悠真の力は……もはや既存の基準では測れない。」

「測れないどころの話か！」短気な一人の長老が、勢いよく机を叩いた。

「あれはまさに化物だ！SS級だと？SSS級でも足りないくらいだ！一体どうやってあそこまでの力を手に入れたというのだ！？」

「彼の超能力が『気流』であることは確かだが、これほどの気流は見たことがない。」超能力研究者の長老が眼鏡を押し上げ、その目には狂気じみた探求の光が宿っていたが、それ以上に困惑の色が濃かった。

「あの気流の掌握力は、既に……法則の域に近い。」

「法則？」会議室にざわめきが起こった。

法則とは、伝説の中にしか存在しない力、三大勢力の最上層の者たちのみが触れられる可能性のある領域だったからだ。

「今の問題は、彼にどう対処するかだ。」穏やかな長老が核心を突いた。

「彼は既に生徒会を掌握し、これほど強大な力を見せた。もし彼が悪意を抱いていれば……」

「異常事態は悪化の一途を辿り、変異怪物の力はますます強まっている。既に多くの人員を失っているのだ。」別の長老が懸念を口にした。

「我々には対抗する力が必要であり、風間 悠真は間違いなく、現時点の学園で最強の力だ。」

「彼を取り込む。」学院長が再び口を開いた。

その口調には、有無を言わせぬ決断力が宿っていた。

「何としてでも、彼を味方につけ、学園のために尽力させねばならない。」

「しかし院長、彼が提示した条件が……」生徒会長である鹿島 小雨もこの会議に出席しており、風間 悠真が提示した三つの条件を上層部に詳細に報告した。

風間 悠真が生徒会の上に君臨し、会長までもが彼の指示に従うと要求したと聞き、会議室には再び動揺が広がった。

「これはあまりにも傲慢だ！学園を掌握するつもりか！？」

「絶対に承諾できない！これは学園の権威に対する挑戦だ！」

学院長は手を上げて、皆に静まるよう促した。

彼は鹿島 小雨を見つめ、その目には微かな賞賛の色が宿っていた。

「小雨、よくやった。あの状況で、そのような決断を下すには、大きな勇気と知恵が必要だった。」

鹿島 小雨はわずかに頭を下げた。「院長、お褒めいただき光栄です。」

学院長は長老たちを見た。「皆さんの懸念は分かっている。だが、今は非常時だ。異常事態の脅威は、我々の想像をはるかに超えている。もし解決できなければ、学園は存在しなくなる。その時、権力に何の価値があるというのだ？」

彼は一拍置き、その目に鋭い光を宿らせた。

「それに、風間 悠真が提示した条件は、確かに強引だが、彼自身の目標と行動規範があることを示している。我々が彼の要求を満たし、協力することの利点を示せば、彼を正しい方向へ導けるかもしれない。」

「院長のおっしゃる意味は……」

「風間 悠真を呼び出せ。」学院長は最終決定を下した。

「何としてでも、彼と正式に話し合いをしなければならない。我々の誠意を示し、彼の合理的な要求を満たし、彼を学園側に引き込むのだ。」

……

生徒会室。

風間 悠真は、興味津々にシステムショップの中級権限ページを閲覧していた。

目に飛び込んでくる目まぐるしいほどの強力な能力やアイテムの数々に、彼はこれからの冒険に期待を膨らませていた。

「【元素掌握】（中級）：報酬ポイントを消費し、任意の元素の力を掌握。レベルアップに伴い、より多くの元素を解放可能。」

「【空間跳躍】（中級）：報酬ポイントを消費し、短距離の空間移動を行う。」

「【エネルギーシールド】（中級）：報酬ポイントを消費し、強力なエネルギーシールドを生成。大部分の攻撃を防御可能。」

「【治癒薬】（中級）：報酬ポイントを消費し、致命的な傷を瞬時に治癒。」

「【探査の眼】（中級）：報酬ポイントを消費し、対象の能力や弱点などの情報を探査可能。」

一つ一つの選択肢が魅力に満ちており、風間 悠真は今後の報酬ポイントの配分について、おおよその計画を立てた。

その時、オフィスルームのドアが軽くノックされた。

鹿島 小雨がドアを押し開けて入ってきた。その顔には微かな真剣さが浮かんでいた。

「風間 悠真、院長がお呼びです。」

風間 悠真は眉をひそめ、その目に合点がいった様子が閃いた。

能力テストで示したあの力を見れば、学園上層部が黙っているはずがないと彼は知っていた。

「院長、ですか？」風間 悠真の口調は平静で、微塵も緊張した様子はなかった。

「いつですか？」

「今です。」鹿島 小雨は言った。

「院長と数名の長老方が会議室でお待ちです。」

「分かりました。」風間 悠真は頷き、システムインターフェースを閉じた。

彼は立ち上がり、服を整えた。

その顔には淡々とした落ち着きがあった。

この面会が、学園内、さらには超能力界における自身の地位を決定づけるだろうと彼は知っていた。

鹿島 小雨に導かれ、風間 悠真は学園上層部の会議室へと向かった。

扉を開けると、数名の学園長老たちが居住まいを正して座っており、院長が主賓席で鋭い視線で彼を見ていた。

会議室の雰囲気はやや重苦しかったが、風間 悠真は全く影響を受けなかった。

彼は落ち着いた足取りで会議室に入り、少しも遠慮することなく、また過度に恭しく振る舞うこともなかった。

「院長、長老の皆様。」風間 悠真は淡々と挨拶した。

その口調は謙ることもなく、尊大でもなかった。

院長は目の前の少年を見て、心の中で感嘆せざるを得なかった。

彼ら学園上層部を前にして、風間 悠真がこれほど冷静でいられるとは。

この精神力は、決して常人には及ばない。

「風間 悠真、座りなさい。」院長は向かい側の席を指し示した。

風間 悠真は言われた通りに座り、背筋をまっすぐに伸ばした。

「今回あなたを呼び出したのは、話がしたいからだ。」院長は単刀直入に言った。

「あなたが能力テストで示した力は、我々に大きな衝撃を与えた。これほど強大な超能力者は見たことがない。」

「そうですか。」風間 悠真は淡く笑った。

「もしかしたら、学園のテスト機器が十分に高性能ではないのかもしれませんね。」

この言葉に、数名の長老の顔色が微かに硬直した。

この少年は、本当に直接的だな、と。

しかし、院長は気にする様子もなく、話を続けた。「我々は、あなたが既に生徒会を掌握したことを知っている。そして、あなたが提示した条件も、全て把握している。」

風間 悠真は何も言わず、静かに聞き入っていた。

「学園は今、深刻な異常事態に直面しており、変異した怪物が次々と現れ、学園の存続そのものを脅かしている。」院長は口調を真剣にした。

「我々には、これに対処するためにあなたの力が必要だ。だから、我々は、あなたが提示した条件を、承諾することに決めた。」

この言葉が発せられると、数名の長老たちは心の準備はしていたものの、やはり内心で激しく動揺した。

本当に承諾したのか！

生徒会の掌握権を譲り渡すなど、学園の歴史上、かつてない出来事だったのだ！

風間 悠真の目に鋭い光が閃いた。

学園上層部が完全に彼に頭を下げたことを、彼は知っていた。

「その見返りとして、学園はあなたに最上級の修練資源を提供する。」院長は話を続けた。

「学園の最高級修練室、外部の十倍のエネルギー濃度を誇る場所は、あなたに完全に開放される。学園図書館の最高権限も与えられ、全ての禁書や秘密資料を閲覧できる。さらには、学園が備蓄している貴重な薬剤やエネルギー結晶も、あなたが優先的に使用できる。」

院長は次々と重大な切り札を提示した。

これらの資源は、どれ一つとってもSS級超能力者をして狂喜させるに足るものだった。

これは彼が最も直接的な方法で、風間 悠真に学園の誠意と決意を示しているのだ。

風間 悠真はこれらを聞き、心の中で満足を感じた。

これらの資源は、まさに彼が今最も必要としているものだった。

これらがあれば、彼の実力向上速度は再び飛躍的に伸びるだろう。

「同時に、」院長は話を転じた。

「我々はあなたが学園を助け、今回の異常事態を解決してくれることを望む。それはあなたが想像するよりもはるかに複雑で危険だ。それは学園の奥深くにある、ある古き封印と関係があるようだ。その場所には、我々でさえ容易には立ち入れない。」

院長は異常事態に関する背景情報をいくつか明かし、その危険性を示唆し、風間 悠真がそれを解決してくれることを望んだ。

これは彼が学園の重責を、風間 悠真の肩に乗せようとしているのだ。

風間 悠真の目に探求の光が閃いた。

古き封印？

異常事態の根源？

これはシステムが提示したメインクエストに関係があるかもしれない。

「学園を助けることはできます。」風間 悠真はゆっくりと言った。

「ただし、異常事態に関する全ての情報と、あの古き封印の秘密を知る必要があります。」

院長と長老たちは互いに顔を見合わせ、その目には微かな躊躇が宿った。

これらの秘密は、学園の最高機密であり、容易に外部に漏らすことはできない。

しかし、風間 悠真の実力、そして学園が直面している危機を考えると、彼らは、今こそ秘密を隠している時ではないと悟った。

「構わない。」院長は最終的に頷いた。

「我々の知る全ての情報をあなたに伝える。学園創立以来の、異常事態と古き封印に関する全ての記録を含めて。」

「結構。」風間 悠真は口元に笑みを浮かべた。

「協力しましょう。」

この面会で、風間 悠真は絶対的な強気な姿勢で、学園上層部から最上級の資源と情報を獲得した。

彼は学園内での自身の地位を固めただけでなく、今後の冒険のための強固な基盤を築いたのだ。

会議室を出た風間 悠真は、体内の力がさらに満ち足りているのを感じた。

これらの最上級の資源があれば、彼の力は再び飛躍的な向上を遂げるだろうと彼は知っていた。

そして、学園の奥深くにある古き封印、そして異常事態の真の根源もまた、彼にその神秘のベールを解き明かされようとしていた。