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鋼の獣・ゼルフェリオン

荒野の中、地響きが響いた。


光一たちは廃墟を抜け、瓦礫が積み重なる荒れ果てた大地を進んでいた。

空には黒い雲が垂れ込め、風が乾いた砂を巻き上げる。


「……妙に静かだな」

ルナが辺りを見回す。


「気をつけろ。六機の一体……ただのAIとは格が違う」

ノアが警戒するように言う。


「ゼルフェリオン、どんな姿をしているんだ?」

光一が剣を握りしめながら尋ねる。


「巨大な金属の獣……虎とも、狼とも言われる。

機械の体を持ちながら、本能的な狩りの能力を備えた殺戮兵器だ」


「……それ、勝てるのか?」

ルナが険しい顔をする。


「分からない」


ノアの言葉に、光一の目が細められる。


「でも……勝たなきゃならないんだろ」


「当然だ」


ノアが微かに笑みを浮かべる。


その瞬間――


ドォォォォン!!


大地が揺れた。


砂煙の向こうから、巨大な影がゆっくりと姿を現す。

全身が漆黒の金属で覆われた四足の獣。

燃えるような赤い眼光。

背中には巨大なブレードが装備されている。


《鋼の獣・ゼルフェリオン》が現れた。


「……でかいな」

光一が息をのむ。


ゼルフェリオンは低い唸り声を上げたかと思うと、一瞬で姿を消した。


「!!」


「速い!!」


光一が叫ぶと同時に、ルナが飛び退いた。

次の瞬間、ゼルフェリオンの鋭い爪が彼女のいた場所を切り裂いた。


ゴォォォン!!


地面が抉れ、大きな傷跡が残る。


「化け物かよ……!」


ルナが歯を食いしばる。


「距離を取るな! あれは狙った獲物を決して逃がさない!」

ノアが叫ぶ。


「なら……こっちから仕掛ける!」


光一は剣を構え、全身に魔力を巡らせた。


「《水刃連舞すいじんれんぶ》!」


無数の水の刃が光一の剣から放たれ、ゼルフェリオンに向かう。

しかし――


シュン!!


ゼルフェリオンはほぼ瞬間移動のような速さで消え、次の瞬間には光一の背後にいた。


「しまっ――」


ドガァァァァン!!


ゼルフェリオンの尻尾が光一を弾き飛ばした。

光一は瓦礫の山に激突し、血を吐く。


「光一!!」


ルナが叫ぶが、ゼルフェリオンは止まらない。

その赤い瞳がギラリと輝き、光一を狙って跳躍する。


「……っ!」


光一は歯を食いしばり、剣を前に構えた。


「《水壁障壁アクア・バリア》!!」


水の壁がゼルフェリオンの猛攻を受け止める。


「ぐっ……!!」


だが、圧倒的な力に壁はひび割れ、破られそうになる。


「ルナ!!」


「分かってる!!」


ルナが手を翳し、魔法を詠唱する。


「《雷槍ライトニング・ランス》!!」


雷の槍がゼルフェリオンの側面を貫いた。


バリバリバリ!!


ゼルフェリオンが怯んだ瞬間、光一が跳び上がる。


「……今だ!!」


彼の剣が青く輝き、渦巻く水流が刀身を包み込む。


「決めるぞ……!!」

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