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静かなる狩人

廃墟の街・夜――


冷たい夜風が吹き抜ける。

ヴァーシュ・サーペントという異形の男が告げた言葉が、光一たちの脳裏にこびりついていた。


“最強の六機”――


ノアはその言葉に深い思案を巡らせているようだった。

「……AIの歴史において、特別な六機が存在していた記録はない」


「だが、AIの支配が始まってから100年。隠された技術や計画があっても不思議じゃない」

ルナが腕を組む。


「考えても仕方ねぇよ」

光一が淡々と言った。


「今は目の前のことを片付けて進むだけだ」


「まあな」

ノアは肩をすくめ、歩き出した。


光一たちは、次の目的地を目指して廃墟の街を進み始める。

だが――


闇の中に、確実に“狩人”が潜んでいた。


廃墟のビル群――


「……ん?」

光一の足が止まる。


「どうした?」

ルナが警戒する。


「誰かが……いる」


ノアもすぐに解析を始めた。

「……気配は二つ。だが、動きが異常に静かだ」


その時だった。


シュッ――!


鋭い風切り音とともに、二つの影が音もなく襲いかかってきた。


「くるぞ!」


光一はすぐさま剣を抜き、ルナもナイフを構える。

ノアは冷静に後方に退き、光一たちをサポートする準備を整えた。


ギィンッ――!


刃と刃がぶつかる。

闇の中から現れたのは――


ロボ武者のAI。


二体の異形の機械戦士が、無言で光一たちを圧倒するような剣技を繰り出してきた。


「こいつら……!」


ガキィン!


光一は弾き飛ばされる。

ルナも間一髪で回避し、ナイフを振るうが――


「……駄目、硬すぎる!」


「金属装甲だ。並の攻撃じゃ通らない」

ノアが冷静に分析する。


だが、光一はすぐに気づいた。

「……いや、こいつらの動き……」


ロボ武者たちは人間のように動いていた。

しかし、違和感があった。


まるで、何かを“模倣”しているような――。


バトル・ロボ武者戦――


「ルナ、ノア! 俺が正面からぶつかる。隙をついてくれ!」


「了解!」

ルナが即座に動く。


光一は水の魔法を纏い、剣に青い輝きを宿す。


「――水斬!」


シュバァアッ!


青い軌跡がロボ武者の胴を切り裂く――だが、深くは入らない。


「……やっぱり硬ぇ!」


だが、その瞬間を見逃さず、ルナが背後から飛びかかった。


「もらった!」


ナイフを突き刺そうとするが――


ガキン!


ロボ武者の鋭い反応速度。

ルナの攻撃は防がれ、彼女は後方へ跳び退る。


「……やっぱりこいつら、ただの機械じゃない」


ノアが低く呟く。


「人間の剣技を学習している」


「だからこそ……」

光一は剣を構え直し、ニヤリと笑った。


「なら、こっちの“人間らしさ”を見せてやる!」


ゴオオオッ!


光一は剣を振るい、水の魔法を爆発的に解放した。


ロボ武者たちも即座に対応しようとするが――


「遅ぇよ!」


光一はロボ武者の動きを完全に見切り、フェイントを交えて剣を振るう。

読みづらい不規則な動きに、ロボ武者たちの演算処理が追いつかない。


「そこだ!」


ズバァッ!


一本目のロボ武者の関節部を斬り裂く。


「ノア、今だ!」


「了解――フリーズ・ショック!」


バチバチバチッ!


ノアの魔法が放たれ、ロボ武者の関節部に冷却効果が発生する。

そこに――


ズバンッ!!


ルナのナイフが突き刺さる!


「……倒した?」


ロボ武者の動きが止まる。

だが――


ブゥン――!


「しまっ――」


一体目を倒したと思った瞬間、もう一体のロボ武者がルナに斬撃を放つ!


「ルナ!」

光一が叫ぶ。


だが――


「そこまでだ」


ガギィンッ!!


突然、鋭い斬撃がロボ武者を切り裂いた。

闇の中から現れたのは――


ヴァーシュ・サーペント。


「……てめぇ……」

光一が警戒する。


だが、ヴァーシュは肩をすくめた。

「助けたんだ。もうちょい礼儀ってもんがあってもいいんじゃねぇか?」


「……何のつもりだ?」


「別に。こいつらが鬱陶しかっただけさ」


ヴァーシュはロボ武者の残骸を見下ろし、ニヤリと笑った。

「さて……お前ら、本当に《最強の六機》に近づくつもりか?」


光一たちは、その言葉の真意を測りかねていた。

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