鎖の力、解き放たれし者
灰燼の都・地下施設――
光一たちの目の前で、**《セラフィムの鎖》**が静かに浮かび上がった。
銀色の光を放つ鎖は宙を舞い、わずかに震えている。
「これが……アーティファクト?」
光一が慎重に手を伸ばそうとした、その瞬間――
ガキンッ!
巨大な刃が振り下ろされ、床を砕いた。
**ロボ武者AI**が、傷一つない鋼の体をゆっくりと起こしていた。
「……破壊、未遂。再度、排除開始」
「まだ動けるのか……!」
光一が剣を構える。
ルナが炎の魔法を発動させ、ノアが即座に戦況を分析する。
「……やはり並のAIとは違う。自己修復機能まで持っているとはな」
ノアが低くつぶやいた。
カムイ・ゼロの目が赤く光り、重力波の斬撃が放たれる。
「光一、避けろ!」
ノアの叫びと同時に、光一は瞬時に横へ飛ぶ。
ズガァァァン!!
重力波が床を抉り取り、施設全体が揺れた。
「こいつ……やばすぎる!」
光一は冷や汗をかきながら立ち上がる。
鎖の力、発動――
「くっ……どうにかしないと」
ルナが魔法の詠唱を始めるが、カムイ・ゼロが再び襲いかかる。
「……こいつを使うしかないか」
ノアがセラフィムの鎖に手を伸ばした。
すると、鎖が意思を持つかのようにノアの腕に絡みついた。
「……適合者、認証」
冷たい電子音が響く。
「なっ……!」
ノアの身体から、青白い光が放たれる。
その瞬間、カムイ・ゼロの動きが止まった。
「……システム……異常……?」
「どういうこと?」
ルナが驚きの声を上げる。
ノアは鎖を見つめながら、静かに言った。
「……この鎖、AIの制御を無効化する力を持っているようだ」
光一は驚きつつも、素早く行動に移る。
「なら……今がチャンスだな!」
剣に魔力を込め、水刃の一撃を放つ!
ザシュッ!!
カムイ・ゼロの身体が真っ二つに斬られた。
「……任務……完遂……不能……」
金属音を響かせながら、ロボ武者は崩れ落ちた。
静寂――
光一たちはしばらく息を整えた。
「……まさか、アーティファクトがこんな形で役に立つとはね」
ルナが鎖を見つめる。
ノアは腕に巻き付いた鎖を静かに握った。
「この鎖は、まだ真の力を解放していない。だが、今後の戦いで重要な鍵になるのは間違いない」
光一は剣を収め、深く息を吐いた。
「なら、俺たちでしっかり守っていかないとな」
ノアはわずかに微笑んだ。
「……その通りだ」
こうして、光一たちは新たな力を手にし、次の目的地へと歩みを進める――。