現在、釘刺され中!
「・・・あの、俺は”種”の提供は良いのですが、魔王”ジュドー”を倒したら、自分の世界に帰りたのですが、父さん、母さん、チビクロが家で待っていますので。」俺は”トト”様に言った。
「分かっておる。聖地<ブルー・ル・ノーア>と少し離れているが鉱脈が繋がっている、赤茶色の崖<グラッタ>の崖がある。その場所で、大きな袋3袋分<ノーチラス鉱>を採取してくれ。<ノーチラス鉱>は”魔力”を流すと発光する。それで埋蔵されている位置は分かるはずだ。だだ絶対に<アトランティー>族には見つかるんじゃないぞ!」”トト”様に釘を刺された。
「<アトランティー>族にとって、<ノーチラス鉱>は”神”の贈り物ですからね。魔王を倒す為とは言っても、勝手に持って行くのは大罪なので、絶対に見つかっても逃げ切ってください。」
”グレミー”様にも釘を刺された。
「了解しました。<アトランティー>族に絶対に見つからない様に、用心しながら採取して来ます!」
少し<アトランティー>族を見てみたい気もしたが、俺は素直に返事をした。
「・・・タケルよ、俺は少し心配なのだ。」”トト”様がポツリと呟いた。
「・・・えっと、何がでしょうか?気配を消して行動するのは、かなり得意ですけど。よく1人で偵察とか行っていましたし。」見つからない自信があったので、俺はそう答えた。
「・・・・違う、タケル。お前は、”勇者”達ほどではないが、女に対して執着が強すぎる。」
”勇者”達がいる”試練の間”の方を指差しながら、”トト”様が言った。
「そうですね、タケル君は良い人なのですが、美人と美少女にめっぽう弱いですからねえ、私はタケル君が、<アトランティー>族と接触しないか心配ですよ。」
円卓の上で掌を組み、親指同士をクルクル回しながら”グレミー”様が言った。
「いや!そんな事な・」俺が否定の言葉を言おうとした時
「”プルール”と”プルーツ”」親指同士をクルクル回したままで”グレミー”様が言った。
「!?」俺は思わず硬直した。
”プルール”さんと”プルーツ”さんはエルフ族の美人姉妹である。
エルフの森で暴れていた<イーフリット>を討伐した時に、火傷を負ってしまい一週間ほど”プルール”さんと”プルーツ”さんの家でお世話になっていた。二つの意味で。
「・・・うちは、”ルルーカ”だな。」腕組みをして、天井を見ながら今度は”トト”様が言った。
「・・・」目が泳いでしまう。三神官様が俺を見ている。視線が痛い。
”ルルーカ”さんはドワーフ族のおっとり美人である。
ドワーフのミスリル鉱山で暴れたいた<ブルデスニーゴ>を討伐した時に、<ファストールの鎧>と<ファストールの剣>が中破してしまい、”トト”様に<ミスリル>を使用して改良してもらった。そのお礼に、一週間ほどミスリル鉱山で<ミスリル>の採掘を手伝っていた。その時”ルルーカ”さんの家でお世話になっていた。
二つの意味で。
「まあ、タケル君は<イーフリット>を倒してくれた恩人だし、”プルール”と”プルーツ”は君に好意を寄せているみたいだから、この件は不問にするよ。」”グレミー”様が見逃してくれた。
「ドワーフの女は嫌だったら、男をぶん殴るから”ルルーカ”も望んでいたのであろう。」
”トト”様も見逃してくれた。
「ただ!”ルルーカ”や”プルール”嬢・”プルーツ”嬢の様に、<アトランティー>族は甘くない!!強力な媚薬によって強制的に三日三晩、休み無しで搾り取られるぞ。タケル、捕まったら冗談では無く死ぬぞ。」
”トト”様が本気で釘を刺してきた。
「・・・タケル君、以前に<アトランティー>族が女だけの集団と聞いて、強靭の肉体を持った大剣使いの男が、”ハーレム王に俺はなる!”と言って聖地<ブルー・ル・ノーア>に入った事がありました。その結果、その男はたった二日で90歳の老人の様な体になり、聖地<ブルー・ル・ノーア>の外に捨てられていたそうです。」”グレミー”様が静かに言った。
「初代”勇者”様は、魔王”ジュドー”にトドメを刺す役割があったので三日三晩で済みました。タケル君は”勇者”でしたが、今は”戦士”です。魔王”ジュドー”にトドメを刺す役割ではないので、捕まったら命が無いかもしれません。だから気を付けて行ってください。」
”グレミー”様が静かに釘を刺した。
「分かりました。慎重に行動します。」俺は二人にそう答えた。