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帰還したら平行世界(べつせかい)だった  作者: ネコバーンナックル!
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現在、叱られ中!

赤い神官服の”剣の神官”アノー様、青い神官服の”盾の神官”ブック様、黒い神官服の”鎧の神官”シー様の三種の神器の三神官様が転移の魔法陣から出現し、こちらに歩いてきた。


三神官様が俺達の元に来ると、代表して”剣の神官”アノー様が、怒りを抑えた声で塩谷に聞いた。

「”勇者”塩谷様、”勇者の試練”を受けたくないとは、一体どういう事ですか?」


アノー様の怒りを感じ取った塩谷は無言だった。


無言の塩谷に対してアノー様は続けて言った。

「”勇者”塩谷様、我々にあなたのステータスを見せてください。」


状況が好転しない事を悟ったのか、塩谷は大人しく自分のステータスを出現させて三神官様に見せた。

塩谷のステータスの異様な低さを見た三神官様の表情が消えた。


無表情のままで、アノー様が残り三人に言ってきた。

「”魔法使い”真下様、”僧侶”平本様、”戦士”本田様、あなた方のステータスも我々に見せて頂きたい。」


真下と平本は震えながらステータスを出現させ、俺もステータスを出現させた。

三神官様が、真下・平本・俺の順でステータスを見て行った。


「一体どうやったら、こんなに低いステータス能力になるのですか!!」

”鎧の神官”シー様の堪忍袋の緒が切れた。


<バルツブルーダー神殿>は、スタートが<ホワイトベス城>でゴールが<魔王城>だとしたら、3/4の位置にある。魔王討伐の旅の終盤と言っても良い場所である。


「どうやったら、こんな低いステータス能力でこの<バルツブルーダー神殿>にたどり着けるのだ!?この周辺のモンスターはかなりの高レベルのはずなのに、こんな低レベルのパーティーが!?」

”盾の神官”ブック様の堪忍袋の緒も切れていた。


「二人とも落着け、よく本田様のステータスを見ろ。本田様だけ異様に高いステータス能力だ。多分だが、最初の<ホワイトベス城>から<バルツブルーダー神殿>まで、本田様1人で戦ったのであろう。そうでなければ3人の異様なレベルの低さと、本田様の異様なレベルの高さの理由が付かない。」

”剣の神官”アノー様が諦めた声で言った。


三神官様は集まり、この緊急事態にドワーフの王”トト”様とエルフの王”グレミー”様に助言を仰ぐ事になった。

ドワーフの王とエルフの王がこの場に来る事に、塩谷・真下・平本が恐怖に固まる。


エルフの王”グレミー”様とは、魔王討伐の旅の途中で大きな街で滞在していた時に、エルフ族が勇者パーティーに助けを求めてきた事があった。エルフの森の近くで、<イーフリット>という炎を纏った大狼を討伐してくれと頼んで来たが、塩谷は”高級娼館”に真下と平本は”高級ホテル”に入り浸って全く取り合わなかった。それで、俺1人でエルフの森に行き、エルフ族と共に<イーフリット>を火傷やけどを負いながら討伐した時に知り合った。


ドワーフの王”トト”様とは、ドワーフのミスリル鉱山で暴れていた<ブルデスニーゴ>という岩で出来た巨大な牛を討伐してくれと、ドワーフ族が勇者パーティーに頼んできたがやっぱり全く取り合わなかった。それで、俺1人でドワーフの集落に行き、ドワーフ族と共に<ブルデスニーゴ>をかなりボロボロになりながら討伐した時に知り合った。


3人が見捨てた、エルフ族とドワーフ族の王がここにやって来るのだ、生きた心地はしないであろう。


赤い宝玉オーブが埋まった扉の右側に転移の魔法陣が現れ、エルフの王”グレミー”様が現れた。

少し焦った表情をしていたが、俺の姿を見つけると小走りに挨拶に来た。

「タケル君!久しぶり、元気だったかい?あの時はどうも、本当に助かったよ!!」

”グレミー”様は笑顔で握手をしてきた。

「本当にお久しぶりです”グレミー”様、エルフの森の皆も元気ですか?」

俺も笑顔で握手し返した。

「もちろん、エルフの森の皆も元気だよ!君が<イーフリット>を倒してくれたからね!まあ、どっかの誰かさん達は、快楽を貪るのに忙しくてエルフ族を見捨てたけどね!」

”グレミー”様の言葉で、塩谷・真下・平本は固まり下を向いた。


「それじゃあ、タケル君。三神官が呼んでいるので失礼!」軽く手を振りながら、”グレミー”様は三神官様の所に行った。


今度は、黒い宝玉オーブが埋まった扉の左側に転移の魔法陣が現れ、ドワーフの王”トト”様が現れた。

かなり怒った表情をしていたが、俺の姿を見つけると嬉しそうに走って来た。

「久しいな、タケル!また会えてうれしいぞ!」

俺と笑いながら力強く握手する”トト”様。

「俺の心配した通りになってしまったな、タケル。やはりこの3人はお前のかせになる、早めに別れることを進める。」”トト”様は3人に侮蔑の視線を送っていた。


塩谷、真下、平本は下を向いて震えながら泣いていた。


「行くぞ、タケル!こんな奴らは放っておいて、別の部屋で今後の方針を決めねばなるまい!」

”トト”様は、”グレミー”様と三神官様の方に歩き出した。そして、俺も続く。


俺達は、ポンコツと化した勇者パーティーを”試練の間”に残して別の部屋へ移動した。








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