現在、俺の平穏崩壊中!
小鳥のさえずる声で、目が覚めた。俺の身体の上で寝ているはずの”プルーツ”さんが何故が居なかったで、
探してみると俺の左の二の腕を枕に”スヤスヤ”と幸せそうに寝ていた。
”プルーツ”さんの幸せそうな寝顔を見て、思わず微笑む。そして、俺は発見してしまう。
俺の二の腕を枕に、こちらを向いて寝ている”プルーツ”さんの”Cの胸の双丘”が重なって”鏡餅”状態なのを発見してしまった。
無意識の中に、右腕が”プルーツ”さんの”鏡餅”に手が伸びる。”プルーツ”さんの重なった”Cの胸の双丘”の上の段、”Cの胸の双丘”の淡い桜色の蕾を中指で下に弾く。すると、”Cの胸の双丘”の下の段とぶつかって
”ポヨン!”と跳ね返される。俺に笑みが浮かぶ。
今度は”Cの胸の双丘”の淡い桜色の蕾を親指で上に弾く。すると、1度重力に逆らうが”プルン!”と元に
戻った。再び、俺に笑みが浮かぶ。
”ピン!”・”ポヨン!”・”ピン!”・”プルン!”・”ピン!”・”ポヨン!”・”ピン!”・”プルン!”これを何回か繰り返すと、俺には満面の笑みが浮かんでいた。
ふと視線を感じて横を見ると、”悪戯っ子”の顔をした”プルーツ”さんがいた。
「おはよう、タケル。タケルはいったい何をしているのかな?」
”ニヤニヤ”した顔で”プルーツ”さんが聞いて来た。
「えっと、その、これはそのう・・・。」俺は突然の事だったので、返答が上手く出来なかった。
「タケルは私に、いったい何をしているのかな?」再び、”ニヤニヤ”した顔で”プルーツ”さんが聞いて来た。
「えっと、俺が住んでいた国では、年末になると”もち米”を炊いて、”臼”と”杵”という木製ハンマーで潰して”餅”という食べ物を作るんだよ、その”餅”を大きく丸くした物を二段に重ねて神様に捧げる儀式があるんだよ。その重なった”餅”は鏡餅”って言って、神様が宿る神聖な物なんだよ。その形に似ているなあっと思ってだよ。」俺は自分の世界の知識で、この場を誤魔化そうとした。
「つまりタケルは、神様が宿る神聖な物に似ていた私の”胸の双丘”に悪戯していたと。」
再び、絶好調な”ニヤニヤ”した顔で”プルーツ”さんが聞いて来た。
「・・・・・」俺は黙るしかなかった。完全に誤魔化しが失敗したからだ。むしろ”墓穴を掘った”。
俺が沈黙すると、”ブルーツ”さんの身体が”シュバ!!”と動いた。俺の両脇の横に”プルーツ”さんの両膝が、俺の頭の斜め上に”プルーツ”さんの両手が置かれた。結果、俺の顔の真上には重力に従った、”プルーツ”さんの
”Cの胸の双丘”があった。
「ほら、タケル~♪”ゴメンナサイ”は?」頭の上の方向から”プルーツ”さんの声が聞こえたが、俺は顔の真上にある”Cの胸の双丘”に釘付けだった。”プルーツ“さんが喋ると、微かに”プルプル”と震えている。
「ほらほら、タケル君~♪”プルーツ”お姉さんに”ゴメンナサイ”は~?」再び、頭の上の方向から”プルーツ”
さんの声が聞こえる。身体を左右に揺らしているのか、”Cの胸の双丘”も左右に”たゆんたゆん”と揺れていた。
(”重力に魂を引かれる”という名言があるが、俺はこの光景が見えるなら”重力に魂を引かれても良い”!)
俺は”たゆんたゆん”と揺れる、”プルーツ”さんの”Cの胸の双丘”を見ながら心底思った。
「ウニャン!」俺は右手を”猫の手”(料理で食材を斬る時に、指を丸めて食材を抑える形)で”猫パンチ”
(最弱)を”プルーツ”さんの”Cの胸の双丘”の左側に入れる。すると”プルーツ”さんの”Cの胸の双丘”は
”ポヨヨン”と右に弾かれた。
「へ!?」俺の”猫パンチ”(最弱)に”プルーツ”さんが、驚きの声を上げる。
「ウニャン!」今度は左手で”猫パンチ”(最弱)を”プルーツ”さんの”Cの胸の双丘”の右側に入れる。
すると今度は”プルーツ”さんの”Cの胸の双丘”は”ポヨヨン”と左に弾かれた。
「ちょっと!タケル!?」今度は、動揺した”プルーツ”さんの声が聞こえる。
「ウニャニャニャニャニャニャニャニャニャニャニャ!!」俺は、マタタビが掛かった猫じゃらしと遊ぶ
チビクロの様に、右・左・右下・左下・下側と連続で”猫パンチ”(最弱)を”プルーツ”さんの”Cの胸の双丘”に入れる。
”ポヨヨヨヨヨヨヨヨヨヨン!!”と縦横無尽に”プルーツ”さんの”Cの胸の双丘”は弾かれる。
「んふふふふ!!”弾力”万歳!”重力”万歳!!」連続で”猫パンチ”(最弱)を”プルーツ”さんの”Cの胸の双丘”に入れつつ、俺は喜んでいた。
今日もやっぱり”プルール”さんと”プルーツ”さんと”イチャイチャ”する、俺は心の中で思っていたが世の中は
そんなに甘くなかった。
俺と”プルール”さんと”プルーツ”さんの楽しい平穏な時間の終わりは、突然にやって来た。
その日の午前は、昨日の夕方に”プルール”さんと”プルーツ”さんに約束していた”料理”と”スイーツ”を御神木の”ディードリー”の木で教えていた。
<シャックフーカの実>に”肉”の味付けをし、細かく刻んだ”なんちゃって挽肉”を使った”挽肉料理”を
”プルール”さんと教わりたいエルフに教え、”ホールケーキ”・”シュークリーム”・”パフェ”・”ドーナッツ”を
”プルーツ”さんと教わりたいエルフに教え、”釜玉うどん”・”ぶっかけ冷やしたぬきうどん”を”グレミー”様に
午前中は実践方式で教えていた。
昼時になり、大量の試作品を料理作りに参加したエルフ達がほぼ全ての”料理”と食後の”デザート”を
食べ切った時に、若いエルフが大広間に飛び込んで来た。
「”グレミー”様!!緊急報告です!!」
若いエルフが大広間に居る”グレミー”様を見つけ、慌てた様子で走り寄る。途中、俺を見た気がして嫌な予感がした。
「どうしたんだい、”トレスト”?私が作った自信作、”ぶっかけ冷やしたぬきうどん”を食べて落ち着きなさい。冷たいから一気に食べる事が出来るよ。」”グレミー”様は、”トレスト”という名の若いエルフに”ぶっかけ
冷やしたぬきうどん”を差し出しながら言った。
「いや、本当に緊急事態なんですけど!」そう言いながら、しっかりと”ぶっかけ冷やしたぬきうどん”を
”グレミー”様から受け取る”トレスト”さん。
「そうか、ならばこちらで聞こう。」”トレスト”さんが”ぶっかけ冷やしたぬきうどん”を受け取るのを確認すると、”グレミー”様は少し奥に移動して報告を受けていた。
”トレスト”さんから報告を受けている”グレミー”様の顔色が青くなっていき、”チラリ”と俺の方を見た。
物凄く嫌な予感がする。
「・・・はあああああああ。」報告を受け終わった”グレミー”様が深い溜息を付きながら、重い足取りで俺の前にやって来た。
「・・・タケル君。悪い報告があります。」暗い表情で、”グレミー”様が俺に声を掛けて来た。
「・・・もしかして、また凶悪なモンスターですか?」絶対違うと分かっているが、俺は”グレミー”様に
聞いてみた。
「いや違うよ。凶悪なモンスターは、タケル君と”プルーツ”・”ビチャール”・”モドン”・”イノー”のお蔭で
大丈夫。」苦笑しながら、”グレミー”様は答えてくれた。そして、”チラリ”と俺の横の”プルール”さんと
”プルーツ”さんを見た。
「・・・タケル君、”勇者”塩谷が大きな街に行くと必ず寄る店があるよね。」暗い表情で”グレミー”様が俺に
聞いて来た。
「!!!」俺は気付いた。”高級娼館”だと、”プルール”さんと”プルーツ”さんに人間の教育上良くないの存在を知られたくないのだと。
「激辛料理の店ですね!俺は激辛料理は嫌いなので行きませんけど!!」
俺は塩谷が行けて、俺が行けない店をチョイスして言った。
「!!・・・そうそう!激辛料理の店!!!。」
俺のチョイスは良かったらしいが、”グレミー”様の表情が明るくなった。
「あと”高級娼館”に入り浸っているよね!”勇者”塩谷!!」
俺の横の”プルーツ”さんが怒りながら言った。”プルール”さんも”ウンウン”と怒りながら頷いている。
「!!!」”プルーツ”さんの言葉で、驚愕の表情で固まる”グレミー”様と俺。
(・・・ヤバイ。”魔王討伐の旅”の愚痴を”プルール”さんと”プルーツ”さんに聞いて貰ったのを忘れていた。)俺は内心、物凄く焦った。
「・・・タケル君?私の親友の大事な娘達に何を教えてしまったのかね?」
無表情になってしまった”グレミー”様が、口を”カクカク”させながら俺に言った。
「!!スイマセン!!”魔王討伐の旅”の愚痴を”プルール”さんと”プルーツ”さんに聞いて貰ったのを忘れていました。大変申し訳ありませんでした!!」俺は腰を90度に曲げて、”グレミー”様に謝罪した。
「・・・はあ、しょうがないか。”トレスト”と”サグサエ”から報告は聞いているよ。本当にあの”勇者”・
”魔法使い”・”僧侶”の3人は快楽にしか興味が無い人間だという事、ずっと”高級娼館”と”高級ホテル”に
入り浸っているんだってね。」溜息を付きながら、”グレミー”様は俺の失言を許してくれた。どうやら俺が
エルフの里に居る間、塩谷には”トレスト”さんが真下と平本には”サグサエ”さんが監視に着いていてくれて、”グレミー”様に報告をしていてくれたみたいだ。
「・・・えっと、”グレミー”様。それでは、塩谷が<シャングリーの街>で何したかを教えて下さい。」
再び暗い表情になってしまった”グレミー”様に、”おずおず”と俺が聞く。
「結論から言うと、明日の午前十時に<シャングリーの街>の大広場で”勇者”塩谷の<ギロチン刑>が
決定した。」俺の顔を真っ直ぐ見ながら、真剣な顔で”グレミー”様が言った。
「・・・・・」<ギロチン刑>という、あまりの重大発表に俺の身体は硬直し、頭の中は真っ白になった。
「・・・えっと、何をどうやったら、”高級娼館”から塩谷は<ギロチン刑>の流れになったんです?」
少しの時間が掛かったが、ショックから立ち直った俺が”グレミー”様に聞いた。
「・・・なんと言うか、私には理解できない理由で<ギロチン刑>になりそうなんだ。」頭を小さく左右に
振りながら、”グレミー”様が呆れたように言った。
「まず”勇者”塩谷は、今日の午前中に”高級娼館”で問題を起こした。従業員の女性の嫌がる行為をして、
店の奥に連れて行かれて袋叩きにされ、有り金と装備を没収されて”高級娼館”から叩き出されたんだ。」
”グレミー”様が、言い難そうに話し出した。
「なるほど、妙に納得です!」いつか問題を起こすと俺は思っていたので、”ウンウン”と頷いた。
「そして、”高級娼館”のすぐ横で経営している<酒場・ドリー亭>に無一文で入って行った。<酒場・ドリー亭>は、”勇者”塩谷が<シャングリーの街>に滞在中、気に入った”高級娼館”の女性従業員を連れて利用していた店なのだけど、食事中にだねえ・・・・・。」”グレミー”様がかなり言い辛そうにしていたので、なんとなく俺には内容が読めた。
「もしかして、俺の悪評ですか?”戦闘中、逃げ回っていて戦力にならない”と”ギャンブル狂いで、パーティーの金を何度も持ち逃げしている”の2つですか?」俺は塩谷が、王城や街の代表の屋敷でいつも俺の評判を
下げている”フレーズ”を言ってみた。
「そう、その2つの”フレーズ”を<酒場・ドリー亭>で散々(さんざん)言っていたのだけれど、魔法で
タケル君の姿に変身して、無銭飲食して大暴れたんだよね。無一文の”勇者”塩谷。」
頭痛がして来たのか、左手で頭を押さえながら”グレミー”様が言った。
「・・・えっと、塩谷自身が<酒場・ドリー亭>で俺の評価を下げていたんですよね?」
俺は再度確認の為、”グレミー”様に聞いてみた。
「その通り、”勇者”塩谷自身が<酒場・ドリー亭>でタケル君の評価を物凄く下げたんだ。」
頭を押えつつ、”グレミー”様が答えてくれた。
「・・・俺の評価が最悪な<酒場・ドリー亭>で、俺の姿で無銭飲食をして大暴れしたと。」
俺も頭痛がして来たが、詳細を聞き続けた。
「”勇者”塩谷は<酒場・ドリー亭>に入り、高級な酒と料理を注文し飲み食いした後、お金を払わずに<ドリー亭>を出ようとして、出口の所で”看板娘”に停められたのだが、その”看板娘”を殴り倒して<ドリー亭>に
いる客全員に喧嘩を売る様な暴言を言ったんだ。」”グレミー”様が、非常に疲れた様子で話してくれた。
「・・・ちなみに、どんな内容の暴言だったのですか?”トレスト”さん。”グレミー”様が限界そうなのでお願いします。」あまり聞きたくないが、塩谷を助ける為には内容を知らなければならなかった。
「えっとですね、”俺は勇者パーティーの”戦士”本田だ!お前ら凡人の代わりにモンスターと戦ってやっているんだから感謝しろ!!まったく気が利かない奴らだ、普通に考えて、この店から出る前に、俺に感謝の印として有り金全部を献上するのが当たり前だろ?”と言い終った瞬間に、<ドリー亭>の客の1人に殴り倒されましたけどね。」”ぶっかけ冷やしたぬきうどん”を食べる手を止めて、”トレスト”さんが冷静に教えてくれた。
「あれ?そういえば、塩谷の変身の魔法が解けてませんね?アイツ気絶しなかったんですか?」
塩谷の変身魔法が自分の意思で解除するか、意識を失って強制解除される事を俺は知っていたので、
殴り倒されても変身が解除されなかったのは意外だった。
「そうですね、殴り倒された後、数名の客に手加減無しの蹴りを叩き込まれていましたが、変身は解けていませんでした。その後、強引に立たされてから殴り飛ばされ、殴り飛ばされた先でまた殴り飛ばされるが続いていましたが、”勇者”塩谷様の変身は解けませんでしたよ。」結構、怖い事を平然と”トレスト”さんが教えてくれた。
「一日で2度も袋叩き似合う馬鹿が、俺の身近に存在するとは。情けない。」
塩谷を”勇者”として召喚した、女神”サリース”が本当に”ポンコツ”だと再確認した。
「”バカ”だ、本物の”バカ”がいる!」”プルーツ”さんが、呆れた様に言った。
「自分が悪いのに、女性に手を暴力を振うなんて最低です!!」”プルール”さんが、怒りながら言った。
「そこから異様な盛り上がりを見せたんですよ。”こいつが居なければ、もっと早く魔王討伐が出来る!”とか、”こいつが勇者パーティーの金を持ち逃げするから、勇者様が金策で苦労する!”とか、”こいつの所為で、勇者様の評判まで下がる!”とか口々(くちぐち)に言いだし、最終的に”戦力的に意味ないし、存在していると勇者様に不利益”なので、議論の結果<ギロチン刑>が決定しました。」かなり怖い事を、平然と”トレスト”さんが教えてくれた。
「ちょっと短絡過ぎじゃない?いきなり<ギロチン刑>って。」”プルーツ”さんが、少し青ざめて言った。
「何かに、全員が洗脳されているみたいですね。」”プルール”さんも、少し青ざめて言った。
「・・・多分、塩谷の”特殊スキル”の仕業だよ。どんな馬鹿げた事でも、どんな理不尽な事でも、
塩谷が口にすると正論に聞こえて、正論だと信じ込んでしまう。まあ、俺は塩谷、真下、平本の3人をボコボコにしたから、アイツ等の”特殊スキル”は俺に効かなくなったけどね。」俺は苦笑しながら、”プルール”さんと”プルーツ”さんに言った。
「<ドリー亭>で<ギロチン刑>が決定した後の動きも早かったですね、街の大広場に<ギロチン刑>の舞台の設置の動きや、”勇者”塩谷を閉じ込めておく”檻”の手配、”勇者”塩谷様をパンツ一丁にして、後ろ手に縛り
上げて小突きながら大広場に連行する若者たち。連携が取れていました。」感心したように、”トレスト”さんが教えてくれた。
「・・・あの。パンツ一丁で、後ろ手に縛り上げられて大広場に連行されているのって、俺の姿なんですよね?止めてくれなかったんですか?」俺は少し怒りを覚えつつ、”トレスト”さんに聞いた。
「そうですね、エルフの私が止めるは無理と判断したので、”高級ホテル”にいる”魔法使い”真下様、”僧侶”平本様に止めて貰おうと、現状を書いたメモを2人が泊まっている部屋のドアの下から滑り込ませて、強めにドアをノックした十分後に、焦った顔した2人が部屋から飛び出してきました。これで大丈夫と思ったのですが、後ろ手に縛り上げて小突きながら大広場に連行される”勇者”塩谷様を見て、怖くなったのか踵を返して
”高級ホテル”2人で帰ろうとしたので、私と”サグサエ”で止めようとしたんですが、急に気分が悪くなってその場から動けなくなってしまったんです。」”トレスト”さんが、不思議そうに言った。
「・・・平本の”特殊スキル”<人払い>仕業だな。」俺は溜息を付きながら言った。
「”特殊スキル”<人払い>って、どんな効果があるの?」興味があるのか、”プルーツ”さんが聞いて来た。
「平本の”特殊スキル”<人払い>を発動すると、最大で直径10メートル位のドーム型の結界が形成されるんだ。<人払い>と言うだけあって、そのドーム型の結界に触れると気分や体調が悪くなり、そこから逃げ出すんだよ。戦場で力を発揮する事が出来れば余分な戦いや、戦いたくない相手を近づけさせないから物凄く便利なんだけど、戦場では平本がモンスターにビビって意識を集中出来ないから、戦場では使えないんだよ。」
再び、俺は溜息を付きながら言った。
「”特殊スキル”とは、意識を集中しないと出来ないのですか?」今度は、”プルール”さんが聞いて来た。
「その通りです。”戦士”とか”武道家”って魔力が無いじゃないですか、だから魔力を使わなくても良い意識の
集中が発動条件なんですよ。」俺は微笑みながら、”プルール”さんに答えた。
「話を続けますと、私と”サグサエ”が気力を振り絞って立ち上がり2人を追うと、曲がり角を曲がった先で姿を見失いました。あの距離だったら絶対に見失わないはずだったのに!」”トレスト”さんが、悔しそうに言った。
「それは真下の”特殊スキル”<安全地帯>仕業だど思います。本当にアイツ等、逃げる事に関しては
天才的だな。」呆れた様に、俺は溜息を付きながら言った。
「”特殊スキル”<安全地帯>の効果は、どうなの?凄いの?」再び、興味があるのか”プルーツ”さんが
聞いて来た。
「塩谷の次に凄いかもしれない、”特殊スキル”<安全地帯>を発動すると、最大で直径8メートル・高さ3メートルの円柱の結界が形成される。この円柱型の結界は、反対側が透けて見える透明性。そして、円柱の中は
20℃で快適!雨風は一切通さず!音・匂い・気配・魔力・体温を外側からは感知されない優れもの!!」
俺は自分で言っていて、だんだん羨ましくなって来た。
この真下の”特殊スキル”<安全地帯>は男の夢の”透明人間状態”が可能だからだ。自分の体の大きさに
”特殊スキル”<安全地帯>を発動させれば、温泉の女湯・公衆浴場の女湯・湖や滝で水浴びしている女子を
余裕で見ている事が出来るからだ。羨ましい事この上無し!!
「でも、真下さんは戦場では使えないんですよね?」俺の邪な考えなど知らない”プルール”さんが、
微笑みながら言った。
「戦場で使えなきゃ、持っていても意味は無いよ。気にしないで、タケル。」俺の邪な考えなど知らない
”プルーツ”さんも、俺を慰める為に言ってくれた。
「・・・なるほど。見えないだけで近くに居たんですね、あの”バカップル”。」
”トレスト”さんが、忌々(いまいま)しそうに言った。
「スイマセン!”トレスト”さん。ウチの”バカップル”がご迷惑をかけて、本当にスイマセン!!」
俺は、”トレスト”さんの平謝りした。”特殊スキル”を使ってまで、逃走するとは俺も思っていなかったからだ。
「私と”サグサエ”が仕方なく”高級ホテル”に戻ると、2人とも部屋に帰っていましたからね。この2人じゃあ
埒が明かないと思い、”サグサエ”を残して、私が報告に来ました。」疲れた様に、”トレスト”さんが言った。
「タケル君、分かっていると思うが、魔王”ジュドー”を倒せるのは”勇者”塩谷だけだ。明日、”勇者”塩谷が処刑されると、人族・エルフ族・ドワーフ族の勝利は無くなる。それどころか、エルフの里は知っていて”勇者”塩谷を見殺した罪、<シャングリーの街>は唯一、魔王”ジュドー”を倒せる”勇者”塩谷を処刑した罪で、世界中から怒りを買って滅ぼされるだろう。」”グレミー”様が、少し青ざめた顔で言った。
「スマナイ、タケル君。”アストナジー”に手伝って貰って、徹夜で<ファストールの鎧>と<ファストールの剣>の強化を朝七時までに終わらせるから、明日の朝にエルフの里を出発して、<シャングリーの街>で行われる<ギロチン刑>を止めてくれないか!この通りだ!!」俺に対して、腰を90度に曲げて”グレミー”様が
頼んで来た。
(・・・正直、行きたくない!本来ならば、もう少し”プルール”さんと”プルーツ”さんと一緒に居られたのに、塩谷の”バカ”の所為で一緒に居られる時間を削られてしまうとは!何たる不幸!!)
「・・・分かりました。塩谷の”バカ”の所為でエルフの里が危険に晒される、俺も嫌ですから行ってどうにか
止めて来ます。」俺は苦笑しながら言った。
「ありがとう、タケル君。恩に着るよ!」”グレミー”様に笑顔が戻った。
「徹夜の作業に入る前に、タケル君に渡したい物がある。」”グレミー”様が、真顔で俺に言って来た。
「エルフの里の宝物庫から、魔王討伐の旅に役立つ宝具を1つタケル君に譲りたい。<ディドリーの剣>は
”プルーツ”専用武器なので除外しれくれるかな。」微笑みながら、”グレミー”様が言った。
「ありがとうございます。・・・ですが辞退します。」俺は寂しそうに笑った。
「・・・ほう、エルフの宝具は必要無いと。」目を細めながら、”グレミー”様が言った。辞退した事に
怒ってしまったかもしれない。
「正確には、宝物庫には現在は入っていないと言いますか。”グレミー”様と”アストナジー”さんが
<ファストールの鎧>と<ファストールの剣>を強化してくれるから、それ以上の武器と防具は存在しないでしょう?魔王討伐の旅に役立つ物といえば、俺にとっては”心の支え”になる<思い出>が必要です。」
俺は再び、寂しそうに笑った。
「武器と防具の件は認めてくれて、本当に嬉しいよ。でも、”心の支え”になる<思い出>とは、どういう事なのかな?」”グレミー”様が、不思議そうに聞いて来た。
「俺の”魔王討伐の旅”は、4/5がモンスターとの戦い。残り1/5が塩谷・真下・平本の3人との戦いです。
はっきり言って、俺達は本当に仲が悪いんです。常に足の引っ張り合いです。」
俺は自分で言っていて、本当に悲しくなって来た。
「ねえ、1/5の割合って、結構多くない?」憐れむような顔で、”プルーツ”さんが聞いて来た。
「普通は無いよ。”そりが合わない”位はあっても、無実の罪で俺を牢屋に入れるなんて、普通は無いよ。」
2回も無実の罪で牢屋に入れられた俺が言う。
「あの3人は戦闘力では俺に勝てないので、俺の心に攻撃を仕掛けて来るんです、特に女性関係で。塩谷は
”高級娼館”の姐様達の自慢、真下と平本は自分達の”ラブラブ”っぷりを自慢して来るんです。それに対抗する為に、”プルール”さんと”プルーツ”さんの<思い出>が必要なんです!!」俺は拳に力を込めて力説した。
「もし平本が俺に女性関係で皮肉を言って来ても、”ふ~ん、俺は美人エルフ姉妹の姉の”プルール”さんに、沢山美味しい料理を作ってくれたけど、平本は何品料理を作れる?それ美味しいの?食べられるの?って
カウンターで皮肉を言える!!」俺がそう言うと、”プルール”さんが恥ずかしそうに”モジモジ”してた。
「もし真下が俺に女性関係で嫌味を言って来ても、”へ~、俺は美人エルフ姉妹の妹の”プルーツ”さんに、
何種類もの口当たりの良い、絶妙な甘さのスイーツを作って貰ったけど、お前の彼女の平本は何種類作れる?知識ある?テクニックある?それ食べられる?ってカウンターで嫌味を言える!!」俺がそう言うと、
”プルーツ”さんは誇らしげに笑っていた。
「もし塩谷が俺に女性関係で自慢して来ても、”俺は美人エルフ姉妹に一緒に昼寝をして貰ったよ。右側には姉の”プルール”さん、左には妹の”プルーツ”さんが俺の両腕を”コアラ”の様に抱き着いて貰ったよ。
”プニプニ”の”ポヨポヨ”だったよ。ところで、塩谷の話は俺の話より価値あるの?”ってカウンターで自慢
出来るんです!!」俺がそう言うと、美人エルフ姉妹は恥ずかしそうに”モジモジ”してた。
「・・・なるほど。タケル君、色んな意味で大変な旅をして来たんだね。」
少し憐れむような顔で、”グレミー”様が言って来た。
「・・・本当に大変なんですよ。エルフの宝具が素晴らしいのは分かるのですが、俺の旅に必要なのは
<思い出>。あの3人と渡り合える<思い出>が必要不可欠なんです!!」俺は力強く言い切った。
「・・・”プルール”に”プルーツ”。すまないが、タケル君の<思い出>作りに協力してくれないか?」
”グレミー”様が”プルール”さんと”プルーツ”さんに尋ねると、2人は即座に頷いてくれた。
「よし!では、エルフの王”グレミー=ハマーン”の名において、皆に命じる。明日の朝、”戦士”タケル殿が
”プルール”と”プルーツ”の家を出るまで接触を禁止する。3人の<思い出>作りを邪魔しない様に、皆、
協力してくれ!!」”グレミー”様が、王様らしい口調で命令を出してくれた。
「それじゃあ、帰って<思い出>作りしようか!タケル!!」そう言って、”プルーツ”さんが俺の左手を
取った。
「帰りに、夕飯の材料を買って良いですか?タケルさん。」そう言って、”プルール”さんが俺の右手を取った。
俺は”プルール”さんと”プルーツ“さんに両手を引かれ、背中に生温かい慈愛の視線を受けながら
”ディードリー”の木を後にした。




