現在、モンスター討伐中!
「おはよう!”プルール”、タケル君。絶好のモンスター討伐日和だよ!」
ニコニコしながら、”グレミー”様が迎えに来た。
「おはようございます!」苦笑しながら、俺と”プルール”さんは挨拶した。
「さて、タケル君。タケル君には、モンスターを討伐して貰うのだが、<ファストールの鎧>と<ファストールの剣>を私が強化しているので、代わりに鎧と剣を用意するので1度、御神木の”ディードリー”の木まで、私と来てくれるかな?」”グレミー”様が、聞いて来た。。
「了解です。それでは、”プルール”さん行って来ます。」俺は了承して手を振りながら、”プルール”さんに言った。
「はい、行ってらっしゃい。」微笑みながら、”プルール”さんが手を振り返してくれる。
俺は高さ10メートルの所にある”プルール”さんと”プルーツ”さんの家から、”グレミー”様の魔法で地上に
下ろして貰う。下ろして貰うと、エルフの子供達が寄って来た。
「”うまし!!”の兄ちゃんだ!!」俺を指差しながら、男の子が寄って来た。
「”うまし!!”やって!!」別の男の子が、右手を突き出しながら”うまし!!”をしながら、寄って来た。
「”うまし!!”の兄ちゃん、”グレミー”様と一緒にどこか行くの?」さらに別の男の子が、寄って来た。
「”うまし!!”、えっとね、兄ちゃんは、エルフの里の外の悪いモンスターを倒してくるんだよ。」
俺は右手を突き出し、”うまし!!”をやりながら、男の子達に答えた。
「へー、大変だねえ、”うまし!!”の兄ちゃん。」笑いながら、最初の男の子が言う。
「・・・<ゼター>の兄ちゃんには、ならないだろうか?」俺は笑顔で聞いてみた。
「え~!!、<ゼター>より、”うまし!!”の方がいいじゃん!!」男の子が、返して来た。
(俺の<ゼター>が、<オードリ○ 春日>のギャグに負けた!!)俺は内心、ショックを受けた。
「まあまあ、タケル君。子供は興味のある物が一番偉いんだから、気にしない。」
苦笑しながら、”グレミー”様が言った。
「子供達、タケル君はこれから出かけるので、行っても良いかな?」”グレミー”様が、微笑みながら言った。
「はい!!大丈夫です!!行ってらっしゃい、”うまし!!”の兄ちゃん!!」
子供達は、元気に俺と”グレミー”様を見送ってくれた。
「・・・負けた、”うまし!!”に、俺の<ゼター>が負けた。」
”グレミー”様の風魔法で、地上30センチを浮きながら移動しているが、やはりショックが大きい。
「おいおい、タケル君。もう少しで到着するよ、”プルーツ”と”ビチャール”それに”モドン”と”イノー”が、
タケル君のモンスター討伐メンバーだ。仲良くしてやってくれたまえ。」
”グレミー”様が、微笑みながら言った。
「了解です!」俺は、気持ちを切り変えて返事をした。
、御神木の”ディードリー”の木の前に、”プルーツ”さんと”ビチャール”さん・”モドン”さん・”イノー”さんの
4人が待っていた。
「おはよう!タケル!!今日はよろしくな!!」
俺と”グレミー”様を見つけた、ビチャール”さんが挨拶してくれた。
「昨日の祝勝会は、楽しかったよ!!」”モドン”さんが、言ってくれた。
「今日は、モンスター討伐をよろしくね!」”イノー”さんが、言ってくれた。
”プルーツ”さんは、そっぽ向いたまま無言だった。
「・・・あの、おはようございます。”プルーツ”さん。今日はよろしくお願いします。」
俺は、そっぽを向いている”プルーツ”さんに挨拶をした。
「・・・・・おはよ。」そっぽ向いたまま、”プルーツ”さんから挨拶が返って来た。
「・・・お前、”プルーツ”に何やったんだ?」スススススっと、俺の横に”ビチャール“さんが来て、
俺に小声で聞いた。
「・・・心当たりがあるなら、昨日の<ヒ○ダンス>かな?<ヒ○ダンス>は挑発に使うと、相手は物凄く
頭に来るらしいから。」俺も、小声で答えた。
「・・・とりあえず、謝った方が良くないか?」”ビチャール”さんが、提案して来た。
「・・・良いと思うけど、”何に対して怒っているか言ってみろ!”と女性に言われると、死亡するから気を付けろって”モンシアーノ”さんに、言われているからなあ。」俺は、答えた。
「誰だよ、”モンシアーノ”さんって?」苦笑しながら、”ビチャール”さんが聞いて来た。
「奥手だった俺に、女性に対する接し方を教えてくれた。尊敬出来る人生の先生だよ。」
俺は、苦笑しながら言った。
「だったら、こういう場合はどうするか教えて貰ってないのか?これから一緒にモンスター討伐に行くんだぞ、気まず過ぎる!!」困った様に、”ビチャール”さんが言う。
「・・・スイマセン、1か月の基礎訓練の合間に教えて貰っていたので、女性の接し方も基礎の基礎しか
教わっていないんです。スイマセン。」俺は、”ビチャール”さんに謝罪した。
「・・・まあ、教えて貰ってないならしょうがないか。だけど、これ以上悪化させるなよ。」
俺は”ビチャール”さんに、釘を刺されてしまった。
「”イノー”、タケル君に鎧を渡してくれ。」”グレミー”様が、”イノー”さんに命じた。
「はい、”グレミー”様。タケル、この鎧を装備してくれる。」”イノー”さんがそう言って、大きめの木製の鎧を渡して来た。
「・・・”イノー”さん、この鎧は俺のサイズより大きい気がするのですが?」”イノー”さんから鎧を受け取り、俺のサイズより少し大きいので言った。
「ふふふ、これから驚く事があるから、気にしないで。気にせずに、装備してくれるかな。」
”イノー”さんが、笑いながら言った。
俺の支給された鎧は、”プルーツ”さん達と同じ物だが、何が驚くのか全く分からなかった。
俺は肘と前腕と手首と手の甲を護る木製の<アームプロテクター>、胸を護る木製の<ボディープロテクター>、膝と脛と足首と足の甲を護る木製の<レッグプロテクター>を装備した。
「装備出来たかな?タケル君。」笑顔で、”グレミー”様が聞いて来た。
「はい、装備できましたが、やっぱり”ブカブカ”ですね。」俺は、困惑しながら答えた。
「では!<霊木”ディードリー”よ!、汝の衣を強き鎧に、汝の衣を強き戦士に!”ディードリー・トーガ・メイジャーニ・シターナ・エ・ルーフ”!!>」”グレミー”様が、呪文を唱えた。
すると、俺の鎧に変化が起きた。一瞬、鎧が大きくなったと思ったら、密着して動きやすい形状に変化した。<EV○>の<プラグス○ツ>の様な感じである。
「どうかな、タケル君?<ディドリーの鎧>の着心地は?これから強化する、<ファストールの鎧>と
<ファストールの剣>は魔力を流し込む事で、力を発揮する。<ディドリーの鎧>も魔力を流し込むと速度が上がる特殊能力が付与されている。強化版<ファストールの鎧>と<ファストールの剣>の練習になると
思うよ。」”グレミー”様が、笑顔で言った。
「とても着心地は良いです!あの、少し動いて具合を見て良いですか?」俺は、”グレミー”様に聞いた。
「いいとも、魔力を流し込む量で速度が上がるから、気を付けてね。」”グレミー”様が、笑顔で言った。
「了解です!」<ディドリーの鎧>に魔力を流し込みながら、俺は答えた。
左右に10メートル位、行ったり来たりする。確かに早くなっている。
次にジグザグに10メートル、最後に直径10メートルを反時計回りに1周する。問題無し!
もう少し魔力を込めてみる。左右に10メートル位、行ったり来たりする。さらに早くなっている。
次にジグザグに移動しようとしたら、2回目の切り返しを失敗した。
ズシャアアアアア!!と派手に転んでしまった。
「ブフッ!!」笑い声が聞こえたので、顔を向けると”プルーツ”さんが急いで、顔を逸らした。
「大丈夫かい?タケル。」”イノー”さんが、俺を転倒した俺を助けてくれた。
「大丈夫です。思った以上の速さが出たので、制御出来ませんでした。」助け起こされながら、俺は言った。
「使いこなせそうか?」”モドン”さんが、聞いて来た。
「先程は2割位速く動けたけど、練習すればもっと速く動けますよ。」苦笑しながら、俺は答えた。
「それでは、次は武器だ。これをタケル君に預ける。」”グレミー”様は懐から、<魔法袋>を取り出し、
中から細身の剣を取り出した。
<魔法袋>は、俺の<アイテムボックス>と同じ原理の”マジックアイテム”である。簡単に言えば、
<ドラえも○>の<四次元ボケ○ト>である。
「タケル君、この剣は”ディドリー”様が使っていた、<古代魔法>が付与されている<レイピア>だ。
<ファストールの剣>を強化中は、この剣を使ってくれ。」”グレミー”様が、微笑みながら言った。
「!!!ちょっと待って下さい!!タケルに貴重な<古代魔法>が付与された、<レイピア>を貸し出すの
ですか?」”プルーツ”さんが、驚いて声を上げた。
「そうだ。タケル君なら問題無いだろう。強化された<ファストールの剣>の練習にもなるし。この剣を貸し
出すのは、特に強力なモンスターと戦うのだから当然だろう。」”ウンウン”頷きながら、”グレミー”様が
言った。
(あれ!?今、特に強力なモンスターって言った気がする。え!?丸投げですか、”グレミー”様!!)
心の中でそう思ったが、下手な事を口にするのは、危険な気がするので黙っていた。
「・・・・・」”プルーツ”さんは、黙って俺を睨んでいる。
「さて、タケル君。剣を抜いて、鎧と同様に魔力を込めてみてくれ。」剣を渡しながら、”グレミー”様が
言った。
俺は剣を受け取り、剣を引き抜いた。そして、軽く魔力を剣に込めると、刀身より暴風が吹き荒れた。
俺達全員の髪が、暴風によって激しくかき乱された。
「タケル君。<古代魔法>は呪文・詠唱が不要だ。魔力を流し込み、イメージすれば”魔法”が発動する。
ただ、失われてしまった<魔法技術>なので、<ファストールの剣>には付与出来無いが、切れ味は大幅に
上がる。期待していてくれたまえ。」笑顔で、”グレミー”様が言った。
「ありがとうございます!大事に使わせて貰います。」俺も笑顔で答えた。
「・・・それでは、タケルの剣も鎧も揃ったので、そろそろモンスターの討伐に行きます。」
乱れた髪を戻しながら少し不機嫌そうに、”プルーツ”さんが”グレミー”様に言った。
「ああ、全員、怪我しない様に無理をしない様に頑張ってくれ。」軽く手を振りながら、”グレミー”様が
言った。
「分かりました、気を付けて行って来ます。行くよ!皆、私の後に着いて来て!!」
”グレミー”様に一礼すると、”プルーツ”さんは俺達に言った。
俺以外が、地上30センチ位まで浮上して移動を開始する。俺は一番後ろから、走りながら着いて行った。
エルフの森の中を、結構なスピードで15分ほど移動したが、魔力を流し込んだ<ディドリーの鎧>のお蔭で
遅れずに着いて行く事が出来た。
「!!全員、止まって!!」先頭を走っていた”プルーツ”さんが止まり、振り返らずに左手で俺達に制止を
促し、小声で言った。そして、右手で前方を指差す。
俺達は静かに停止して、”プルーツ”さんが指さす前方を見てみる。前方10メートル位先に、身長2メートル位の赤いモンスター達が居た。
「・・・<マーラ・サイクロプス>だ。15体はいる。」木の陰に隠れ、5メートルほど浮上してモンスターの数と正体を確認した”プルーツ”さんが、地上に戻って来て言った。
<マーラ・サイクロプス>は、身長は2メートル位で額に1本角を持ち、1つ目で筋肉隆々の赤い皮膚を持つモンスターである。棍棒などを持ち、集団で狩りをする。
「・・・なあ、アイツ等、何か食っていないか?」少し青ざめながら、”モドン”さんが言った。
「・・・ああ、何か食っている物で争っているな。」少し青ざめながら、”ビチャール”さんが答えた。
「・・・あれ、多分だけど<ハイザ・クック>じゃないかな。緑色の羽が大量に散らばっているし。」
かなり青ざめながら、”イノー”さんが言った。
<ハイザ・クック>は、ダチョウと同じ位の大きさの飛べない鳥型モンスターで、鋭いクチバシと鋭い爪の
両脚の蹴りで攻撃して来るモンスターである。
「・・・15体か、数が多いな。・・・タケル、5体任せられる?私が5体倒すから。”ビチャール”達は残り5体を足止めをお願い。私とタケルが自分の分を倒したら、足止めした5体を倒しに行くから。」
”プルーツ”さんは、作戦を立てて俺達に言った。
「分かった。」と”ビチャール”さんが言い、「ちょっと待って。」と俺が同時に言った。
「・・・何だ、タケル。私の作戦に文句があるのか?」少し怒りながら、”プルーツ”さんが言う。
「文句は無いけど、提案がある。」俺は真面目な顔で答えた。
「・・・提案って何?」不機嫌そうに、”プルーツ”さんが言う。
「その前に、”ビチャール”さん達の得意な魔法を教えて下さい。」俺は、”ビチャール”さん達に聞いた。
「俺達は、風魔法の防御が得意だ。俺達が防御している間に、”プルーツ”が攻撃呪文を唱えてモンスターを殲滅するのが、いつものパターンだな。」”ビチャール”さんが、教えてくれた。
「なるほど、”プルーツ”さん。ちょっと良いですか?」今度は、”プルーツ”さんに俺は聞いた。
「・・・何。」確実に怒っている、”プルーツ”さんが答えた。
「<イーフリット>に1番最初に放った雷魔法。地中から雷がモンスターを捕らえて、頭上から強力な雷で
トドメを刺す魔法。あの魔法、威力を落として良いから攻撃範囲を広くする事は出来ますか?」
俺は、”プルーツ”さんに聞いてみた。
「・・・出来るけど。」少し膨れて、”プルーツ”さんが言った。
「攻撃範囲を広げた場合、<マーラ・サイクロプス>を何体捕らえる事が出来ますか?」
俺は再び、”プルーツ”さんに聞いた。
「・・・10体かな。でも、威力を落としたから、<マーラ・サイクロプス>は倒せていない、精々(せいぜい)体の自由を五分位奪うだけ。それに、残り5体はどうするの?」
”プルーツ”さんが聞いて来た。
「自由を奪った10体を、俺が<ディードリーの剣>で斬り倒す。<ディードリーの剣>の片手剣の軽さと
<バスターソード>のリーチ、<ディードリーの鎧>の”速さ”の付与があれば可能です。残り5体は、
”プルーツ”さんが魔法で足止めか、”ビチャール”さん達の弓矢で足止めして貰えれば大丈夫です。」俺は、
<ディードリーの剣>に魔力を込めて、刀身に風魔法を纏わせて<バスターソード>の長さにして見せた。
「へ~、タケル、中々やるじゃん。」”モドン”さんが、<バスターソード>の長さになった刀身を見て言った。
「”プルーツ”、タケルの案でやってみないか?」”ビチャール”さんが、賛成してくれた。
「”ビチャール”達が良いなら、私はそれで良いよ。」”プルーツ”さんの許可も出た。
<マーラ・サイクロプス>は、5:5:5の3グループに分かれて横一列の状態で、<ハイザ・クック>を食べていた。俺達は右のグループの近くの木に移動した。そして、”プルーツ”さんと”ビチャール”さん達は大きな木の枝の上に移動、俺は木の下の茂みで待機した。”プルーツ”さんの魔法で戦闘開始だ。
木の枝の上に移動した”プルーツ”さんが、俺に手を振る。始まりの合図だ。
「<雷の神、ラン・ティース!、雷の茨を我が敵に、雷の刃を我が敵に、神罰を与えたまえ!
”イグール・ラン・ティース・マブダ・チーサ”!!>」右手の杖を上に、左手を下に構えて、”プルーツ”さんが呪文を唱えた。
<マーラ・サイクロプス>達の上空に黒い雲が発生し、雷鳴が轟始める。<マーラ・サイクロプス>達が
周囲の異変に動揺していると、足元から無数の茨の様に、雷が<マーラ・サイクロプス>達を捕らえて
感電させた。
倒れ込んで激しく痙攣している<マーラ・サイクロプス>達に、上空から強烈な雷が落ちる。
<マーラ・サイクロプス>達から、肉が焼ける嫌な匂いと体から煙が出ていた。
(これもう、<マーラ・サイクロプス>達は”虫の息”状態なんじゃないのかな?)
俺は苦笑しながら、”虫の息”状態の”虫の息”状態にトドメを刺しに茂みから飛び出した。
俺は<ディードリーの鎧>に魔力を込めて、”速さ”の付与をして一気に<マーラ・サイクロプス>達に接近した。近くで見た<マーラ・サイクロプス>達は酷かった。口から大量の泡を吹き、雷魔法によって皮膚が焼けだだれて、体中が細かく痙攣して正真正銘の虫の息だった。
(”プルーツ”さん、”体の自由を五分位奪うだけ”って言っていたけど、完全に虫の息じゃん)
”プルーツ”さんに、昨夜の”プルール”さんとの”夜の祝勝会”がバレたら、命が無いかもと一瞬思った。
俺は何だか、<マーラ・サイクロプス>達が哀れになり、一秒でも早く楽にしてやる為に最短・最速で
<マーラ・サイクロプス>達の首を刎ねた。
右と中央のグループの<マーラ・サイクロプス>達のトドメを刺すと、残った左の<マーラ・サイクロプル>達が怒りで発狂していた。
ヴォン! バキャ!!
殺気を感じて、右にサイドステップで移動すると、俺の胴体のあった場所を高速で何かが通過して、大きな木の幹にブチ当たった。木の幹にめり込んでいる物を見ると、ハンドボール大の石だった。
振り返って残った<マーラ・サイクロプス>達を見ると、1体が投球後の状態でこちらを見て笑っていた。
残り4体も囃し立てている気がした。かなり、”カチン!”と頭に来た。
俺は石を投げつけた<マーラ・サイクロプス>に、右手に持った<ディードリーの剣>を突き出す状態に
して、左手を右肘に添える。そして”イメージ”する。
”<古代魔法>は呪文・詠唱が不要だ。魔力を流し込み、イメージすれば”魔法”が発動する。”と”グレミー”様は言ったが、俺は魔法を使った事が無いので、”イメージ”を上手くする事が出来なかった。そこで考えたのが、風の魔法を使うアニメキャラの技を真似すれば良いと思いついた。
「真空!ミッスァーイル!!」俺は、<ゲートキーパ○ズ>の主人公<浮○瞬>の必殺技<真空ミサイル>を
真似した。発音も忠実に真似した。アニオタのこだわりである。
<レイピア>の刀身を<バスターソード>の長さにした分の”風魔法”が、円錐状の弾丸となり、俺に石を
投げつけた<マーラ・サイクロプス>に命中する。
ドゴオオオオオン!!
俺の予想以上の爆音が轟いた。俺に石を投げつけた<マーラ・サイクロプス>は両膝から上が無くなっていた。そいつの右にいた<マーラ・サイクロプス>は頭部と左胸と左腕が無くなって地面に転がり、そいつの左にいた<マーラ・サイクロプス>は右腕が無くなって地面でのた打ち回っていた。
俺は右手の<ディードリーの剣>と目の前の<マーラ・サイクロプス>達の惨状を何度も見比べていた。
ドドッ!! ドドッ!!
2連続の音が2回したので、<マーラ・サイクロプス>を見ると、頭と心臓に1本づつ矢が刺さっていた。
”プルーツ”さん達の方を見ると、矢を撃ち終えた姿勢をしていた。かなりの距離があるはずなのに、的確に頭と心臓に当てるエルフの弓の技術の高さを知った。
俺は地面をのた打ち回っている、最後の<マーラ・サイクロプス>の首を刎ねて、戦闘を終了させた。
「お疲れ!タケル!!」”イノー”さんが、駆け寄りながら言って来た。
「弓矢の援護をありがとうございました!」俺は左手を振りながら、”イノー”さんに答える。
「<ディードリーの剣>の威力、物凄かったな!!」”モドン”さんが、興奮気味に言って来た。
「予想外の威力でしたよ。撃った俺が一番驚きましたよ。」俺は、苦笑しながら言った。
「ほら皆!<マーラ・サイクロプス>のドロップしたアイテムとお金を集めて!!まだ、モンスター討伐は
続くのだから、のんびりしない!!」”プルーツ”さんが、リーダーらしく指示を出す。
俺達は指示に従い、ドロップしたアイテムとお金を集めて<魔法袋>に入れた。
「さて、”プルーツ”次はどっちに行く?」”ビチャール”さんが、”プルーツ”さんに聞いた。
「ん~、やっぱりこのまま真っ直ぐかな。この先にもっと強いモンスターがいたしね。」
”プルーツ”さんは、直進すると決めたらしい。
再び俺以外が、地上30センチ位まで浮上して移動を開始する。
「タケル。今度向かっている場所は、単体だけど強力なモンスターの居るエリアだ。気を付けてくれ。」
移動しながら”ビチャール”さんが、俺に忠告をしてくれた。
「・・・ちなみに、先程の<マーラ・サイクロプス>達と、どっちが遭遇したくないですか?」移動しながら俺は、”ビチャール”さんに聞いた。
「確実に、向かっている場所にいるモンスターと遭遇したくないな。」苦笑しながら、”ビチャール”さんが
言った。
「一体、どんな・・・」俺が”ビチャール”さんに聞こうとした時、先頭を走っていた”プルーツ”さんが止まり、振り返らずに左手で俺達に制止を促した。
「・・・<ドライ・セイバー>がいる。」緊張した声で、”プルーツ”さんが言った。
俺達は素早く、静かに大きな木の陰にいる”プルーツ”さんの近くに集合した。”プルーツ”さんは、前方を
指差した。
森が切れて草原と湖が見える場所に、紫の毛をしたライオンが居た。”たてがみ”と目の周りは真紅の毛が生えている。草原の真ん中辺りで寝ている。
「あの<ドライ・セイバー>って、強いんですか?」指差しながら俺は、”ビチャール”さんに聞いた。
「・・・強いと言うより、厄介って方が大きいかな。<ドライ・セイバー>の<恐怖の咆哮>は聞くと身動きが取れ無くなるし。」”ビチャール”さんが、首を振りながら言った。
「身動き取れ無くなったら、もう治しようがないんですか?薬とか魔法とか?」
<ドライ・セイバー>を覗きながら、俺は”ビチャール”さんに聞いた。
「いや、<恐怖の咆哮>を聞いていない者に叩いて貰って、衝撃を与えた貰えば治るよ。まあ、全員が
<恐怖の咆哮>を聞いている可能性が大きいんだけどね。」後ろから、”イノー”さんが教えてくれた。
「まあ、<恐怖の咆哮>は”声”だからな、パーティー全員が聞いてしまうのが普通だろう。そして、
全滅ってのがパターンだよ。」苦笑しながら、”モドン”さんが言った。
「どうするんだ、”プルーツ”?」”ビチャール”さんが、”プルーツ”さんに聞いた。
「<ドライ・セイバー>は眠っている。<恐怖の咆哮>を聞く前に倒せれば良いのだけれど、
<ドライ・セイバー>と距離が開いているから、多分無理だと思う。・・・タケルはどう思う?何か倒せる
方法とか知ってる?」珍しく弱気な”プルーツ”さんが、俺に聞いて来た。
「・・・両耳を両手で塞げば、<恐怖の咆哮>を防げたりして!」
俺は、場を和ます為に冗談を言った。
「・・・そんな訳無いでしょ!タケルのバカ!!」冗談が通じなかった”プルーツ”さんが、怒って言った。
「・・・今のは、タケルが悪いよ。」”イノー”さんに、ダメ出しされた。
「・・・時と場合って大切だと思うよ、タケル。」”モドン”さんにも、ダメ出しされた。
「マズイ!<ドライ・セイバー>が起きた!!」焦った声で、”ビチャール”さんが言った。
「タケルのバカ!バカタケル!!」吐き捨てる様に、”プルーツ”さんが言った。
<ドライ・セイバー>は大きな口を開け欠伸し、そして、両前足を前に伸ばして尻を上げた。”チビクロ”
そっくりの動きである。やっぱりネコ科なのだろう。
<ドライ・セイバー>は顔を真上に向け、鼻を”ヒクヒク”させて匂いを嗅いでいる。そして、こちらを向いて
低く唸りだした。
「<ドライ・セイバー>に私達の存在がバレた。もう戦うしか選択肢は無い!!タケルは全速力で斬り込んで、”ビチャール”達は弓矢でタケルの援護、私は呪文を唱えながら接近するから、各自よろしく!!」
”プルーツ”さんが、瞬時に作戦を立てた。
「了解!!」俺達は、”プルーツ”さんの作戦に乗る事にした。
「それでは、戦闘開始!!」”プルーツ”さんが、号令をかけた。
俺は木の陰から出ると、<ディドリーの鎧>にありったけの魔力を込める。
ジグザグの動きや円を描く動きは制御は出来無いが、直線的な動きは制御は出来る。
<ドライ・セイバー>の<恐怖の咆哮>を発動させない為に、<ドライ・セイバー>の喉に<ディドリーの剣>を突き立てるしか無いと思い、俺はダッシュして間合いを詰めた。
<ドライ・セイバー>と俺の距離が2メートルまで近づいた時、ありえない事が起こった。
<ドライ・セイバー>が右上にジャンプし、そのまま空に駆け上がったのだ。
「ちょっと!!<ドライ・セイバー>が空中に逃げたんだけど!!こんな能力は聞いて無いよ!!」
俺は振り返り”プルーツ”さん達に言ったが、”プルーツ”さん達は驚愕の表情を浮かべていた。
「・・・嘘。空を飛べるなんて聞いていない。」絶望の表情をして、”プルーツ”さんが言った。
高さ4メートルの場所から、<ドライ・セイバー>がこちらを見下している。心なしか笑っている気がする。
「どうする”プルーツ”!?戦うのか?逃げるのか?」焦った声で、”ビチャール”さんが”プルーツ”さんに聞く。
「・・・分からない、分からないよ。」泣きそうな顔で、”プルーツ”さんが答えた。
ガアアアアアアア!!
力強い遠吠え、これが<恐怖の咆哮>なのだろう、腹に”ズン!!”と響いたと思ったら、身体が動かなく
なった。どうやら”プルーツ”さん達も動けないらしい。全員が恐怖の顔をしている。
<ドライ・セイバー>が、俺と”ビチャール”さん達の中間に空中から降りて着地した。
「・・・本当に動けないな、この<恐怖の咆哮>ってヤツは。」俺は、感心して呟いた。
俺の声に反応して、<ドライ・セイバー>が俺の方に向く。”プルーツ”さん達は恐怖で黙ったままだった。
「なあ、<ドライ・セイバー>。お前、<心の一方>って知ってる?」
俺は笑いながら、<ドライ・セイバー>に言った。
笑う俺が気に入らないのか、<ドライ・セイバー>は唸りながら近づいて来た。
<ドライ・セイバー>との距離が1メートルになった時、俺は”気合”を最大限入れた。
「おおらあああああああ!!」<るろう○剣心>の”左○介”同様の裂ぱくの”気合”である。
俺は右手に持った<ディードリーの剣>を逆袈裟斬りで、<ドライ・セイバー>の左目を奪った。
<恐怖の咆哮>も<心の一方>も、相手を恐怖で縛って動けなくする技だと思い。俺は<るろう○剣心>の
<心の一方>を”気合”で破った方法を使用したのだ。アニオタを舐め過ぎだ、<ドライ・セイバー>!!
<ドライ・セイバー>が左目を潰されて悶絶している間に、俺は”ビチャール”さん達の尻を叩き、
”プルーツ”さんの尻を叩き<恐怖の咆哮>から全員を解放した。
ガアアアアアアアアアアアアアア!!
怒りと憎しみに満ちた<ドライ・セイバー>の咆哮が響く。
俺は<ディドリーの剣>を風魔法で<バスターソード>の長さにして、<ドライ・セイバー>の右側から攻めようとする。弱点を突くのは、戦いの基本だからだ。綺麗事など言っていられない。
<ドライ・セイバー>は俺が近づくと、後方に大きくジャンプした。その時、”たてがみ”から何かを飛ばした。
「気を付けて!それは<ドライ・カッター>と言って、”たてがみ”の毛に風魔法を付与した武器だよ!!」
”イノー”さんが教えてくれた。
「<ドライ・セイバー>って、風魔法が使えるんですか!聞いていないんですけど!!」
俺はちょっとイラっとなって言った。
(風魔法使えるなら、空を飛べるの予測は出来たんじゃないの?あなた達エルフは、風魔法で浮上して移動していますよね。)俺は心の中で思った。
5個の”たてがみ”の毛に風魔法を付与した、高速回転する<ドライ・カッター>が、俺に別々の動きで迫る。
俺は右手に持った<ディードリーの剣>を突き出す状態にして、左手を右肘に添える。そして”イメージ”する。<スーパーロボ○ト大戦>の<アルトア○ゼン>の技を。
「全部持って行け!エア・クレイモア!!」
ドガガガガガガガガガガガガガ!!!
<ディードリーの剣>の周りに、ゴルフボール大の”風魔法の弾丸”を無数に生み出す。そして一気に、
<ドライ・セイバー>に撃ち出す。<ドライ・カッター>を一瞬で消し飛ばし、”風魔法の弾丸”が
<ドライ・セイバー>の身体に無数に撃ち込まれる。撃ち込まれた場所が抉れて血が噴き出す。
ガアアアアアアア!!
<ドライ・セイバー>が咆哮する。先程の怒りと憎しみに満ちた咆哮ではなく、恐怖に染まった
咆哮だった。
<ドライ・セイバー>が全身血塗れになり、よろよろと後ずさっている。
「よう、<ドライ・セイバー>。他人を散々恐怖に陥れたお前が、死の恐怖に怯えているとは、
皮肉なもんだな。」俺は笑顔で<ドライ・セイバー>に近づきながら、優しく語りかけた。
俺の言葉は分からないはずだが、何か感じ取ったみたいで<ドライ・セイバー>は、残った右目で俺に怒りと憎しみの視線を送って来た。
俺はお返しとばかりに、右手に持った<ディードリーの剣>を突き出す状態にして、左手を右肘に添える。
それを見た<ドライ・セイバー>が必死に鋭い牙と爪を俺に突き立てようと飛びかかって来た。
「真空!ミッスァーイル!!」再び、完璧な発音で<真空ミサイル>を撃ち出した。
ドゴオオオオオン!! ズザザザザザザ!!
俺の撃ち出した<真空ミサイル>は、<ドライ・セイバー>の上半身を綺麗に吹き飛ばして、下半身は後方に10メートル位地面を転がって行った。
「皆、大丈夫だった?」俺は笑顔で振り向くと、目の前に”プルーツ”さんが居た。
バチイイン!”プルーツ”さんの右手が、俺の左頬に炸裂した。
「え?あれ!?何で?」俺はいきなり殴られて、酷く困惑した。
バチイイン!”今度はプルーツ”さんの左手が、俺の右頬に炸裂した。
俺は思わず尻餅を着いた。尻餅を着いたまま”プルーツ”さんを見上げた。
”プルーツ”さんは、顔が真っ赤になっていた。
「湖まで行って、休憩!!そして、エルフの里に帰還する!!」”プルーツ”さんが、俺達に命令した。
俺達は”プルーツ”さんの命令に従い、湖の近くまで行き”プルール”さんが作ってくれた弁当を食べる事に
なった。”プルーツ”さんは自分の分を確保すると、俺達から少し離れた場所に行き食べ始めた。
「・・・この”タマゴサンド”って美味いな!」”ビチャール”さんが、明るく言った。
「・・・うん、昨日、”プルール”さんに<マヨネーズ>を教えたから、美味しいでしょ。」
俺は、沈みながら言った。
「この”ハンバーガー”ってのも、美味いよ!」”モドン”さんも、明るく言った。
「・・・うん、昨日、”プルール”さんに<ケチャップ>を教えたから、美味しいでしょ。」
俺は再び、沈みながら言った。
「タケル、元気出しなよ。ほら、”タマゴサンド”凄く美味しいよ。」”イノー”さんが、俺を励ましてくれた。
「・・・あの、”ビチャール”さん達に聞きたいんですけど、俺は何か悪い事をしましたか?」
俺は、”ビチャール”さん達に尋ねた。
「・・・やっぱり、戦闘前の”両耳を両手で塞ぐ”が悪かったんじゃないか?」”モドン“さんが言った。
「・・・俺は<ディードリーの剣>を使いこなしていたのが、気に入らなかったと思う。」
”ビチャール”さんが言った。
「・・・やっぱり、”プルーツ”のお尻を引っ叩いた事だと思うよ。”プルーツ”は年頃の女性だし。」
”イノー”さんが言った。
男性陣に沈黙が流れた。”プルール”さんの作ってくれた弁当を食べる音とお茶を飲む音以外聞こえなかった。
「・・・やっぱり、”イノー”の意見が正解かも知れない。」”ビチャール”さんが言った。
「やっぱりそうか、でも、あれはしょうがないんじゃないの?」”モドン”さんが言った。
「う~ん、タケルの行動は正しいのだけれど、女性にとっては正しくなかったのかなあ。
よく分からない。」”イノー”さんが言った。
「俺、こんな状況の解決方法を”モンシアーノ”さんから教わっていない。何が正解なんでしょう
”モンシアーノ”さん、俺を導いて下さい。」現実逃避した、俺が言う。
弁当を食べた後、”プルーツ”さんは俺達と一言も交わさずにエルフの里に帰還した。
<マーラ・サイクロプス>と戦うよりも、<ドライ・セイバー>と戦うよりも、”プルーツ”さんの無言が
精神的にキツかった。




