現在、祝勝会中!
俺が全快した夜に、御神木の”ディードリー”の木の前の広場で行われた。
色々な料理が広場の中央のテーブルに置かれ、個人は丸テーブルで食事をする”バイキング”式であった。
エルフは不要の殺生はしない。卵用の”ココーケ”・ミルクと乳製品用の”ミギューム”・農耕用の”モギューム”がいるが、食用として使う事は無く、病気や怪我で亡くなっても、御神木の”ディードリー”の木の後ろの大切に供養される。だが、エルフも肉を食べたい時はある、そこで代用肉が使われる。
自分の居た世界では、大豆を使った代用肉があったが、エルフには<シャックフーカの実>が代用肉にされていた。
<シャックフーカの実>は、ラグビーボールの大きさと形をしている。少し硬い皮をむくと、春雨の様な白い繊維質の果肉で出来ている。中央のピンポン玉大の種を外して、、春雨の様な果肉を解して米粒大に刻む。
そして、調味料と一緒に炒めたり、煮たりして代用肉を作る。
エルフは森で暮らす一族なので、調味料になる実の存在を知っていた。俺の知らなかった、”コンソメ”の味の
する<ソコーメの実>、万能硫化調味料の”ウェイパー”の味のする<チャイミーの実>、”カレー”の味のする
<バラモントの実>、ラー油の味のする<ラアラの実>、”酢”の味のする<ビガーの実>、トウガラシの味の
する<チペパーの実>、鶏がらスープの味のする<チキープの実>などがあった。そして1番驚いたのが、
米の存在である。
俺の知っている日本のコメと違い、すこし細長いタイ米に似ている<オラメ>と呼ばれる植物を、エルフ達は収穫していた。
<バラモントの実>と<チャイミーの実>をトマトに似た<マトーラ>と言う野菜を煮込んだスープに
<シャックフーカの実>の代用肉を入れた物を、<オラメ>にかけた、赤い中華風のカレーの”レカーラ”という料理。
<シャックフーカの実>の代用肉を濃いめの<ソコーメの実>で煮てから、キャベツに似た野菜<キーベル>を茹でた葉っぱで巻いて、もう一度濃いめの<ソコーメの実>で煮た料理。ロールキャベツに似た料理の
”キソロル”という料理。
<シャックフーカの実>の代用肉を濃いめの<ラアラの実>と<チペパーの実>で煮た物を、<マトーラ>のソースに入れた物をパスタにかけた、ミートスパゲッティーに似た料理の”ラチッティー”という料理。
<シャックフーカの実>の代用肉を楕円形に平べったくした物に、<マトーラ>と<ラアラの実>で作った
ソースをかけた、ハンバーグに似た料理の”ミトペータ”という料理。
<シャックフーカの実>の代用肉を、小さな団子にして小麦粉をまぶし油で揚げたものに、
<チャイミーの実>と<チペパーの実>の餡をかけた、肉団子の餡かけに似た料理の”ミボローク”という料理。
そして、俺が作った塩味ベースの”ワンタン”と”すいとん”と”キノコの味噌汁”が中央テーブルに置かれていた。
塩味ベースの”ワンタン”は、俺が小学校の時に出た物を再現した。塩ベースのスープに、ワンタンの皮と豚の
コマ肉、もやし、ネギ、春雨が入った物だ。豚のコマ肉の代わりに<シャックフーカの実>の代用肉の小さな団子、もやしの代わりに<ヤシッコ>という野菜、ネギの代わりに<ミクック>という野菜、春雨の代わりに<シャックフーカの実>の果肉を解した物を入れて作った。
”すいとん”は普通の醤油ベースの物を作った。”すいとん”を作った理由は、エルフ達が調味料になる実の存在を知っていたが、”醤油”と”味噌”が無かったからだ。黒色の<ソイソの実>と濃い茶色の<ミソミの実>が
不味そうだと言う理由から、”醤油”と”味噌”が出来なかったらしい。
これは日本人として、”醤油”と”味噌”の存在をエルフ達に教えようとして、”すいとん”と”キノコの味噌汁”を
作った。祝勝会の料理を作っている台所で、初めて”すいとん”を見たエルフ達はスープが黒色なのに驚いて誰も食べなかったが、”プルール”さんと”グレミー”様が恐る恐る食べて美味しいと、皆、味見をしてくれた。
そして、祝勝会に”すいとん”を出して良い許可が出た。
「あんな黒い色をしているけど、美味しんだね”醤油”とは。」俺と同じ丸テーブルで、”グレミー”様が言った。
「俺の国を代表する調味料ですからね、”醤油”と”味噌”は。本当は、”うどん”を作りたかったのですが、人数分の麺を切るのが大変なので、生地を入れるだけの”すいとん”にしました。」俺は、嬉しそうに答えた。
「”うどん”は麺料理なのかい?」”グレミー”様が、聞いて来た。
「はい、”うどん”は麺料理ですが、奥が深いですよ。俺の国の東と西でスープの濃さが違うし、麺の太さも
違ってきますし、温かいのは煮込むし、冷たいのは濃いスープに漬けて食べるし、俺の住んでいた群馬には、日本三大うどんの”水沢うどん”があります。冷たいうどんなのですが、”ゴマダレ”に漬けて食べるんですよ!」俺は、誇らしげに言った。
「なるほど、確かに奥が深いな”うどん”。」”グレミー”様が、興味深そうに言った。
この会話をきっかけに、”グレミー”様が”うどんヲタク”になる事をおれは知る由も無かった。
俺の丸テーブルには、俺の右に”プルール”さん、左に”グレミー”様、正面に”プルーツ”さんが居た。
「タケルさん、どうぞ。」”プルール”さんが、オレンジ色の飲み物を俺のグラスに注いでくれる。
”ジンレー”という、ソフトボール大の柑橘類で作った、甘いミカンジュースである。
「ありがとうございます。”プルール”さんもどうぞ!」
俺は”プルールさんに礼を言い、お返しに”プルール”さんのグラスに”ジンレー”を注ぐ。
「ありがとうございます。」微笑みながら、”プルール”さんが言った。
俺は”プルーツ”さんを見たが、すでにグラスにはワインぽいものが入っていた。”グレミー”様を見るとやはり
グラスにはワインが入っていたが、”グレミー”様の前に2つのワインの入ったグラスがあった。
「・・・あの、そのグラスは?」俺は、”グレミー”様に聞いた。
「ああ、このグラスはね、私の親友で幼馴染の”ラカーヌ”と”エマーリ”の分だよ。”ラカーヌ”は勇敢な戦士で
雷魔法の使い手で、”プルール”ト”プルーツ”の父親。”エマーリ”は優秀な治癒魔法の使い手で、”プルールと
”プルーツ”の母親だよ。私達は、3人親友で幼馴染だったんだよ。」少し淋しそうに、”グレミー”様が言った。
「・・・もしかして、恋の三角関係ですか?」俺は、興味が湧いたので聞いてみた。
「いやいや、”ラカーヌ”は子供の頃から”エマーリ”に猛烈に迫っていたよ。”エマーリ”も喜んで受けていたしね。2人とも、・・・まあ、2人とも凄い熱量だったよ。」苦笑しながら、”グレミー”様が言った。
”プルール”さんと”プルーツさんを見ると、顔を真っ赤にして、口をパクパクさせていた。どうやら、若い頃の両親の事を知らなかったらしい。
「さて、そろそろ始めるかな。<風の王、ウイーン・ダーム!汝の偉大なる翼に我が声を乗せたまえ、彼方にいる友に我が声を、”ミーヤ・ゲーニ・ヒーヨ・コマン・ジュースト”!!>」呪文を唱え終わると、魔法の杖
から1枚の大きな鳥の羽が出て来た。それを”グレミー”さまは、左手で掴まえた。
「<”エルフの里の皆、<イーフリット>との長い戦いは、我らエルフが勝利した!これも勇敢なエルフの戦士と力を尽して戦ってくれたエルフの英霊達のお蔭だ!<イーフリット>と何度も戦い、何度も傷付き、それでも諦めなかった我らエルフの勝利だ!!今夜は大いに食べて、飲んでくれ!!エルフの英霊達の分まで、喜びを分かち合ってくれ!それでは、乾杯!!”>」”グレミー”様が、乾杯の挨拶をした。
「乾杯!!」広場中から声が上がり、俺も一気に”ジンレー”を飲み干した。
甘いミカンジュースだが、中に入っている果肉の”ツブツブ”がほんのり甘酸っぱくて美味しい。
口の中で、果肉を秘密裏に噛み潰しながら堪能していると、”グレミー”様が話しかけて来た。
「タケル君、”プルール”と”プルーツ”、本当にありがとう。君達のお蔭で、私達はエルフの里を捨てずに
済んだ。”プルーツ”、君が”パブロ茸”と”モルネ草”をモンスターだらけの場所から採取して来てくれたお蔭で、エルフの戦士達は痛みから解放されていた、ありがとう。”プルール”、君が<イーフリット>との戦いで、
傷付いた戦士を魔力の限界まで治療してくれたお蔭で、多くのエルフの戦士達を助ける事が出来た、
ありがとう。タケル君、人間である君が、エルフの里の為に命懸けで戦ってくれた事に感謝する。」
そう言って、”グレミー”様は俺達に頭を下げた。
「気にしないで下さい、俺の自己満足ですから。」苦笑しながら、俺は言った。
「よし!4人でもう1度乾杯しよう!!」そう言って”グレミー”様は、新しく注がれたワインのグラスを正面に突き出した。
「乾杯!!」俺達も新しく注がれた、ワインと”ジンレー”のグラスを”グレミー”様のグラスに”カチチチン”と
ぶつけて、一気に飲み干した。
やはり、”ジンレー”の果肉は美味しい。昔、販売していた、<つぶ○ぶオレンジ>を思い出す。
「・・・タケル君。」少し顔を赤くした、”グレミー”様が言って来た。
「何でしょう?」”プルール”さんに、お替わりの”ジンレー”を注いでもらいながら俺は答えた。
「・・・この場を盛り上げてくれ!」”プルーツ”さんに、ワインのお替わりを注いでもらいながら”グレミー”様が言った。
「・・・はい!?」俺は、言っている意味が分からなかった。
「だから~、タケル君に、この祝勝会を盛り上げて欲しいんだよ~。タケル君、色々な事を隠している
でしょ。元”勇者”だったり、物に魔力を込められたり、<アイテムボックス>の中に<ハイ・ポーション>が
100本以上入っていたり、だから、この祝勝会を盛り上げてくれる事も隠しているのかな~と思ってね、
そう思うだろ、”ラカーヌ”と”エマーリ”。」”グレミー”様はそう言うと、”ラカーヌ”さんと”エマーリ”さんの
グラスに、”カチチン”と自分のグラスを当て、一気にワインを飲み干した。さらに”グレミー”様の顔が
赤くなった。
(故人をダシに使うのは、反則技ですよ”グレミー”様。)と思いつつ、俺は焦っていた。
「へ~、タケルって元”勇者”だったんだ。ちょっと納得。」俺の事を少し認めてくれながら、酒の弱い
”グレミー”様にワインのお替わりを注いでいた。”プルーツ”さんの顔は、悪戯をしている子供のような笑顔をしていた。
「えっと、もしかして、”グレミー”様、酔っぱらっていますか?」俺は、この危機を回避する為に、当たり障りの無い質問をした。
「いやだな~、タケル君。私はエルフの王だよ。ドワーフの王とは親友だよ。酒に強いドワーフの王と親友になれるのだから、私も酒には強いよ。そう思うだろ、”ラカーヌ”!」”グレミー”様はそう言うと、”ラカーヌ”さんのグラスに、”カチチチチチン”と自分のグラスを5回当て、一気にワインを飲み干した。”カチチチチチン”の音が、”は”・”や”・”く”・”や”・”れ”に俺には聞こえた。
(故人を脅迫に使うのは、反則技ですよ”グレミー”様。)と思いつつ、俺は考えていた。
「・・・あの、<ゼター>を使って良いですか?俺、エルフの英霊達に贈る歌を知っているので。」
俺は、”グレミー”様に提案した。
「お!良いね!!タケル君の世界の音楽か、是非、聞かせてくれるかな!」笑顔で、”グレミー”様が
答えた。”プルーツ”さんは、笑顔で”グレミー”様のワインのお替わりを注いでいた。
<ゼター>は<ギター>に似た、異世界<アーシタ>の伝統的楽器である。
<ダーブルゼターの木>になる、瓢箪形で50センチ位の<ダーブルゼターの実>から出来ている。
<ダーブルゼターの実>は成長すると、地上に落ちて左右に2つに割れる。枝豆やピーナッツの様に綺麗に2つに分かれる。これはまだ<ダーブルゼターの種>が鞘に入った状態なので、2つに分かれた物を、1か月間、天日干しする。
1か月間、天日干したら、くびれの中心位に穴をあけ、<ダーブルゼターの種>を取り出し、外側と内側を
綺麗に洗う。そして外側に、薄い茶色の<ウルシールの樹液>を塗ったら乾かしの作業を1か月間続けて、
”ネック”を取り付けたら、本体は完成。
<ヘービメタ鉱>と<ティービマル鉱>の合金の<ターラ鋼>を鋼線状にして、<ギター>と同様に本体に
張り、異世界<アーシタ>の伝統的楽器<ゼター>が完成。
<ターラ鋼>の鋼線の特徴は、指で弾くと普通の<ギター>の音がして、硬貨で弾くと<エレキギター>の
音がする。俺は、この2つの音を使い分けて、アニソンを唄っていた。
俺は左手を横に突き出し、<アイテムボックス>を呼び出し、中から愛用の<ゼター>を取り出す。
「それでは、行きます。<ロ○ドス島戦記>の<風○歌>!」<ゼター>を構えながら、俺は言った。
俺は”特殊スキル”の、”音楽”<芸術>を発動させた。
<ロ○ドス島戦記>の<風○歌>の1番の”サビ”の部分が、エルフの英霊達に贈る歌詞にピッタリ
だったからだ。
俺はゆっくりと<ゼター>を弾き始めた。ゆっくりと静かな出だしの曲である。そして、”サビ”の部分になる。
熱い想い♪ 残したまま去った♪ 魂達の眠る森 振り返る♪
風○歌遠く響けよ 荒野に♪ 戦いの終わりを 告げる様に♪
祈るより強く 届けよ 明日に♪
焼けついた思い出 抱いたままの胸に♪
”サビ”の部分を終え、2番も唄い切ると拍手が起こった。
俺は拍手に対して、”礼”をして”祝勝会を盛り上げる”大役を終えた。
「いや~、良かったよタケル君。見事な演奏だったよ!」真っ赤な顔で、上機嫌な”グレミー”様が言った。
「ありがとうございます。久しぶりでしたが、なんとか弾けました。」俺は、苦笑しながら言った。
「それじゃあ、次は、私と”ラカーヌ”の”男の友情”を唄った曲をお願いしようかな。」
酔っぱらった”グレミー”様が、リクエストをして来た。
「あれ!?えっと、今、俺、弾き終わりましたよね?」俺は、困惑して言った。
「うん!だから次は、私と”ラカーヌ”の”男の友情”を唄った曲を頼むよ!!」
”グレミー”様はそう言うと、”ラカーヌ”さんのグラスに、”カチン”と自分のグラスを当て、一気にワインを飲み干した。そして、笑いを堪えながら、”プルーツ”さんが、お替わりのワインをすかさず注いでいた。
「どしたの?タケル君、私と”ラカーヌ”の”男の友情”を唄った曲だよ?」
そう言った”グレミー”様の目は、据わっていた。
これはマズイ。以前、酔っぱらった”ラムール”将軍と同じ気配がする。力ある者が酔っぱらうと、命の危険性が出てくる。俺は、<イーフリット>との戦いで、強力な攻撃魔法を叩き込んでいた”グレミー”様の姿を
思い出した。
「それでは続きまして、<疾風アイアンリ○ガー>の<友○共に>!」<ゼター>を構えながら、俺は言った。
俺は”特殊スキル”の、”音楽”<芸術>を再び発動させた。
俺はゆっくりと<ゼター>を弾き始めた。西部劇のガンマンの対決の様な出だしの曲である。そして、”サビ”の部分になる。
いつの日からか♪ 友を気遣う♪
いたわり合える術を 覚えていた♪
極めるその先には 必ず友が♪
夢叶うその横にも そう 友がいる♪
”サビ”の部分を終え、2番も唄い切ると再び、拍手が起こった。
俺は拍手に対して、”礼”をして、俺の死亡フラグを回避した。
「ありがとう、タケル君。若い頃の私達を思い出したよ。本当にありがとう。」
顔色も通常の白色の素面状態の”グレミー”様が、”ラカーヌ”さんのグラスに、”カチン”と自分のグラスを当てて言った。
「!!!あれ、”グレミー”様、酔っぱらっていたんじゃないんですか!?」俺は、困惑した。
「ブフウ!!」と”プルーツ”さんが吹き出し、背中を向けて座り込んでいる。体も”プルプル”震えていた。
俺は、”プルール”さんを見ると、顔の前で両手を合わせて、<ごめんなさいポーズ>をしていた。
「いや、スマナイ!タケル君。私はエルフの王として、この祝勝会を盛り上げないといけなかったのでね。
それに、”酒に強いドワーフの王と親友になれるのだから、私も酒には強いよ”と、ちゃんと言っていたしね。」
そう言って、”グレミー”様は微笑んだ。
この俺を演技で騙して、悪びれも無く言う”心の強さ”・”精神力の強さ”が、王様になる人物なんだと痛感した。
「はい!次は、私!!」”プルーツ”さんが、笑いから復活して手を挙げた。
「よ~し、では、次は”プルーツ”。」”グレミー”様が微笑みながら、”プルーツ”さんを指名した。
「私と”プルール”に、”女性に感謝”を唄った曲をお願い!」俺を見ながら、”プルーツ”さんが言った。
「!?あれ!?”プルーツ”さんじゃなくて、俺がするの?」俺は、驚きながら言った。
「そうだよ~。タケルがするんだよ~。”プルール”は一晩中タケルの骨折した個所を治療していたし、私は、
モンスターが大量にいる場所へ、”パブロ茸”と”モルネ草”を採取に行ったし。”女性に感謝”を唄った曲をお願いしても、良いと思うんだけどな~。」”ニヤニヤ”しながら、悪戯続行中の”プルーツ”さんが言った。
”プルール”さんを見ると、俺の方を期待に満ちた目で見ていた。
「それとも、タケル君は2曲で降参なのかな~?」各丸テーブルに設置されている、山積みの拳大の丸パンを1つ取り、齧りながら”プルーツ”さんが言った。
「!!・・・日本の”アニオタ”と”アニソン”を、甘く見ない方が良いよ。」俺は、”プルーツ”さんに言った。
「え~、大丈夫?”女性に感謝”を唄った曲だよ?」右手に丸パンを持ちながら、”プルーツ”さんが言った。
「”林原め○み”に死角ナシ!!」俺は左手で<アイテムボックス>を出現させ、財布を取出し中から銅貨を1枚取り出す。
「え!?”ハヤシバヤ”?何?」”プルーツ”さんが、混乱していた。
「作詞が出来る、偉大な”声優”さんだ!!」俺は、<アイテムボックス>に財布を戻し、右手に銅貨を
”ピック”代わりに持ち、<ゼター>を構える。
「え!?”セイユー”?何?」”プルーツ”さんが、さらに混乱していた。
「それでは、聞いて下さい!<セイバ○マリオネットJtoX>の<Lively M○tion>!!」
俺は、”プルーツ“さんの問いに一切答えず、”特殊スキル”の、”音楽・裏式”<芸術>を発動させた。
”音楽・裏式”の”裏式”とは、裏声・女性の声の事である。
異世界<アーシタ>の曲の多くは、<バラード>である。曲と歌い手の緩急、曲と歌い手の強弱で、曲の
世界観を作る。だが、<ターラ鋼>の鋼線を硬貨で弾くと、<エレキギター>の高音が出る事を<アシータ>の人達は知らない。まさに異世界の曲の世界観なのだ。
俺は軽快に<ゼター>を弾き始めた。聞いた事の無い高音とメロディーにエルフの人達は驚いていた。
ずっとずっと このまま変わらず♪
時が過ぎると思っていた♪
でも違うね 毎日何かが♪
少しずつ変わっていく♪
完璧に女性の声に”ボイスチェンジ”された俺の声に、エルフの人達はさらに驚いていた。
守りたいよ でも守られてる♪
あたたかい瞳に♪
力が強さじゃない 心の奥に 刻もう♪
信じている 信じられる♪
これから歩くこの道を 君がいるよ 僕がいるよ それ以上何もいらない♪
生まれた意味 探すよりも 今生きてること感じて♪
答えよりも 大事なもの♪ 1つ1つ見つけていく♪
”サビ”の部分を終え、2番も唄い切ると今までで、一番大きな拍手が起こった。
俺の世界の高音な”メロディー”と、”歌い回し”に驚いたのだろう。
俺は”プルーツ”さんの方に向き、両目を細めて口の両端を上げ、”ドヤ顔”をする。
「!!!」”プルーツ”さんが、俺の”ドヤ顔”に気付く。
デ・デ・デ・デ・デン・デ・デ♪ デン・デ・デ・デン・デ♪
俺は”ドヤ顔”のまま、<ド○フ大爆笑>の<ヒ○ダンス>のメロディーを<ゼター>で弾き、両脚は
<ヒ○ダンス>のステップを踏み、”プルーツ”さんが常に正面に見える様に、後ろ側に反時計回りで移動する。
<ヒ○ダンス>のステップを踏みながら2週目が終わり、3週目に入ろうとすると”プルーツ”さんが、
右手に持った丸パンを、全力で俺の顔面目掛けて投げつけて来た。
俺は銅貨を持っていない、中指・薬指・小指の下の掌で、飛んで来た丸パンの下を叩き、丸パンを真上に
飛ばす。急いで銅貨を右のズボンのポケットに入れ、親指と人差し指をズボンの太ももの横で拭き、落下して来た丸パンを右手でキャッチする。
俺は”ドヤ顔”のまま、丸パンの”プルーツ”さんが齧った場所を”プルーツ”さんに見せつけ、丸パンの半分を
”ガブウ!”と齧り、歯を見せながら”カカカカ!!”と<金色○ガッシュベル>の<ウマゴ○>の
”カカカカ!!”喰いをして、丸パンを飲み込む。
「ちょっと!」目を丸くして、”プルーツ”さんが俺を制止しようとした。
俺は構わず、残り半分を口に放り込み、再び、歯を見せながら”カカカカ!!”喰いをして、丸パンを飲み込む。
「ちょっと!!タケ・・・」恥ずかしいのか、怒っているのか分からないが、赤くなった”プルーツ”さんが言う前に、俺は右腕を”プルーツ”さんに向けて突き出し、親指を立てる。
「うまし!!」俺は、<オードリ○ 春日>のギャグを”プルーツ”さんに放った。
”プルーツ”さんとエルフの人達が笑った。異世界<アーシタ>で、<オードリ○ 春日>のギャグが受けた
瞬間だった。
祝勝会は、”アニソン”と笑いの絶えない宴になった。
異世界<アーシタ>には、<エルディ石>という発光する石がある。
<エルディ石>を1回軽く叩くと、内部が白く発光する。もう1回軽く叩くと、内部の発光が収まり
暗くなる。<エルディ石>は白く発光するが、オレンジ色に発光する<赤エルディ石>も存在する。
風呂に入りパンツ一丁でベッドの上で正座している俺と、風呂上りで貫頭衣の様な服に黒い帯をして、
ペタン座りをしている”プルール”さんを、ベッドの近くの棚の<赤エルディ石>がオレンジ色に染めていた。
「祝勝会、とても楽しかったです。こんなに皆で笑ったの、何年振りだろ。」
”プルール”さんが、笑いながら言った。
「俺も楽しかったですよ。久しぶりに<ゼター>を弾いたし、”アニソン”を唄ったし。」
俺も笑いながら言った。俺達の距離は、膝が着く様な距離である。
「・・・・・」雰囲気の所為か、俺達は会話が途切れてしまう。
俺の経験は、”パラーヤ”さんしか無い。しかも前回は、初めての俺を”パラーヤ”さんがリードしてくれた。
(出来るのか?1回しか経験の無い俺に?)と自問自答していると、”モンシアーノ”さんの言葉を思い出す。
”男だったら、女を優しくリードしろ!自信が無いのが1番ダメだ、自信が無いと行動に出る!!”
<ホワイトベス城>の訓練の帰り道に、”モンシアーノ”さんが教えてくれた言葉だ。
「あの、”プルール”さん。」意を決して、俺は言った。
「はい!」緊張しているのか、少し裏返った声で”プルール”さんが答えた。
「昼間の約束を憶えていますか。・・・あの、後で・・・いっぱい・・・甘えて・・・良いと。」自分の視線が、”プルール”さんの顔から、どんどん下がり自分の両膝に来た時、自分の意気地の無さに、落胆した。
「ふふふ、ちゃんと憶えていますよ。」”プルール”さんは微笑みながら、両膝立になった。俺なんかより、
度胸が据わっている女性だと思った。
俺は、貫頭衣の様な服を締めている黒い帯の端を両手でゆっくり引き、帯を外し貫頭衣を脱がせた。
予想はしていたが、下着は着けていなかった。
絹の様な”サラサラ”とした長い金髪、蒼い瞳に筋の通った鼻、小さくて柔らかそうな桜色の唇。
透き通るような白い肌、華奢な体格をしているが、立派な”Cの胸の双丘”と見事な腰のくびれ、少し大きい
”腰の白桃”の女性。
「やっぱり、本当に綺麗だ。」オレンジ色に染まった”プルール”さんの裸体を見て、俺は正直に言った。
「ふふふ、ありがとうございます。」少し顔を赤らめながら、”プルール”さんが言った。
俺は、”プルール”さんの両頬を両手で軽く挟はさみ、顔を少し上に向ける。
俺の意途を察したのか、”プルール”さんは両目を閉じた。
俺は、”プルール”さんの小さくて柔らかそうな桜色の唇に、”チュ”と軽く十秒ほど自分の唇を重ねた。
唇を離すと、”プルール”さんはゆっくりと両目を開けた。
「初めてしちゃいました。」真っ赤になりながら、”プルール”さんが言った。
「しちゃいましたね。」俺は、微笑みながら言った。そして2人で”ふふふふふ”と笑った。
「もう一回していい?」俺が”プルール”さんに聞くと、”プルール”さんは静かに両目を閉じた。
俺は、”プルール”さんの小さくて柔らかそうな桜色の唇に、”チュム”と先程よりも強く、お互いの唇の感触を
確かめる様に、二十秒ほど自分の唇を重ねた。唇を離すと、”プルール”さんはゆっくりと両目を開けた。
「また、しちゃいましたね。」俺は、微笑みながら言った。
「しちゃいましたね。」赤面しながら、”プルール”さんが言った。そして2人で”ふふふふふ”と笑った。
他人が見て聞いて、”バカ”だと思われる行動や発言も、本人達は物凄く楽しい。これが真実。
「あと一回していい?」俺が”プルール”さんに聞くと、”プルール”さんは微笑みながら両目を閉じた。
俺は、”プルール”さんの小さくて柔らかそうな桜色の唇に、”チュムムム”とお互いの唇を貪る様に自分の唇を重ねた。そして、舌先で”プルール”さんの前歯を軽くノックする。
軽くノックされて、”プルール”さんの両目が開かれ驚いて丸くなったが、すぐに笑った目になった。
”プルール”さんの口が開かれ、俺の舌先に”プルール”さんの小さな舌先が、”チョンチョン”と触る。それは軽く触るようになり、やがて俺の舌と”プルール”さんの舌が戯れる様になった。
俺の舌と”プルール”さんの舌が戯れる様になって一分。俺は唇を離した。
”プルール”さんの呼吸が荒い。苦しかったのか、恥ずかしかったのか分からないが、嫌がってはいない。
微笑んでいる。”プルール”さんの口元が、お互いの”蜜”で”ベトベト”だったので、親指で口元を拭って
あげた。”プルール”さんも俺の口元を、指で拭ってくれた。そして2人で”ふふふふふ”と笑った。
他人が見て聞いて、”バカ”だと思われる行動や発言も、本人達は物凄く楽しい。これが真実。
俺はゆっくり左手を”プルール”さんの背中に、右手を”プルール”さんの後頭部に回して、ゆっくり
”プルール”さんを引き寄せた。”プルール”さんの”Cの胸の双丘”が、俺の胸板で”プニュン”と潰れていく。
俺は”プルール”さんの左肩に顔を寄せた。”プルール”さんの背中に回した左手が、しっとりしていた。
恥ずかしいのか、体中に細かい珠の汗が出ていて、心臓の鼓動がとても早かった。
「”プルール”さん、もっと甘えて良いですか?」俺は、”プルール”さんに聞いた。
”プルール”さんは、恥ずかしそうに頷いてくれた。
俺はもう一度、貪る様に”プルール”さんに唇を重ねた。今度は”プルール”さんの口の中で、俺の舌と
”プルール”さんの舌が激しく戯れる。
俺と”プルール”さんの2人だけの”祝勝会”が始まった。




