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帰還したら平行世界(べつせかい)だった  作者: ネコバーンナックル!
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現在、着替え中!

「・・・長かった、色んな意味で長かった。でもようやく無事に自分の世界に帰って来れた。」

俺は足元の遊歩道や、アスファルトの道路、建築物、遠くで聞こえる自動車の音で、ようやく自分の世界に帰ってきた事を実感した。


そう呟いた俺は、白い長袖の布の服・白い布のズボン・腰の革のベルトに裸足だった。


「元の世界では、この格好は異常だよな。」俺は苦笑しながら、公衆トイレの入り口に向かった。


公衆トイレに入ると、都会なのかトイレの個室が6個もあった。俺は一番左側にある個室のドアを開けて、中に急いで入り鍵をかけた。


「・・・トイレのタイルがみょうに冷たい。」俺は裸足で公衆トイレに入ったのを後悔した。


早く着替えないと、足が冷たいし気持ち悪いので、急いで<アイテムボックス>から、閉じた便座の蓋の上に、洗濯済みの元の世界の服を出し始めた。


黒のチェックの長袖・黒のTシャツ・青のチェックのトランクス・紺のジーンズ・黒の靴下・黒い靴・財布・スマホを便座の蓋の上に<アイテムボックス>から出した。逆に、腰の革のベルト・白い長袖の布の服・白い布のズボン・布のパンツの順に<アイテムボックス>に放り込んだ。


全裸になった状態で事件は起こった。


「・・・パッツンパッツンになってる。」嫌な予感がした。

トランクスに右足を通したら、ギリギリな状態になっていた。異世界<アーシタ>に召喚される前は普通に入ったのに、こんなに筋肉が発達して増量してるとは思わなかった。


トランクスに続いて、Tシャツも着てみた。首の部部は簡単に入ったが、腕の部分と胸の部分がパッツンパッツンになって入りずらかった。ジーンズも太ももとふくらはぎの部分が同様に、パッツンパッツンになって入りずらかった。この時の格好の最大の問題はTシャツにあった。Tシャツの胸の部分に、SD化された猫がサーフィンをしている絵がプリントされていたのだ。筋肉隆々でパッツンパッツンの服を着た、SD化された猫のTシャツを着た男が完成した。


「・・・長袖、無理に着ようとしたら、完璧に破れるよな。」

俺は黒のチェックの長袖の袖と、今現在の自分の腕の太さを比べて袖を通すのを諦めて長袖を腰に巻いた。


「・・・うううん(汗)、この格好じゃあ、誰も俺と話をしてくれそうも無いな。」

筋肉隆々でパッツンパッツンの服を着た、SD化された猫のTシャツを着た男が、駅やバス停の場所を聞いても、絶対に怖がって逃げて行くだろう。俺でもこんな人物が話しかけて来たら絶対に逃げる。


「・・・しょうがない、安い長袖でも買って、Tシャツの猫の絵を隠すしかないか。」

俺は便座に座り、足の裏をトイレットペーパーで拭いた後、靴下と靴を履いた。


自分の所持金を知る為、便座の上に財布の中身を並べてみる。

5000円が1枚、1000円が3枚、500円が1枚、100円が3枚、50円が1枚、10円が3枚、

5円が2枚、1円が4枚の計8894円


「・・・8894円か、この金額で長袖買った残りで、高崎に帰れるか?」俺は電車にうとかった。


大学への通学の定期や、アニオタ友達と一緒に、熊谷駅近くの<カラオケ館>にインターネットのオフ会に参加する為に、自分で切符を買って行くことは出来るが、それが1人で電車に乗って、行動出来る範囲の限界だった。


東京へ食べ放題に行くのも、アニメのイベントに行くのも全てアニオタ友達の後に付いて行った。

なので、東京での電車の乗り換えなんて、自分ではやった事が無かった。


「・・・アニオタ友達に相談したいが、スマホの電池切れか。」

異世界<アーシタ>で、仲良くなった人に、自分の世界の”アニソン”を聞かせまくっていたのが、仇となった。


「・・・悔やんでもしょうがない!第一目的・コーラ!第二目的・長袖!第三目的・高崎!この順で行動しよう!!。」

俺は、コーラで帰還の祝杯を挙げる為に、トイレの個室の鍵を開け、外に出た。そしてコーラの自動販売機まで走るので、屈伸運動とアキレス腱伸ばしをしてから、公衆トイレの入り口に向かった。


魔王”ジュドー”と三日三晩の死闘をした、俺の喉と腹は”渇き”と”空腹”で限界状態になっていた。









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