現在、一服盛られ中!
”タローイーム芋のスパイスサラダ”を食べている時、突然体に異変が起こった。体中が急に熱くなったのだ。
「・・・あの大丈夫ですか、タケルさん?タケルさんの顔が急に赤くなってきましたけど。」
食べた状態で硬直している俺に、心配になって”チルダ”が声を掛けてきた。
「いや、ちょっと”果実水”を飲み過ぎちゃったみたいで、トイレに行きたくなっちゃったんだよ。トイレはどこかな?」俺は”チルダ”にトイレの場所を聞いた。
「トイレですか?大広間を出て、左側に行くと渡り廊下がありまして、その先にある建物がトイレです。」
”チルダ”がトイレの場所を教えてくれた。
「ありがとう、ちょっと行って来るよ。」俺は”チルダ”のお礼を言い、急いでトイレに行こうとした。
「早く帰って来て下されタケル殿。主役が居ないと宴が盛り上がらないのでな!」”ナディー”様が盃を掲げながら言って来た。
「了解しました。すぐに帰って来ます。」俺は”ナディー”様に返事をして、競歩選手の様な速さで大広間を出て、左側に進み少し長く幅のある渡り廊下を抜け、その先にあるトイレに駆け込んだ。
トイレに入ると、個室が10個あり本来はドアがある所には厚手の布が垂れていた。
俺は1番左にある個室を選び、入口の布をめくって中に入った。そして急いで腰に巻いている皮のベルトを外して、ズボンとパンツの紐を緩めて中を見た。
俺の”小太刀”が暴走状態になっていた。
「・・・何でこんな事になっているんだ?」俺はこの緊急事態に混乱状態になる。
(<アトランティー>族は甘くない!!強力な媚薬によって強制的に三日三晩、休み無しで搾り取られるぞ。)”トト”様が、俺に釘を刺すために言った言葉を思い出した。
「やっぱり、さっきの料理の中に媚薬が?」そう呟いた時に、腹筋あたりに2本の腕と背中に2つの柔らかい物が押し当てられた。
「!!」驚いて後ろを見ると、”ナディー”様がいた。
「あの、”ナディー”様。どうして、ここへ?」俺は急いで”小太刀”を隠す為に、パンツとズボンを引き上げた。
混乱状態だったとしても、俺に気配を察知させずに背後を取るとは、”戦士”というより”暗殺者”(アサシン)なのか?と思った。
「タケル殿がなかなか帰って来ないので、心配で来たのだよ。」”ナディー”様が笑いながら答えた。
「えっと、あと少ししたら帰りま!!」俺の返事が終わる前に、”ナディー”様の右手がズボンの上から俺の”小太刀”の”鞘”部分を少し強めに握ってきた。
「いや!ちょっと!!」俺はさらに混乱した。
「おやおや、タケル殿の”ココ”が大変な事になっておるな。うーむ、これは<アトランティーの媚薬>だな!」”ナディー”様がいきなり自白して、小芝居を始めた。
「まったく、客人に対して”媚薬”を盛るとは、まったく困った女子達だな。これは”お仕置き”が必要だな、だが誰が犯人か分からんな。」”ナディー”様の大根役者的な小芝居が続く。
「犯人が分からぬのなら連帯責任だな!子を成せる体になった女子達に、タケル殿の”ソレ”で”お仕置き”して下され。気に入った女子がおったら何人でも構わず、好きに”お仕置き”して構わん。」
”ナディー”様の大根役者的な小芝居のラストは衝撃的だった。
「いや、それはちょっ!!!」
俺が言いかけた時に、”ナディー”様の右手が俺の”小太刀”の”鞘”部分をかなり強めに握ってきた。あまりの痛さに腰を引こうとしたが、”ナディー”様は足腰が強いのかビクともしなかった。そして、左腕で腹筋をロックし、俺を絶対に逃がさない様にした。
「よいかタケル殿!そなたは<ノーティラス鉱>が欲しい、我らは強き男の”種”が欲しい!お互い欲しい物を持っているのだ!!それにタケル殿の拒否権は無い。<アトランティーの媚薬>は我慢しすぎると、頭が発狂するぞ!」先ほどの小芝居とは打って変わり、かなり強い口調で”ナディー”様が言った。
「・・・いや・・俺、言いたいの・・違う」俺はあまりの痛さで、上手く喋れなかった。
「ほう、何が違うのかな?」俺の”小太刀”の”鞘”部分を握る力を少し緩めて、”ナディー”様が聞いてくる。
「・・・俺は魔王”ジュドー”を倒したら、自分の世界に帰ります。父親が居なくて、その子は淋しく無いのですか?」俺は”ナディー”様に思った事を言った。
「案ずるな。<アトランティー>族は、遥か昔から全員が母であり全員が姉だ。淋しい思いは絶対にさせない。」”ナディー”様はそう言ってくれた。
「異世界の子供だからって、苛められませんか?」もう一つの心配事を”ナディー”様に聞いた。
「それは大丈夫だ。これから生まれる子は、全員がタケル殿の子だから、苛められる心配は無いよ。」
そう言って”ナディー”様は、右手を俺の”小太刀”から放し、体も離した。俺はようやく激痛から解放された。
「・・・タケル殿、”お仕置き”をしろと言ったが、私を含め女子全員が”男”を知らない。出来れば手荒に扱わないで欲しいのだが・・・。」少し離れた場所で”ナディー”様が言った。
「了解しました。絶対に手荒な真似はしません。」パンツとズボンの紐を締めて、俺は答えた。
「・・・そうか、ありがとうタケル殿。」そう言って、”ナディー”様は個室から出てトイレの外に移動してしまった。俺も腰のベルトを締め直しながら、トイレの外に出た。
トイレの外の出ると、少し長く幅のある渡り廊下の左右に<アトランティー>族の女子が並んでいた。
よく見ると、知った顔も見られた。手前側に”チルダ”と”マリーリ”が、真ん中辺りに”エルクート”が、奥側に”グランディ”がいた。どうやら、年齢順に並んでいるらしい。
「さあ!タケル殿!!気に入った娘に、好きなだけ”お仕置き”して構いませんぞ!何人でも構いませんぞ!!」トイレ入り口の右側に”ナディー”様はいた。物凄く上機嫌だった。
俺は渡り廊下の左右に並ぶ、<アトランティー>族の女子を見た。全員が緊張してソワソワしている様に見える。視線を動かしていくと、踊り子姿の”チルダ”と目が合った。”チルダ”の顔は赤くなり、下を向いてしまった。
俺は右側にいる”ナディー”様に、ギギギギギと首だけ向けて、ノールックで勢い良く右手で”チルダ”を指差す。
”ナディー”様は満面の笑みで、ゆっくり右手の握り拳を胸の高さに持って行き、そして勢い良く親指を立てた。
俺の本当の宴が始まった。