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第一級の賢聖士  作者: 松木 希江琉
第一章 時止めりの教室
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第8話 もう駄目か…。

田舎だが伝統ある高校に進学した安楽土あらと せい

色々あって結局帰宅部に収まり、友だちもできて1年が過ぎようとしていた3学期のある日、いつものように友達の斉藤さいとう 高志たかしと購買で買った昼食とともに空き部室に行くと偶然あるものに気づく。

それは表紙全体が薄茶色に変色した大正時代の化学の教科書だった。

何気なく手にとってみると、小さなノートのような切れ端に複雑な化学式のようなものが書き記してある。それをまじまじと見ていた次の瞬間---。

3限目は昨日眠れなかったせいか完全に思考が停止していた。


もうどうすればいい?あとはたった2ヶ月だけどお世話になった3年の先輩のみ。かわいがってくれたけど、下手すると名前も覚えてないんじゃなかろうか?


でもあとは3年の先輩しかいない。(2年生は細野先輩以外、ほとんどやめてしまったらしいから)


しかしダメだ…意に反して思考が……もう………睡魔に勝て…ない…zzzZZ



「キンコーンカンコーン キンコン…」


うわっ‼3限が終わった!完全に意識が飛んでいた!


とにかく走れ‼ 3年の先輩のところに!


先輩たちの名前と顔は一致していたけど、クラスは全くわからない…。でもそんなこと言っている暇はない‼とにかく片っ端からクラスを回れ‼


1組目、誰もいない。同じく2組目も…。


3組目でようやく知った顔が‼ 石井先輩だ!


「先輩、たった2ヶ月のお付き合いでしたが、斯々然々(かくかくしかじか)で…。」


「あぁ、のんべい、久しぶり。そうか、ちょっと来い。」


石井先輩は193cm、垂直跳び112cmのいつプロになってもおかしくない恵まれた体格と身体能力の持ち主だ。


3年の先輩のうち石井先輩に頼ったのは理由がある。


在籍中部活が終わったあと、「青、腹減ったからなんか適当に買ってきてくれ。金はあとでやる。みんなの分もだ。」

と言われ、迷いに迷ったあげくコンビニで買っていったのが “ホ◯イの焼き鳥” 10個。


それ以来、「のんべい」という僕の自尊心を大きく傷つけるあだ名を付けた張本人だからだ。


そんな石井先輩にちょっと来い、と連れて行かれたのが1階上の屋上だった。いや、そんな暇ないのに…。と思っていると先輩が真面目な顔で話しだした。


「青、おまえまだ知らないかもしれないけど、あそこは過去に生徒が突然失踪するって噂の部室なんだ。だから今も暗黙の了解でみんな使いたがらない部室なんだよ。提出物ぐらいだったらやめとけやめとけ。あとで出しゃいいよ。」


「えぇ?そうなんですか…。全く知らなかったです。(そうか、完全にあるんだ。確信した。)わかりました…でも…」

言い終える前に

「そんなことより青、またバレーやれよ。おれはもう引退したけどお前のトス、好きだったぜ。」


「は、はぁ。前向きに考えます。ありがとうございました。僕は先輩の志望大合格、祈ってますね。」


「おぅ!そう言ってくれると嬉しいぜ!俺もお前が俺の大学受けてくれることを願ってるぜ!」


そうだ、確か石井先輩は池袋の私立大学から推薦をもらっていたはず。もう決まってたんだ。失礼なことを言ってしまった。

優しいな、なんて優しいんだろう。僕はこんな先輩になれるのかな…。自暴自棄…。


いや、それより今は自分のことだ。教室に戻ったらもうあと昼休みだけだ。そして頼れそうな3年の先輩を面倒事に巻き込みたくない。


ということは

いよいよもう駄目か…?。


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