第4話 やるか、やめるか。
田舎だが伝統ある高校に進学した安楽土 青。
色々あって結局帰宅部に収まり、友だちもできて1年が過ぎようとしていた3学期のある日、いつものように友達の斉藤 高志と購買で買った昼食とともに空き部室に行くと偶然あるものに気づく。
それは表紙全体が薄茶色に変色した大正時代の化学の教科書だった。
何気なく手にとってみると、小さなノートのような切れ端に複雑な化学式のようなものが書き記してある。それをまじまじと見ていた次の瞬間---。
午後の授業は現国と数学。国立大狙いの僕にはどっちも大事だけど集中できるはずがない。
まずやると仮定しよう。明日の昼休みにあの部室に行ってこの紙切れを握ればいい。行くのは簡単。そこではなくて、行ったあとどんなことに挑戦させられるか。
野望、欲望、絶望…。
ん、絶望ってなんだ?どん底に落とされるってこと?誰が好んでそんなことに挑戦するか!
でも3つの廊下をクリアしないと名誉と財宝は手に入らないんだよな…。
で、8人がリピーターでうち3人が3つ目の廊下に挑戦中…、ということはまだ誰もクリアしていない。ということはどんな名誉かもどのくらいの財宝かもわからない…。
あー駄目だ、わからないことが多すぎる。あの先生に訊きたいけど、行ったらやることになるしな…。
もう ムリ、むり無理無理無理‼
ということでやめよう。うん、それがいい。このまま高校生活をそれなりに過ごして大学に行って、適当な企業にに就職して…。
それでいいんだよ。母はよく言ってる。地味で真面目に生活できればいいんだって。派手で目立つように生きられるのはほんの一握りの人たちだからって。
………。
やっぱり良くない!これってチャンスじゃないか!どんなことをやらされるかはわからないけど、全部クリアできないかもしれないけど、一つでもクリアできれば何かが変わる気がする‼
「よし、やってみよう‼明日行くぞ!」
授業中に大声出したら廊下に立たされた…。