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第一級の賢聖士  作者: 松木 希江琉
第2章 最初の廊下
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第19話 パソコン好きの高校生

しばらくすると、合志が戻ってきた。

「新しくWebメールを作って、あたしのスマホで確認できるようにしておいたよ。そっちはどう?」


「ええ、順調ですよ。2人のおおよその緯度と経度がわかりました。これをネット上の地図に落とし込むと…。見て下さい。ここが駒居中学校です。2つの点は中学を中心に半径4kmの円の中にありますね。やはり同級生か、少なくとも同じ中学の子ですね。町名は確定できません。でもこれだけ材料が揃っていればあとは足を使ってなんちゃって探偵すれば、特定は可能です。ただそれには綾野さん本人と、ご父兄のご承諾が頂きたいですね。ちょっとノノカに病院の状況訊いてみましょうか?」


青はスマホからノノカを呼び出した。


「ノノカ、今そっちはどんな状態?ご父兄は誰が来てるのかな?」


「こっちはもう凄いよ。お父さん、お母さん、それに警察の人たち。綾野さん本人はまだ安静が必要なので面会はできないみたいだけど。どうする?」


「わかった、そっちに行く。何か動きがあったら連絡して。」


青はかよさんのところで買ったジーンズとジャケットに着替えると、合志を置いて一人病院に向かった。


病院につくと、パトカーが2台が停まっていた。


ノノカに教えてもらった病室へ行った。警官たちはもう引き上げるところだった。青が病室の近くの柱にそっと歩み寄ると、父親が涙する母親をなだめていた。


母親

「うちの子がなんで自殺未遂なんか…。一体何があったっていうの?」

父親

「これから本人にきちんと訊いてみよう。私もあの子が大きな理由もなくこんなことをしたと思えない。」


「綾野さんのご両親でしょうか?お話したいことがあります。」


父親

「なんだ君は。まだ誰にも話していないというのに、なにか知っているとでもいうのか?」


「僕のことは後で詳しくお話します。決して怪しいものではありません。お約束します。ですので向こうのラウンジ(談話室)まで来ていただけませんか?」

父親

「なんだかよくわからないが、そうまで言うなら話を訊こうじゃないか。母さんも一緒でいいな?」


「もちろんです。さぁ、行きましょう。」


3人はラウンジに移動した。


青があのスクリーンショットのコピーを指し出し、話しだした。

「これを見ていただけますか?これは娘さんが手首を切る直前にやっていたSNSのやり取りです。お読みいただければわかりますが、この誹謗中傷が娘さんを自殺未遂に追いやった直接の原因だと思われます。」


父親が

「何だこれは⁉ 確かにあの子はパソコンでなにかやっていたようだけど…。SNS?詳しく説明してくれ。」


「SNSは “ソーシャル・ネットワーキング・サービス” の略で、誰もがインターネットで自由にやり取りできる場所、とでも言えばいいのでしょうか。そこで娘さんは耐え難い誹謗中傷を受け、今回の事件に至ったんです。」


父親

「そうなのか…。でもこれだけではこの酷いことを書き込んだのが誰なのかはわからないな。」


「そうなんです。そこでお父様、お母様にお願いがあるのです。もうこれ以上被害者を増やさないために、これを運営している責任者に連絡を取ってもらいたいのです。責任者であれば、パソコン固有のアドレス、をある程度特定できる情報がわかります。ただこれは個人情報が絡んでくるので、まず警察に相談して下さい。この紙を持っていって貰えれば、間違いなく情報開示に動いてくれるはずです。」


「そ、そうか、そうだな。わかった、早速警察に相談に行こう。それとは別に君のことを教えてくれるか?」


「僕はたまたまこのやり取りを見ていたパソコン好きな高校生です。やばいやり取りだな、と思ってとっさに画面をコピーしたんですよ。警察に出すときに、これはお父様がコピーした、と言って下さい。

では娘さんが早く良くなってくれることを祈ってます。」


青はそう言うと、ノノカに目配せをして一緒にネットカフェに戻った。


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