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第一級の賢聖士  作者: 松木 希江琉
第2章 最初の廊下
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第14話 なんでも屋

田舎だが伝統ある高校に進学した安楽土あらと せい

色々あって結局帰宅部に収まり、友だちもできて1年が過ぎようとしていた3学期のある日、いつものように友達の斉藤さいとう 高志たかしと購買で買った昼食とともに空き部室に行くと偶然あるものに気づく。

それは表紙全体が薄茶色に変色した大正時代の化学の教科書だった。

何気なく手にとってみると、小さなノートのような切れ端に複雑な化学式のようなものが書き記してある。それをまじまじと見ていた次の瞬間---。

柔らかい光の玉がふわっと消えると同時に青とノノカが姿を現した。


「ここは…もうあの絵の中に入ったのかな?」


「そうよ、もう絵の中。そして最初だけ必ずここに来るの。看板を見て。」


「『なんでも屋・雑貨店 かよ』。…あのさ、これってテレビの必殺仕…」

青がいいかけた時、バシン‼とノノカの右足ストレートが青のあごをクリーンヒット。「へぶっ‼」青は一瞬意識を失いよろめいた。

「余分なことは言わなくていい‼」

ノノカは怒ってグッと青をにらみつけた。

「ばい、ごべんなさい…。気をづけます…。」


「ここはね、挑戦のスタートのときに必ず来るお店。唯一絵画とは関係ない、他の人達には見えない、私達挑戦者だけが来れる場所よ。ということであたしも…」


ノノカはうさぎの身だしなみ動作(?)、クシクシをすると…ボンっ

「はいはい!ヒト型ノノカだよ‼どうだ、惚れたか、青くん!」


なんとノノカはチョー美少女、街ですれ違ったら誰もが振り返るような可愛い女の子に変身した‼

身長は160cmぐらい、スリーサイズはボン、キュ、ボン。


「衣装はね、そのときによって変わるんだ。今は臙脂色えんじいろのセーラー服だね、どう?」

青は唖然として

「あ、いや、めちゃくちゃ可愛いです…。なんか芸能人の小柴なんとかさんに似てるかも…。」


「へっへーん、腕組んであげようか?」


「いやいや、結構です(あとで何させられるかわからないから怖い…)。ただ近くに居てくれるだけで十分です。」


「なんだ~、つまんないの。1回の挑戦の内1度きりだよ?ま、いっか。中に入ろうよ。」


中に入るとたしかに色々なものが陳列されていた。広さも店構えの3倍はあるんじゃなかろうか。ちょっとしたショッピングモールみたいだ。


するとノノカがおもむろに

「かよさんいるー?ノノカだよー。」

と結構大きな声で呼んだ。


「チョチョイ待って、なんで知ってるの?初めてだよね?」


「ううん、ここだけは挑戦サポート研修で何度も来てるんだ。心配しないで、ウヒヒ!」


そうなんだ。ウヒヒ!って可愛いな。


間もなく奥から

「はいー、あらノノカちゃん、久しぶり~、元気だった?またまた可愛くなっちゃって、羨ましいわ~。」


「かよさんお久しぶり!今日は実践で来たよ!これからちょこちょこ寄れると思うからよろしくね!で、こっちにいるのが私のパートナー、青くん。併せてよろしくお願いします!」


「青くんね。こちらこそよろしく~。良かったね、ノノカちゃん、アニサポの中でも1,2を争う美少女だよ。」


「はい、なんか、はい。こちらこそよろしくお願いします。かよさんってお呼びしていいんですか?」


「どーぞどーぞ。まぁ他の人達は美人女将おかみって呼んでるけどね~。」


なんか、どんどん楽しくなってきたけどいいのかな?これで。絵画自体はかなりシリアスなんだけど…。


ノノカが青の心配をよそに、手を取って店の中を歩き出した。


「まず必要なものはカバン。青くんだったらリュックがいいかな。大きめの。それとあたしの食料。チモシーとペレットとさつまいも!あと飲み物は水とリンゴジュース。さぁ探して探して!」


ちょっとノノカさん、自分本位になってませんか?挑戦の支度でしょ?もっと戦えるものとか買ったほうがいいんじゃない?と思いつつ全部かごに入れると、ノノカが

「ん~、あとは青に必要なもの…。今回は多分情報戦になると思うからね、スマホはあるよね?、じゃあノートパソコンはいらないかな。ロープは必要!その先につける丈夫なフックも!それからガラス切と割ったときの音を抑えるガムテープ、侵入するときに足音を抑える足袋…。」


ねぇねぇ、何をさせるつもり?泥棒じゃないんだよ?


ノノカが他にも数点選んで

「ん~、だいたいこんなもんかな。もし他に必要になったらどっかで調達しよう。じゃあ会計!」


はいはい、最初だからね。僕も何買っていいかわからないし。これでいきましょ。


「かよさん、お願いします。」


「はいはいちょっと待ってくださいね。えーと…全部で4万9800ブランになります。」


え~‼初日で半分⁉使いすぎじゃない⁉

するとノノカが青の肩越しに

「かよさん、これまだ使えるっけ?初回30%オフチケット。」


「もちろん使えるさ。では3万4860ブランになります!現金、クレジット、PoiPoi、どれでも払えますよ。どれにしますか?」


腕時計にチャージしてもらったお金は現金でいいのかな、とノノカに聞くと、そうだよ、とにっこり。

「げ、現金でお願いします。」


「毎度あり~!また寄ってね‼」


店の外に出て買ったものをまとめてリュックに入れ、背負い込んだ。


「よし!じゃあ行こうか‼ ノノカ、いろいろありがとう。頼りになるよ。」


「ウヒヒ。こちらこそありがとー。じゃあ元に戻るかな。」


ボンっ


と音がすると、ノノカはまたうさぎに戻っていた。




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