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第一級の賢聖士  作者: 松木 希江琉
第一章 時止めりの教室
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第11話 挑戦説明 その1

田舎だが伝統ある高校に進学した安楽土あらと せい

色々あって結局帰宅部に収まり、友だちもできて1年が過ぎようとしていた3学期のある日、いつものように友達の斉藤さいとう 高志たかしと購買で買った昼食とともに空き部室に行くと偶然あるものに気づく。

それは表紙全体が薄茶色に変色した大正時代の化学の教科書だった。

何気なく手にとってみると、小さなノートのような切れ端に複雑な化学式のようなものが書き記してある。それをまじまじと見ていた次の瞬間---。

「先生、本題に入りたいのですが。」


「本題?あぁ、廊下のことかの?」


「そうです、まず3つの廊下でやる挑戦?を具体的に教えてください。」


「そうじゃの、青くんにはまだ説明していなかったの。ではまずこれを渡そう。この教室と君を結ぶ腕時計型通信機じゃ。常に肌身放さず着けておくこと。外すと通信が途切れ、復旧にはこの教室に戻って再ぺありんぐせにゃいかん。つまり、入った廊下をクリアしなきゃいけないのじゃ。

昨日行方不明になったのが11人いる、と言ったのを覚えているか?その者たちはなにかの原因で外してしまったんじゃよ。だから通信ができず、行方不明になった。」


腕時計を受け取った。盤面の枠にA-SHOCK、と書いてある。

「エーショック、ですか?」


「わしたちは“あー、しょっく”と呼んでおる。」


「…。そうなんですね…。」

色んな意味でショックだった。先生は続けた。

「着けてみなさい。…うむ、ぺありんぐOKじゃ。とりあえず10万ブランチャージしておこう。向こうの共通通貨じゃ。大事に使うんじゃぞ。なくなった場合は向こうでチャージしてもらうんじゃ。バイトをしたり、おねだりしたり。やり方は色々じゃ。ただし、チャージできるのは最高10万ブランじゃよ。


それから通信はこちらからは通信料は無料、しかし、そちらからは1日1回のみ。5分までは無料、そのあと30秒ごとに10ブランじゃ。ちょっと練習してみようかの。『あー、しょっく。先生を呼び出して。』と言ってみい。」


通信料とるんかい…。まぁいいや。とりあえず大事なものらしいからね。では練習で…

「あ、あー、しょっく。」

といった瞬間、文字盤いっぱいにギョロッと目が一つが現れた。

「うわー‼何だこれ⁉ 気持ち悪‼」


「失礼なやつじゃな。青くんの命にも関わる大事な通信機じゃぞ。可愛がってやらないと無視されかねんぞ。さぁ、もう一度。」


「わ、わかりました。『あー、しょっく、先生を呼び出して…。』」


再びギョロギョロ目玉が現れて、

「少々お待ちください…。呼び出しに応じました。お話下さい。」


「よしよし、きちんとに機能しておる。ちなみに『あー、しょっく』の部分は違う単語にも変えられるぞよ。好きな愛称をつけてあげると喜ぶかもしれん。あとでやってみるといい。」


「わ、わかりました。やってみます。」


「よし。では次、サポートアニマルを選んでもらおうかの。」


「サポートアニマル?」


「そうじゃ。わしらは“サポアニ”と呼んでおる。青くんの挑戦をサポートしてくれる大事なパートナーじゃ。

ハツカネズミ、うさぎ、猫、犬、カメレオン、ワニ、サイ、ぞう、キリンの中から1匹だけ選べる。どれにするかの?」


なんか普通飼わないようなやつもいる…。

「サポアニ?種類によって能力に差はあるんですか?」


「最初はほぼ同じじゃ。しかし青くんと同じで成長するごとにできることが増えていく。ほとんどの人は自分の好きな動物を基準に選んでいるようじゃ。」


能力が同じなら、うさぎかな。家でも飼ってるし。

「じゃあうさぎでお願いします。」


「ずいぶん早く決めたの。本当にうさぎでええのかね?サポアニはすべての挑戦が終わるまで代えられんぞ。」


「ええ、大丈夫です。家で飼ってますんで。僕にはあまり懐いてないけど癒しになるんです。」


「そうかわかった。では廊下を選んだら送っておこう。ヨイショと。では次は廊下についてじゃ。」


「はい、よろしくお願いします。」



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