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城崎ガールズ  作者: モリオ
3/17

3年ぶりの城崎温泉

大阪から『こうのとり号』に乗って3時間。遂に城崎温泉へ到着した。

「うっはぁ〜〜! 遂に着いた! きぃ〜のぉ〜さぁ〜きぃ〜! 会いたかったよっ!」

城崎温泉のホームへ着くや、芽衣は大はしゃぎで駅名標の写真を撮っていた。

「家族にもLINE送ろっと! 念願の城崎温泉 到着っと! わぁ! 愛菜! 見て! 良いなぁ〜だって! くぅぅ〜〜! 嬉しいなぁ! ありがとうっと!」

「ははは……良かったね。芽衣」

そもそも今回の城崎温泉は、芽衣が提案してきた。

3年前の出来事があったので悩んだが、せっかくの誘いだから楽しもうと思った。

それに、自分の覚悟を決めるため、ある場所に行きたいと考えていた。

「わぁ〜〜! 凄い! むっちゃレトロな街並み! こんなの滋賀県には無いよ!」

「ははっ。大袈裟だなぁ。芽衣。これが温泉街の街並みだよ」

「えぇ〜〜! 凄い凄い凄い! 早く見て回ろうよ! わぁ! 見て見て! カニの手が置いてある! 愛菜も1枚撮っていこうよ!」

駅の改札口から出たところに、木で造られたカニの手が置かれていた。

思えば3年前も一緒に撮っていたなぁ……。不吉な思い出が過ぎった。

「うん。一緒に撮ろっか」

でも、はじめの第一歩だ。

「よーしっ! じゃあ撮るよ! はいっ! チーズ!」

「ニー」

パシャリ

「おー! 愛菜、良い笑顔じゃん! 撮る前に『ニー』って言うの良いね!」

「芽衣も撮る前に言ってみなよ。きっと良い顔で写真撮れるよ」

「分かった! やってみるね!」

私は、この何気ない写真撮影で、少し踏み出せた気がした。

3年前に、蓮が私に教えてくれた、良い顔で写真撮影が出来る『ニー』を、色んな人に広げていこう。

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