旅の終わり
特急列車『こうのとり号』が到着した。
色々あった旅も、ようやく終わる。
やりたかった事は全て出来た。心残りは無い。
3年間止まっていた時が、この旅を経て動き始めた。私は、幸せにならなければいけない。蓮が最後に託した願いなのだから。
「愛菜!」
ニッコリした芽衣が、こちらを見つめていた。
「帰ろっか!」
特急列車に乗り込み、指定の席へ座った。
「この2日間、楽しかったね! 一緒に来てくれて、本当にありがとう! 忘れられない思い出が出来た!」
「芽衣……」
私は、頭を下げた。
「本当に、ごめんなさい! たくさん迷惑をかけてしまった。芽衣のおかげで助かったけど、たくさん負担も与えてしまった。
「何言っているんだよ! 何かあった時はお互い様じゃん? それに」
芽衣は、私を見つめ、笑顔になった。
「私たち、親友でしょ?」
「うん。そうだね」と、私は安堵して言った。
「それに、愛菜の知らないところ、いっぱい知ることが出来た! そういう意味でも、今回の旅は、私にとって宝物なの!」
「芽衣」
「ん?」
「ありがとう」
「こちらこそだよ!」
特急列車の窓から外を覗いてみると、白い鳥が見えた。
コウノトリだ。『幸せを呼ぶ鳥』と呼ばれている。旅立つ私たちを見見送っている様子だった。
「また、一緒に行こうね。城崎温泉」
「うん! 約束だよ!」
私は芽衣と、指切りをした。
ピロロロロ
帰りの列車へ乗って1時間ぐらい経った時だった。芽衣の携帯が鳴った。
「芽衣。携帯鳴ってるよ。芽衣?」
呼びかけても反応がなかったので顔を見た。
深い眠りに入っている様子だった。
まるで産まれてきたばかりの赤ちゃんのような顔をしていた。
思わず笑みが溢れた。純粋無垢な顔をずっと見ていたい。
私は芽衣を起こさないことにした。
恐らく、内定先から防災訓練の電話だろう。後から怒られるかな? 怒られてもいいや。ワガママでも良い。今、この幸せな時間を大切にしたいから。




