十七話 休息とデートと日常
朝ご飯を食べ終わった僕たちは、家でダラダラとしていた。武器が出来るのも明日のため、今日は特に何もすることがなかったからだ。家で撮り溜めていたアニメでも観ようかと考えていると、レナが僕に尋ねてきた
「そういえば、歩君は学校行かなくて大丈夫なの? 受験とかしないの?」
僕は、まだ高校三年生であった。普通の学生ならば受験などで忙しい身であるが、僕は高校卒業を機に、ダンジョン一本で生計を立てようと考えていた。それに、僕の通っている黄印学園には蒼丸も通っている。だから、僕が学校に行きたくても行けない状況だった。
「冒険者として生活するつもりだったから、受験はしないよ。それに、アイツも同じ学校だからさ。行きたくても行けないんだよね」
「‥‥そっか」
「あーでも、高校の卒業資格は欲しいなぁ」
「確かに、卒業資格は取っとくべきだねでも、勉強とかは大丈夫なの?」
「それは心配ないよ。僕こう見えて、学年五位以内には必ず入ってたからね。割と勉強は出来る!」
僕は、勉強に関しては、割と優秀であった。僕の学年は三百人と少しだったが、その中で、テストで五位以内には必ず入ることができていたのだ。
「それはすごいね。私なんて二百五十人中の百五十位くらいだったのに」
「まぁ、でも卒業資格を取るのはもう少ししてからかな。今はまだ、余裕があんまりないしね」
「明日には、もうこの街を出ちゃうからねー」
「うん」
僕達は明日、武器を取り次第、新宿へ向かうことを話していた。蒼丸の件でまだ少し不安なところはあるけれど、正直に言って、早く、僕の力を試してみたかったからだ。今思うと、僕はだいぶ変わったと思う。今までの僕なら、ダンジョンにワクワクするなんて感情を抱くことなんて絶対に無かった。この前の暴走もそうだ。昔の僕だったら、あんな事があっても、歯向かう事ができたのかと疑問に思う。既に、僕は僕じゃなくなってる? いや、そんな事はないか。物思いにふけっていると、レナが僕に問いかけてきた。
「じゃあさ、今日は特にやる事ないよね?」
「そう‥‥だね。今日は、何もないかな」
「じゃあさ、私とデートしない? 明日からまたダンジョン攻略をするんだしさ。今日は目一杯、遊ぼうよ!!」
「デ、デート‥‥? 」
「そう! 歩君もさ私みたいな可愛い女性と出来るし、私は歩君とデートが出来る! まさに一石二鳥でしょ! ダメかな?」
レナが上目遣いで僕を見上げて来た。確かに、レナの行動で忘れていたけど、レナは可愛い。客観的にみても、芸能人レベルで可愛いほどだ。そんなレナが上目遣いを使ってきて、僕が断れるはずもなかった。
「分かった、分かりました。だから、その上目遣いで見てくるのをやめて」
「やったぁ!! じゃあ早速準備しよ!!」
そう言って、レナは僕を急かしてきた。急かされた僕は外出用の服に着替えて、レナの準備ができるまで待っていた。ただ、僕は布マスクと帽子を被り、顔が判らないようにしていた。外は既に雨は止んでおり、晴れていた。
「お待たせ~」
レナは少しボーイッシュな服装をしていて、薄い茶色のパンツに白色のシャツの上から黒っぽいセーターを着ていた。そして、薄い化粧をしていて元から可愛かったのがさらに可愛くなっていた。その姿に僕は思わず、少しドキッとした。
「‥‥えーと、服よく似合ってるね」
「ありがとう〜。それじゃあ行こっ!」
僕がレナの姿を褒めると、レナは僕の腕を掴んで引っ張ってきた。その一日はここ最近で一番楽しい日となった。僕達はまず、映画を観て、近くにあるアイス屋さんでアイスを食べ、二人で買い物をして、夜はイタリアンを食べて帰った。その姿はまるで恋人のようであった。レナの姿は目を惹いた。、デート中、いろんな人がレナの姿に見惚れていた。途中ナンパしてきた奴らがいたけれど、それはまた別のお話。
「あー、今日は楽しかったね~!!」
家に帰ってきて、レナがそう言った。
「うん本当に楽しかった! ‥‥ありがとう、レナ。僕をデートに誘ってくれて」
「私がしたかった事だから、感謝される事じゃないよ~。でも、楽しんでくれたのならよかった!!」
レナは僕のその言葉を聞いて、嬉しそうにそう言った。それから、お風呂に入り、明日の準備をした後にベッドへと入った。僕はベッドに入ると、すぐに眠った。一方レナは、僕を夜這いしようかどうかと葛藤をしていた。葛藤しながら、僕の部屋に来たけれど、僕がスヤスヤと寝ている姿を見て、夜這いを諦めて、自分のベッドへと戻って行った。その日は昨日のような悪魔を見る事はなかった。僕はゆっくりと安心して眠る事が出来た。そして、平和な日常の夜は更けていくのだった。
次の更新は出来そうだったら、金曜日までに行います。
本編で省略した、デート中に起こった事は、後々幕間で出すつもりです。でも、一章が終わった後かもしれないです。だいぶ先ですけど、楽しみにしていてください!ちなみに、歩はテスト五位以内の頭脳ですけど、作者の僕は、三百人中の百位ぐらいですね。可もなく、不可もなくってところですね••••。うーん、我ながらパッとしない。まぁそれは置いておいて、次回もお楽しみ下さい!
感想やコメントなどお待ちしてますのでよろしくお願いします!