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大陸暦1527年――23 変わる世界
私が他の捕虜達と一緒に釈放されると、部屋に訪れたサーミル獄吏官長が言った。
私はそれを何の感慨もなく聞いた。
彼女は他にも色々と話した。
皇帝陛下がお亡くなりになったこと、戦争中に見つかった最後の皇位継承者が継承権を放棄し、実質、皇家が滅んだこと、帝国は帝政を捨てる話が出ていること、貴族制の見直しがされ多くの貴族が解体されるかもしれないこと、帝国で軍事裁判が行われること。
この戦争を機に、祖国は変わろうとしていた。
それをどのように捉えるべきなのか、今の私には分からない。
そしてサーミル獄吏官長は最後にこう言った。
「そういえばねー送還予定の捕虜名簿を送るときにー裁判予定の人間がいるかふんわーりさりげなーく問い合わせてみたんだけどー結果は該当なしだったよぉ。キミが逃がした部下がー生き残ったのか死んだのかは知らないけどーまぁよかったねー」




