51/72
大陸暦1527年――22 生きる意味
最近、また夢を見るようになった。
見るのは思い出ではなく、あのときの夢だけだった。
ここに入れられた時のように、毎晩あのときの夢を見た。
そして私は何度も、彼女を失った。
目覚めたとき、私の心にはいつも悲しみがあった。
けれど涙は出なかった。だから悲しみは発散されずに心に溜まり続ける。
最後の記憶が、これまでの思い出を塗りつぶすかのようにどんどん溜まっていく。
これが心の全てを占めたとき、私はどうなるのだろう。
私は私でいられるのだろうか。
そもそも、私が私でいる必要があるのだろうか。
生きている必要があるのだろうか。
彼女のいない世界で、家族のいない世界で、
なんで私はまだ、生きてるのだろうか。




