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大陸暦1527年――21 戦争終結と訃報
嘘を付いた代償に、五日間寝込んだ。
*
戦争が終わったと、ホルマル獄吏官が告げた。
その数日後、流通が動き出したのか一通の手紙が届いた。
そこには戦時中、反徒として家族が処刑されたことが書かれていた。
それは私の所為ではなく、父と兄が反乱軍を支援していたことが原因だった。
二人は反乱軍に情報を流していたのだ。
……私は思い出す。
出兵時に父が見せた、決意したような表情を。
何としてでも生き残れと言った兄の言葉を。
二人は、自らの正義を信じ行動したのだ。
それはきっと、母も知っていたことだろう。
……これで本当に、何もかも失った。
もう、涙も流れない。




