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騎士物語  作者: 連星れん
前編

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36/72

大陸暦1527年――16 最後の団らん


 訓練は中止となった。

 私たちは帝都に戻され、出撃の準備を命じられた。

 その間、新人騎士を組み込んだ上の騎士団の再編が行われた。

 私は士官学校と訓練の成績から、第三偵察小隊の副小隊長に任命された。

 ……嬉しくはなかった。

 だって私たちは、これから人を、彼女エルデーンの国の人を、殺しに行くのだ――。





 出撃前日、私は一度だけ家に戻った。


 出撃する全員に許された特別休暇を使っての帰宅だった。

 家族はいつもと変わらない様子で――あえてそう振る舞ってくれていたのだろう――私を出迎えた。

 そしていつも通り談話し、みんなで食事をし、あっという間に時間は過ぎていった。


 翌朝、出撃の日を迎えた私を、邸宅にいる全員が見送ってくれた。

 母は笑顔だったけれど、泣きそうなのを我慢しているのは見え見えだった。母は私を抱きしめて「どうか無事で」と震える声で言った。

 次にすっかり父にがたいが似てきた兄が私を抱きしめてくれた。兄は「何としても生き残れ」と小さく強く囁いた。

 続けて、オグや他の使用人たちも激励の言葉を贈ってくれた。

 みんなの挨拶が済むと、最後に父が私の両肩に手を置いた。

 父の表情は、どこか強い決意に満ちているように見えた。

 そして父は――――なんて言ってただろう……。


 ……もう思い出せない。




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