大陸暦1527年――16 最後の団らん
訓練は中止となった。
私たちは帝都に戻され、出撃の準備を命じられた。
その間、新人騎士を組み込んだ上の騎士団の再編が行われた。
私は士官学校と訓練の成績から、第三偵察小隊の副小隊長に任命された。
……嬉しくはなかった。
だって私たちは、これから人を、彼女の国の人を、殺しに行くのだ――。
*
出撃前日、私は一度だけ家に戻った。
出撃する全員に許された特別休暇を使っての帰宅だった。
家族はいつもと変わらない様子で――あえてそう振る舞ってくれていたのだろう――私を出迎えた。
そしていつも通り談話し、みんなで食事をし、あっという間に時間は過ぎていった。
翌朝、出撃の日を迎えた私を、邸宅にいる全員が見送ってくれた。
母は笑顔だったけれど、泣きそうなのを我慢しているのは見え見えだった。母は私を抱きしめて「どうか無事で」と震える声で言った。
次にすっかり父にがたいが似てきた兄が私を抱きしめてくれた。兄は「何としても生き残れ」と小さく強く囁いた。
続けて、オグや他の使用人たちも激励の言葉を贈ってくれた。
みんなの挨拶が済むと、最後に父が私の両肩に手を置いた。
父の表情は、どこか強い決意に満ちているように見えた。
そして父は――――なんて言ってただろう……。
……もう思い出せない。




