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騎士物語  作者: 連星れん
前編

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34/72

大陸暦1527年――14 恋い焦がれる


 新人遠征訓練の野営地。

 訓練が始まって二ヶ月あまりが経っていた。

 今日はいつも整然とした雰囲気の野営地が、どこか浮き立っている。

 先週、ずっと体調を崩されていた皇帝陛下が崩御なされたのだ。

 それに伴い皇太子殿下が即位なされ、帝都では即位パレードがあったらしい。

 野営地は訓練の一環で俗世から離れているため、今日それを知らされたのだ。


 その夜は、前皇帝陛下に黙祷を捧げたあと、新皇帝陛下即位のお祝いを兼ねて、指導官が宴を開いてくれた。

 同僚達は厳しい訓練の反動か、お酒を飲んだり、火を囲って踊ったり、それぞれ羽目を外している。

 私は隅でその様子を見ていたけど、すぐに酔っ払いたちに見つかり、踊りの場へと連れ出されてしまった。


 楽しいひとときの中、私は夜空を見上げてエルデーンのことを想った。

 彼女は今、何をしているのだろうか。

 いつものように本でも読んで、夜を過ごしているだろうか。

 エルデーンとはもう、五年も会っていない。

 彼女のことを想うと、胸が苦しくなる。

 会いたくて、仕方がなくて、胸が締め付けられる。

 これが友人に向ける感情ではないことは、流石の私も気づいていた。

 この胸の奥に形成された感情が何かも。

 でも私は、この想いを彼女に伝えることはないだろう。

 意気地なしの私には、今の関係を壊すほうが怖いから。

 ただ今まで通りの関係を続けられればいい。

 それだけでも私は幸せだから。

 だから早く会いたい。


 この訓練が終われば会いに行ける。

 その時は今日の話もしよう、そう思った。




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