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第8話:転生賢者は最後の試験に臨む

 ◇


 面接試験。

 なんやかんやあったが、これで最後の試験だ。

 ……ちなみに、俺がもっとも苦手とするものである。


 一人ずつ各部屋に入室し、学院の講師と面談するというものだ。

 ミリアの話によれば、先に行われた二科目の試験結果や、俺の考える将来の展望、学院の教育に何を求めるか。


 そんなことを聞かれるらしい。

 15歳くらいの少年少女に尋ねることでもないだろうと思うのだが、文句を言っても仕方がない。

 俺は腹をくくって、大きく息を吸い込んだ。


 コンコンコン。


 ノックして、面接官が待つ面接室へと入る。


「おおっ、君がユーマくんかね。どうぞどうぞ座ってくれたまえ」


「え、はあ」


 面接室へ入ると、白髭を生やした壮年の面接官がかなりフランクな態度で迎えてくれた。

 俺は言われるがままに、用意されていた椅子に座った。


 用意されていた椅子は本当に受験生用に用意されたのか……? と疑問を浮かべてしまうほどに立派な椅子だった。

 高級感のある質感の良い木材に、金色の装飾がされている。もちろん座り心地も最高に良かった。

 かなり地位の高い人の来客用に用意されていたものと言われても信じられる。


「私がユーマくんの面接を担当する学院長のビーデルだ。今日は短い間だがよろしく頼む」


「……よろしく」


 あえて俺が敬語を使っていないのは、これが面接の基本マナーだからだ。

 日本に住んでいればちょっと信じられないことだが、冒険者や騎士団を目指す者たちの学校ということで、学院生にも同様の心構えが求められる。

 それは受験生が受ける面接でも確かめられるということらしい。


 こんなことで心構えなんてものが測れるわけないだろとツッコミを入れたくなるが、そういう文化なので仕方がない。


 ……というか、まさか面接官に学院長が出てくるとは思わなかった。

 学院全体の講師で手分けしているのだろうか?


 学院長にもこんな仕事が回ってくるとは、苦労してるんだな。


「魔法試験と、剣技試験の結果を見せてもらったよ。凄まじい成績だ。本当に素晴らしい。そ、それで確認したいのだがね、ユーマくんは第七学院に入学する意思があるかね!?」


「え、ああ。もちろんだ。合格になれば必ず入学させてもらう」


 やけに焦ったような感じで聞いてくるんだな。どういう意図があるんだろうか?

 この手の質問は志望度の確認のはずだ。嘘でもいいからとりあえず意思があると答えるのが正解のはず……だよな、確か。


「そ、それは良かった! いやぁ、ワシは安心したよ。いやまさかユーマくんほどの逸材が入学してくれるとはね。君には期待している。ぜひよろしく頼む」


「あ、ああ。もちろんだ。合格すれば全力で頑張らせてもらうよ」


 いったいなんなんだ……?

 これは試験なんだよな?


 ベタ褒め面接で粗探しをしようということなのだろうか……。

 意図がよくわからないが、とりあえず無難な返しになっているよな?

 かなり不安が募ってくる。


「これで今日の面接——いや試験は終了だ。ご苦労だった。じゃあ気をつけて帰ってな」


「え、もう終わり!?」


「うむ、十分よく分かったよ。君なら大丈夫だ。第七学院をよろしく頼む」


「は、はあ……」


 いや、あの……何もまともなこと聞かれてないと思うんだがこれでいいのか……?

 もしかして、さっきの試験の成績があまりに酷くて面接の価値がないと思われちゃったのだろうか……。


 確かに、それなら合点がいく。

 丁寧な対応だったのは不合格者が学院に恨みをもたないようにするための工夫ということなのかもしれない。


 しかし『君とは話す価値がない』と暗に言われてしまったのに、無理に話を投げてアピールするコミュ力もバイタリティもない。

 もともと、ダメ元で受けたんだし仕方ないっちゃ仕方ないんだが……。


「今日はありがとう、くれぐれも帰り道に怪我などしないようにな。それじゃあ入学式でまた会えることを楽しみにしているぞ」


 親切にも、学院長が俺の退室を見届けてくれたのだった。

 俺がトボトボと廊下を歩いていると、ちょうど面接を終えたミリアが別の面接室から出てきたところだった。


「あ、ユーマお疲れ様です! どうでしたか……?」


「え、ああ……まあ、やれるだけのことはやったよ。ミリアは?」


「私は自信ないです……。ちょっと言葉に詰まっちゃって、言いたいこと全部は言えませんでした……」


 しかしミリアの様子を見ていると、俺みたいに開始後すぐに切り上げられたような感じではなかった。

 俺なんて質問に答える時間すら与えられなかったんだからなぁ。


「ミリアは大丈夫だと思うよ。しっかりしてるしな」


「えへへ……ユーマにそう言われると嬉しいです。それにしてもユーマ、面接が終わった後どこに行ってたんですか?」


「え? 普通に出てきただけだけど……」


「面接室は私が受けた部屋が一番端で、ユーマが来た方には誰も行っていませんでしたけど……不思議ですね」


「そうなのか? ああ、確かに不思議だな……」


 俺だけ別の部屋に呼ばれたということなのだろうか?

 それなら何のために?


 疑問が募るばかりだったが、気にしても仕方ない。

 結果は嫌でも分かるのだから、最後まで合格だと信じて今日は宿に帰ってゆっくり眠るとしよう。

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また、『俺だけ無敵の白金獣魔師プラチナテイマー』という作品を同時に連載しています。

こちらもめちゃくちゃ面白いのでご覧いただけると幸いです。

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