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48-いつだって、突然だって、アイドル♪

「ぇっ、メル達が目の前から消えちゃったのだけども・・・どこ行ったって言うのよ?!」


「・・・短い詠唱で転移魔法を発動した?幾ら何でも、あの状態バーサーカーモードのメルでもアイテムも無しに、空間座標の演算を短縮化なんて芸当出来ないと思うんだけど。どんだけあの子を気に入ったのよ、メル・・・ハァ、どうしたら良いのやら」


 どうしよう!アキクンが、メルに攫われちゃったわ?!

 何やらリサが、転移魔法だとか空間座標だとかぶつくさ言ってるのを聞く限り、何処かに転移しちゃったみたいだけど・・・どうしろって言うのよ?!

 もうホントアイツは、トラブルに巻き込まれないと気が済まないのかしら?!それに、メルもメルだわ!

 前から、小さい男の子が好きって聞いてたし、それに何度か残念な姿も見た事あるけど、今回ほどでは無かったわよ。

 確かに、私から見てもお人形さんみたいな可愛らしい見た目で、黒髪黒目なんてこの辺ではあまり見ない珍しい姿だったけど、所詮はあの駄竜なのよ?

 正直、あそこまでメルが暴走して狂うほど、魅力的とは思えないんだけど・・・ハッ!やっぱりステータスにあった、竜眼に問題があるんじゃないかしら?そうに違いないわね?!となると、結局はアイツが悪いんだから、ここはもう放置しても良い気が・・・ってダメだわ。

 このまま、メルに掻っ攫われちゃったら、何のために大枚を叩いてアイツを呼んだのか分からなくなるわ。

 それに、あのエルって言うスライムの子も棄て難いのよね・・・こんな金のなる木を見す見す逃す手は無いと言うものよ!

 幾らメルでも、これだけは譲れないわね。私の自堕落な未来を守るためにも、今立ち上がらなくてどうするのよ、私?!


「って事だから、探しに行くわよ!リサ!!」


「ぇっ?何が、って事なのかな、リーファ?ま、まぁ心配する気持ちは分かるし、直ぐにでも探しに行きたい気持ちは私もあるよ?でもむやみやたらに探しても、見つかるかどうか・・・それに、無事に見つけたとしても、あの状態のメルをどうこうするのは骨が折れるよ」


「むっ、確かにそうかも知れないけど・・・でも直ぐに追いかけないと、どうなるか分からないわ」


「確かにね。でも少し話を聞いて欲しいんだけど、前に、某国の王子様にメルが懸想しちゃって、身の程知らずにアタックでも掛けるのかなって仲間内で話してたら、「てへっ☆連れて来ちゃった♪」なんて言って王子様を簀巻きにして誘拐してきた時なんて、かなり大変だったんだから。だってさ、流石にこれは無いわって仲間内で即決断して通報したんだけど、国の屈強な騎士や兵だけじゃなく、国中の冒険者総出でメルを追跡しても見つけるのに苦労するどころか、返り討ちにあったりして、あともう少しで大罪人として神々にも助力を得るところだったんだから。まぁその時は、簀巻きにされた王子様が実はかなりの好色家だったみたいで、それに気づいたメルが、号泣しながら王子様を解放したもんだから、事なきを得て無事に解決したけどね。だから、このままむやみやたらに追いかけても、見つける事すら難しいと思うよ」


「そ、そんな・・・」


 メルが凄腕の魔術師ウィザードってのは聞いてたけど、そこまで何て知らなかったわ。

 あれ?でもその話ってどこかで聞いた事があるような気がするのだけども、気のせいかしら?


「ちなみにだけど、その時のメルの処罰だけどさ・・・信じられない事に無罪放免だったんだ。まぁ噂に聞いた話だけど、もうこれ以上メルに関わりたくないって王子様が必死に懇願したらしいよ・・・今でもあの誘拐事件の犯人は、メルじゃなくて、魔王の幹部の仕業ってなってるしね」


「ぇっ?!あの事件って、メルの仕業だったの!?た、確か、その事件の所為でその王子様が大変な事になって、その国始まって以来の大事件に発展したって言う、あの誘拐事件?!」


「ぁ、やっぱり知ってたか。って、かなり有名な話だし、あの王子様もあんな事になっちゃったからね・・・私もあれには吃驚したね。今思えば、誘拐事件の終わりに、無事解放された事を伝えるために、王子様が民衆に語った言葉が始まりだったよね・・・」


『余は知った、性の捌け口にされる者の辛さを・・・そして、業の深き者の醜悪さを・・・余はもう決して、女性に不埒な行いをせぬと告げる!!』


「最初聞いた時は、民衆にはあまり知られてなかったけど、王子様の今迄の好色さを省みて、悔い改めたのかなって皆思ったんだよ。でもその幾ばくか経った後、次に民衆の前に現れた王子様は・・・」


『余は、男の身を棄てる!!これから余は・・・いえ、私は・・・王女として生きていきます!!」


「・・・あの子も、女の子になるのかな?」


「・・・・・・・」


 その話は本当に有名な一大事件で、実際に国家が揺らいだと聞くわ。

 その王子様は、国の第一王子として民衆にも大変人気があり、美貌もさる事ながら知性も大変優れていたらしく、次の王として何ら遜色も無い期待の王子様だったらしいの。

 それでその王子様が、国の秘宝とされるアーティファクトを使って、本当に王女様に性転換してしまったものだから、一時その国が上を下へと大騒ぎになって、国の存続すら危ぶまれたわ。でもその当事者の王子・・・王女様が、その性転換前から持ち合わせていたカリスマ性を遺憾無く発揮して、国を持ち直したって言う、勇者の冒険譚に次ぐ人気の話で、よく演劇にもなってる有名な事件なの。

 それがまさか、あのメルが関わっていたなんて・・・正直、知りたくなかったわよ。

 ただまぁその王子・・・王女様が居る国は、その事件を聞いたとある迷える者達が大挙して、聖地として崇められてるとか何とか聞くし、悪い結末じゃないからまだ良い・・・のかしら?

 それと、アイツ・・・アキクンが、女の子になれば、女性絡みのトラブルも無くなるし、それにあの竜眼を使えば男どもから支持も得られるかも知れない。

 そうなれば、あのエルって言うスライムの子も使って、芸をしながらアイドル活動をすれば、かなり稼げる・・・なんて聡明なの私?!

 そんな事を思いついてしまうなんて、私自身の才能に恐れ戦いてしまうわ?!

 それにそうよね、私も少しは働かないと美味しいご飯は頂けないのだから、ぷろでゅーさぁの立場としてアキクン達を導いてあげなければ!?

 となると・・・


「ん、このままアキクンには、女の子になって貰いましょう・・・目指せ!トップアイドル!?」


「ぇっ、急にどうしたのリーファ?!あの子を助けに行かないの?それにトップアイドルって何?!流石にあの子が可哀想だと思うよ、リーファ?!ぁあ、保護者のはずのメルが亡き今、この子を真っ当な人生を歩ませる自信が私には無いよ」


 何やらリサが失礼な事を言ってる気がするけど、私には、今後どうやってアキクン達をぷろでゅーすして行こうかと、未だ見ぬ栄光と金貨に胸を躍らせる事に忙しいから気にしない事にするわ!!


「うふふふっ、まずはアキクンを女の子にするために、彼の国に向かわなきゃね・・・」


 ピンチをチャンスに変える事が出来る者こそ、真のレディなのだと思うの。私、頑張るわ!!


「って、何を戯けた事を言っとるのじゃ、あほぉおおおお!!?」


 私が、そんな新たな決意の元に心を奮い立たせ居たら、レディとして相応しくないそんな声が突然聞こえて来たのだけど、一体何事かしら?

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