30-享受すればこそ責任もまたあり
「それにしても壮観だよね。ぁ、でもこんなにドロップ品を頂いちゃって良いのかな?特に僕は何もしてない所為か、何だか盗人な気分なんだけど」
エルがこの階層に蔓延っていた鬼たちを駆逐してくれた御蔭で、この階層のあちらこちらにドロップ品が落ちてて、まるで宝物庫の中に盗みに入っている気分に陥っちゃうのは仕方ないと思います。
《気にする必要はありません。眷属が得たものは全て、御主人様の物なのです。それに御主人様は、何もせず私たちの傍に居て下さるだけで宜しいのです。それだけで私たち眷属は幸せなのですから》
「そうだよ!御主人様が一緒に居てくれるだけでボクも嬉しい!あと撫でてくれたらもっともっと嬉しいよ!!」
もうナビは眷属眷属って言うけど、本当に僕は最高神だとかそんな面倒な存在は御免蒙るんだからね!
あとエルの施しをねだる気配が何だか艶っぽい気がするのは気のせいだと良いな・・・今後は本気で自重せねばなるまい。
「そう言ってくれるの嬉しいけど・・・そうだ!このダンジョンを攻略し終えたら、みんなで祝杯をあげよう!!こんなに稼いだんだから、散財してもあの守銭奴なリーファも許してくれるはずだよ」
《それは良いですね。私は飲食は出来ませんが、その場の雰囲気は楽しむ事に致しましょう》
「わぁ~ぃお祝いお祝い!!その時はいっぱい御主人様に撫でて貰わなきゃ!!」
ぅんぅん嬉しそうでよかった。それにしても本当にエルはそればっかだよね・・・依存症治療しないとマズイんじゃなかろうか。
いきなり撫でりんこを絶つとどうなるか少し怖いから、徐々に減らしていく形にしよう。しかし僕のこの撫でりんこ術は一体どうなっているのか・・・エルだけ過剰に快楽を得る事が出来ているのかな?それとも他の魔物も・・・さらには人にも効果があるとしたら・・・ごくりんこ。
《御主人様がハーレムをお望みになるのでしたら、それでも良いかと思いますが、今の現状ではお控え頂いた方がよろしいかと思います。もし眷属が少ない中で、事を起こされますと、色々なトラブルに遭う可能性があり、私とエルだけでの対処では些か不安が残りますので》
べ、別には、ハーレムとか興味ないし!そ、それに今は僕、仔竜だからハーレム作っても・・・ね?
《・・・そういう事に致しましょう》
な、なんだかジト目で見られてる気配がするけど、ほ、本当に興味ないんだからね!でも僕もオトコノコなんだからね!!
「御主人様!ますたぁー!いっぱい集めて来たよ!!だから・・・ご褒美・・・」
オトコノコの願望に想いを寄せるあまり、ドロップ品を拾う手を止めていた僕をよそに、エルはきちんと真面目にドロップ品をかき集めてくれたみたい。
「あ、ありがとうエル。んーじゃ少しだけね?ほらよしよしぃー・・・はい、おしまい!」
「はわぁ・・・気持ち・・・ぇ?もう終わりなの?・・・ん、ボク我慢する」
今回はふたさわわだけで終わったもんだから、凄く残念そうにするエルだけど、少し我慢を覚えたのか、ぷるぷるとその身を震わせながらも必死に耐える姿は凄く辛そうで、もうふた、みさわわでも・・・《御主人様・・・》ッ、わ、わかってるって!!
「それにしてもこの量どうしようか・・・本当にこのバッグに入るかな?」
この階層の全ての鬼たちを屠って得たドロップ品だから、凄い量なんだよね。
一か所に集めることでその膨大さが現実味になって、どう考えても今僕が背負ってる四次元バッグには入りきれないと思うんだけど。
「取り合えず入れてみようか。一応入りきれない事も考えて、戦利品を吟味しながら高そうなものから入れてみよう」
《了解しました。私の方で鑑定を駆使し、性能が高いものから順にピックアップ致しますので、ご参考になさってください》
「おっけぇー。じゃ始めよう!!」
ナビがピックアップしてくれた物から順に、四次元バッグに入れているんだけど、このバッグ本当に凄いね・・・。
明らかに見た目からわかるバッグの容量以上に物を入れているはずなのに、まだイケそうなんだよね。
流石に全部は入らないかもしれないけど、目の前にあるドロップ品の山の半分以上は入るかも?
むふふっ、それだけあれば、あの暴君幼女さんもきっと僕の待遇改善に文句は言わないどころか、敬い媚び諂うかも・・・そうだ!札束で頬をビンタしてやって、僕の偉大さをわからせてやるのも良いかも知れない!!
《・・・オチが見えますが、その時に傷ついた御主人様を癒してあげれば、私の好感度ゲージがうなぎ昇りでしょうし、ここは敢えて見守るスタンスです》
ぁあ楽しみだなぁ~るんるんるぅ~んと約束された未来に胸を躍らせながら作業を続けていると、不意にナビが警告を発してきました。
《・・・ッ!ま、御主人様気を付けて下さい!!何者かが此方に転移してきます!?》
「ぇっ、突然どうしたのナビ?って、転移?・・・ハッ!もしかしてこの世界の神が転移してくるの!?場合によっては逃げないとマズイかも知れない!ナビ、どうにか逃走できる手段無いかな!?」
《申し訳ありませんが、今はそのような手段は残念ながらありません!それに、もう間に合わないようです!!》
僕たちの目の前の空間が転移の影響からか歪みだして、そこから小柄な人影が現れたかと思ったら・・・
「おのれら何してくれとるんじゃぁああああ!あほぉおおおおおおおおおお!!」
そんな怒気を露にしてその空間の歪みから現れたのは、どこかまだ幼さの残る顔を怒りに歪め、癇癪を起す余り、腰まであると思われる長く綺麗な金色の髪を振り乱し、地団太を踏んでいる・・・
幼女さんが現れました。
「マジで何してくれとるんじゃ!!久しぶりにこの階層に挑戦者が現れたのかと思って戦闘を覗いてみれば、吾の眷属たちをいきなり全て亡き者にしおって!非常識にもほどがあるじゃろが!!」
激おこぷんぷん丸なのじゃぁあああ!と怒りが収まらないのかまた地団太を踏み出す幼女さん・・・って眷属?
ぁ!よく見たら、この幼女さんの額に角生えてる!!ってことは・・・・
鬼っ娘が現れた!!?
って幼女さんだから鬼っ幼女さん?・・・なんだかとある暴君幼女と勘違いしそうでわかりづらいから、鬼角幼女さんにしよう。そうしよう。
んでその鬼角幼女さんですが、恰好をよく見てみると、なんだか和風の着物を着崩した装いをしていますね。
この世界は中世欧州を基盤とした洋風な感じだと思ってたけど、着物あるんですね・・・ってメルさんの魔導具店で焼き魚定食やらちゃぶ台やらがあったから、今更か。
「って聞いとるのか!!ホントいい加減にせぇよぉ!・・・ってよく見たらドラゴンにスライムって・・・おのれらの主はどこじゃ?責任者を出すのじゃ!隠し立てするようならどうなるかわかってるのじゃろうな!!」
ぁ、そう言えば僕たちって傍から見たら魔物だから、僕たちを使役している人が居ると思っても仕方ないか・・・んーあまり気が進まないけど、責任者となると僕だよね?本当はリーファになるんだろうけど、今居ないしな・・・仕様が無いか。
「はい、一応僕がこのメンバーの責任者になるかと思います」
「へっ?なんでドラゴンのお主が責任者なのじゃ?ハッ!もしや自分たちの主を庇い立てようと・・・その献身な心がけは従者としては見事なものじゃが、今回ばかりは悪手じゃぞ?さぁ、とっとと本物の責任者を出すのじゃ!!」
嘘つきは死刑じゃぁああ!とばかりに睨みつけられるんですが、これどうしましょう・・・と僕が困り果てていると、それを見かねたのかエルが助け舟を出してくれるようで、鬼角幼女さんから庇うかのように僕の前に躍り出てくれました。
「御主人様は、ますたぁーだよ!!」
「へっ?なんでスライムが喋っとるのじゃ!?ドラゴンならまだしも、スライムがそんな流暢に喋るってのは聞いた事が無いのじゃが・・・っていまなんと言ったのじゃ?」
「だからボクの御主人様は、ますたぁーなの!!嘘じゃないもん!!」
ぷんすかぷん!と擬音が出て来そうな感じで遺憾の意を表すエルの姿は、凄く愛らしくって、僕を庇った事も併せて、あとでご褒美として撫でりんこしてあげようと思いました《ほどほどにお願いします御主人様》。
「ぉ、ぉーそうじゃったのか・・・それはすまんかったのじゃ。ってなんでドラゴンがスライムの主なのじゃ!?」
「いやぁーそれには色々とありまして・・・何から話した方が良いものやら」
と何やら鬼角幼女さんを怒らせてしまったみたいなので、ここは穏便に話を進めようと下手に出ようとしたのですが、
「だぁーもうなのじゃ!誰が責任者とかもうどうでも良いのじゃ!取り合えず、吾の眷属たちを屠ったのは結局はおのれらなのじゃから、きっちりと落とし前を付けさせて貰うのじゃぁああ!!」
そう言っていきなり襲い掛かってくる鬼角幼女さん・・・どうする、次回!?




