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駄竜転生~幼女様から始まるゆかいなモラルハザード~  作者: ミズタマン♪
第二章 イニティブラのダンジョン下層攻略編
27/63

27-出会いのあとには別れはつきものです

「じゃ今度こそ先を急ごうか!」


「ぅん!行こうアキクン!!」


御主人様(マスター)、その前にドロップ品の回収は宜しいのですか?》


 ハッ!忘れてた!?ちゃんと回収して置かないと、ここに落とされた意味が・・・って好んで落とされたわけじゃないんだけどね!


「そうだね、じゃ回収しようか!ぇっと悪いんだけど、エルも回収手伝ってくれるかな?」


「分かった!任せて!アキクンのためならなんでもするよボク!!」


 と頼もしく言ってくれるけど、そのドロップ品は君の同族の遺品みたいなもんなんだけどね・・・何だろう僕が考え過ぎなのかな?

 なんて思っている間にも、僕の数十倍の速さでドロップ品を片っ端から拾い集めるエル・・・ってかホント速っ!?

 エルが遺品ことドロップ品を拾う際、一度体内に保管してるみたいで、物凄く効率の良い手法を取ってて、僕が10個ぐらい広い集める頃には、眼に見える範囲で落ちているものは、全て集めきってしまいました。


「アキクン拾い終わったよ!!」


 フンス!と鼻息|(鼻が略)を荒くしながら、褒めて褒めてとアピールしてくるエルは、かなりのぷりちぃさだと思うけどこれ如何に?


《私は御主人様(マスター)派ですので。まぁでも分からなくはありませんね・・・お手と言ってみてはどうでしょうか?》


 ダメだよそんな事しちゃ!エルは、ペットじゃ無くて仲間なんだから・・・って言う僕も、まぁその気持ちはわかるけどね。

 思わずそう意地悪したくなっちゃうほどに、いまのエルは従順で健気で、僕のために何かをやり遂げることが凄く嬉しそうなんだよね。

 本当に長い間、孤独感を味わってたのかも知れない・・・こんな初対面な僕に、ここまで好意を示してしまうぐらいには。

 よし!せっかく仲間になったんだから、目一杯構ってあげようじゃないか!!


御主人様(マスター)、私もお忘れなく》


 はいはい。


「凄いよエル!こんなに早く集まるなんて思わなかったよ。本当にエルと仲間になれて良かったかな」


 とエルが集めたドロップ品を四次元バッグに入れ、そうエルの事を褒めながら、その頭をなでなでしてみました。

 うわぁぷにぷにしてる中にも少しひんやりとした触り心地で、かなりの良質なもち肌を感じさせる、最高に良い撫で心地なんですけど!


「褒められた!ボク嬉しい!!ボクもっと頑張る!!・・・ぅ、く、くすぐったいよ!ぁ、でも何だか気持ちいい・・・」


 ハッ!思わず一心不乱に撫でまわしてしまった!!

 ついついこう撫でまわしやすい子が居るとやっちゃうよね!!


御主人様(マスター)、完全に事案です》


 ぇっ!?そ、そこまで言う事無いじゃなイカ?

 むぅでも確かにポチたんの時もやり過ぎちゃったからな・・・気をつけねばなるまい。


「ご、ごめんね、エル。だ、大丈夫?」


「はわぁ・・・ッ、だ、大丈夫!も、もっとして欲しい!!」


「ぇ?そう?じゃ遠慮なく・・・」


御主人様(マスター)?》


 ッ!わ、わかってますって!!


「な、名残惜しいけど、今回はここまで!また頑張ってくれた時に撫でてあげるからね!!」


 ぐぅとここは堪えて撫でるを止めます。流石にこれ以上やっちゃうと僕の変なスイッチが入って、止まらなくなると思いますし。

 ちなみにだけど、小動物だとかそう言った子限定だぞ?本当に事案になるようなことは今までしてないもん!!


《幼気な小動物を手籠めにするのもどうかと思いますが》


 て、手籠めとか言う無し!!そんなつもりは僕には無いんだから!!


「ぅ、もっと撫でて欲しかった・・・ボク、もっと気持ちよくして貰うため頑張る!!」


《・・・・・・・・・・・》


 僕はなにも悪くないやい!!


 謂れのない誹謗中傷を受けた僕は《事実かと》(うるさいよ!)、足早にダンジョン攻略のため歩を進めるのでした。

 ・・・ってそう言えばどこ行けば良いんだろうか?


「エル、ちょっと良い?」


「なに?アキクン??」


「ここの出口って分かるかな?出来ればこのダンジョンの外に出たいんだけど」


「んーちょっと待ってて!他の仲間にちょっと聞いてみる!!」


 そう言って、未だに僕たちの周りを囲むように居るスライムさんたちに向けて、何やら意思疎通を図ってくれるエル。

 お喋りは出来ないって言ってたけど、ある程度の事は相互理解が出来るみたいだね。


「んとね・・・ダンジョン?の出口はよく分からないけど、下に行くための階段はあるんだって!ボク場所わかるから付いてきて!!」


 ピョンピョンと跳ねながら、その下に向かう階段の場所まで僕を案内してくれるみたい。


「ありがとうエル。それに他のスライムさんもありがとうございました!エルの事は任せて下さいね!!」


 僕の言った事を理解してくれたのか、ザワワとうねりを上げて、応えてくれるスライムさんたち。


「ッ!ぅん!ボク頑張るよ!!みんなも今までありがとう!!」


 何やら僕だけじゃなく、エルにも別れの挨拶を送ってくれたみたいです。


「良かったねエル。他のスライムさんたちから大切に想われてたみたいで」


「ぅん!今なら分かる!こんなにもボクの事を想っててくれたって!大切な家族なんだって!!」


「ぅんぅんそれはよか・・・ったね!!」


 そんな家族を結構屠ってしまった事を思い出した僕は、たらりと冷や汗を流しながら、そんな事は全然気にしてないエルとスライムさんたちの雰囲気に、何だか居た堪れない気持ちになって、自然にこの場から離れようと速足になる僕は、小心者なのでした。






「それにしても下に続く階段かぁー。出来れば上にあがる階段が良かったんだけどね」


 なんてついつい愚痴をこぼしちゃいます。

 だってもし上に行く階段があったら、そのまま上がって行って、ダンジョンを脱出すれば良いですし。


《私の見解ですが、御主人様(マスター)が落下された穴からここまでの深さを考えますと、もし順繰りに階層を上がったとしたら、ひと月以上掛かる可能性があります》


 マジで!?


《はい。ですのでこのまま階層を下って行けば、最下層に何かしらの脱出口があると思われます・・・ゲームのダンジョンとかだとそうですし》


 なるなるそうだよね・・・って待って!ゲームって!!そんなあやふやな理由で大丈夫なわけ!?


《・・・なんくるないさぁ?》


 そんな南の島の適当な返事をされても!!


「ごめんなさい。そこ以外にそれらしい場所は無いみたい」


 僕の愚痴を耳にしてしまったのか、そう言ってシュンとするエルに慌てて僕は、


「ぁ、いやそういう事じゃなくてね!エルは何にも悪くないよ?むしろエルの御蔭で下の階層に行けるんだから、大助かりだよ!!」


 と必死にエルを宥めすかしている僕が居ます。なんだろうエルが悲しいと僕も悲しくなる・・・これが父性というものです?


「・・・アキクン優しい!ボクアキクン好き!!」


「ぅんぅん僕もエルのこと大好きだよ?」


 わぁ~ぃと凄く嬉しそうにピョンピョン跳ねるエルのそんな姿は、とても愛らしく思います。


《・・・私は、御主人様(マスター)のことをこの世全てのどんなものにも負けない程に、強く愛しています》


 重ッ!!


《酷いです!?》


 なんてやり取りをしてたら、やっと階段まで着いたみたい。ここを下りれば次の階層ってやつだよね。

 果たして鬼が出るか蛇が出るか・・・。


「エル、下の階層ってどうなってるかわかる?」


「んーと・・・ボクわかんない!ボクここで生まれてからずっとみんなと一緒に居たから」


 とそう答えるエルの様子が、何かを想って寂しそうに見えたのは、きっと気のせいじゃないよね・・・だから、


「そっか・・・じゃ、今後は僕とずっと一緒だね!」


「!!・・ぅん!ずっとアキクンと一緒!!」


 ベタンと僕の体にのしかかるように纏わりつくエルは、凄く愛らしいと思うけど、捕食されてる気分になるから本当は少しやめて欲しい・・・けどまぁ今だけは良いかな。


《むぅ。御主人様(マスター)は、エルに優し過ぎます・・・私ももっと構って欲しいです!!》


 どこか不機嫌そうにむくれて言うナビが、面白くって可愛らしいけど、甘やかすとすぐ調子に乗るからここはスルーして置きます。


御主人様(マスター)のいけず!!》


 そうみんなでいちゃつきながら・・・いちゃついてるって言って良いのかなこれ?っと取り合えずそんな感じで、次の階層に向けて、僕たちは階段を下って行くのでした。

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