24-大和魂再び!?
暗澹たる想いで一歩を踏み出すという、希望のへったくれも無い歩みを始めようとしたら、何やら周囲から気配を感じました。
まるで包囲されている様な感覚で、こりゃもしや早速ピンチですか?と薄暗い中どうにか周囲を窺おうと目を凝らしてみると、そこには・・・
尋常じゃ無い数の粘液生物ことスライム群が現れた!?
スライムさんに好かれ過ぎてツライ件!!
ぇっ、嘘でしょ!見渡す限りスライムさんばっかりなんだけど!?
なんで今まで気づかなかったってか襲われなかったのかが不思議なぐらいだけど、よくよく考えてみれば、いきなり上から謎の生物が落ちてきて、その生物が仲間のスライムを圧死・・・身を挺して(譲れません)助けてしまったことに警戒を取って、僕の様子を窺っていたのかも知れない。
それを考えると、このスライム群はなかなかの知力があるのではと、初めてこの世界で戦った大和魂溢れる整列スライム群と同じように行くと思ってたら、マズイかも知れない。
未だ僕は、マジックブローぐらいしか使えないし、しかも今回も孤軍奮闘を強いられる状況と来たもんだ。これは一筋縄じゃ行かないぜ!!
と思ってた時期が僕にもありました。
最初こそは、うぉおおお!と懐かし初等部低学年の子犬討伐イベントが開始された感じでしたが、初っ端からマジックブローを使用したのが良かったのか、思いの外、軽々とスライムさんたちを切っては投げ、切っては投げと無双状態が続き、ちょろろんと戦闘を続けることが出来ました。
ですが、これいつまで続けるのでしょうか?いくら無双状態とは云え、こう続くと流石に疲れてくるんですが・・・しかも今回は、前みたいにスライム群がただ茫然と待ち構えて無く、襲ってくる個体が結構居るのですよ。
まるで仲間の敵を討たんとする鬼気迫る動きで、なかなか魅せるものがありますが、残念ながら僕の無双状態を抑えるほどのものでは無いのでした。
スマヌな名も知らぬスライムたちよ。僕と出合ったのが運の付きと思って、我が糧になると良い!!
経験値的にはどうなってるかは分かりませんが、結構な割合でドロップ品があるみたいで、そこら中に小瓶やら綺麗な石やらが落ちていました。
今は拾う余裕が無いから放置だけど、あとで確実に拾わねばなりません。もし放置してここから立ち去ろうものなら、あとでどんな悲劇が待っているのか想像もしたくないとです。
ってな具合で他の事を考える余裕も見せ、戦闘を続けるのですが・・・いや本当にこれいつ終わるの?
かなりの数を屠っていると思うのだけど、一向に減る気配が無いのですが。しかも段々と勢いが増してきてるような・・・。
そうまるで、仲間たちの危機的状況に捨て身の作戦で向かい、敵側を恐れさせた神風アタックの如しで、その姿からはやはり大和魂を感じさせるものがあって・・・すんごく悪いことしてるみたいで、やるせないのですが、これが敵を倒すって事なのでしょうか?
ぁあごめんよスライムさんたち・・・こうして君たちを倒してドロップ品を集めないと、僕も屠られる側になるんだ。
決して君たちの生きた証のドロップ品はぞんざいに扱わないから(とある幼女様に搾取されるまでは)、どうか安らかに逝ってくれ!!
うぉおおおお!と僕も決意のもとに彼らを屠り続け、そんな僕の気持ちをスライムさんたちも感じたのか、気の所為かも知れないけど、消えていくスライムさんたちの姿がどこか「お前になら任せられる」みたいな風に見えて来ました。
もしかしたら僕が感じる罪悪感を少しでも減らそうと思う、僕の身勝手な考えがそう思わせただけなのかも知れないけど、それでも僕とスライムさんたちの間には、分かち合える何かが生まれつつある気がするんだ・・・。
・・・・なんて思うけど、流石にそろそろ面倒になって来たんですが。
そんな気持ちを以心伝心な関係になりつつある、スライムさんたちが察したみたいで、ぇーそんなぁーと残念そうな感じが伝わってくるんだけど、これ気のせいだよね?君たち屠られてるんだよ?戦闘の果てにあるドMみたいな戦闘精神まで、大和魂に似せなくても良いんだからね!
しかも殺し合いの戦闘をしているはずが、まるで僕との戦闘を楽しんでいるかのように、いつの間にかスライムさんたちが一体ずつ僕に挑んでくるようになって、さながらボクシングチャンピオンに挑む挑戦者みたいな図式になって来たんですが・・・ホントナニコレ!?
もう訳が分からないし、全然スライムさんたちは減らないし、これはスライムさんたちによる意趣返しのリンチじゃ無いのかと思うほどになってきました。
だとしたら、このままだと疲弊した僕が倒されるのも時間の問題で、そして僕を倒したスライムさんたちはきっと、
『いい死合だった・・・安心しな!お前は俺たちの中で生き続けるのだから!?』
とか何とかいい顔をして(顔があるのか知りませんが)、僕を捕食するんですね、わかります。
・・・・危なかった。ついついスライムさんたちの大和魂に当てられて、これが生存を賭けた戦いだという事を忘れかけてたかも。
こりゃ悠長に戦っていられないぞ!って思うけど、どうしたらこの数のスライムさんたちを倒すことが出来るというのか・・・。
んーどうしたものかと戦いながらも思案するけど、妙案が思いつかないんだよね・・・ホント参った・・・。
《少しよろしいでしょうか?》
んーなになに?今忙しいからあとにして欲しいんだけど。
《お時間は取らせませんので。あと粘液生物群の対処についてご相談があるのです》
ぇっ?ホント!?この状況を打開できる案があるなら聞く聞く!!
《ありがとうございます。それでは述べさせて頂きます。粘液生物群の対処と致しまして、殲滅魔法を使用されたらと愚考します》
殲滅魔法?なにそれ??僕そんな魔法知らないよ?
《現時点では、確かに御主人様は、殲滅魔法を有しておりませんが、その代わりに『魔法創造』スキルを有しております。ですのでそちらを使用し、御主人様のイメージにて魔法を創造して貰い、私の方で魔法構成の難しい所を担当させて頂ければ、殲滅魔法の発動が可能かと思われます》
・・・ぇ?いまなんって言ったの??
《復唱させて頂きます。現時点では・・・》
いやいやいやそう言う事じゃなくて!!
《・・・どうされましたか?》
いま僕のこと何って言ったの?りぴーとぉあふたみぃー?
《・・・何故英語なのか分かりかねますが・・・御主人様?》
そう!それ!?ぇっ、なんで僕のこと御主人様って呼ぶの?
《勝手ながら私の独断でそう呼称させて頂きましたが・・・お気に召しませんか?もしお嫌でしたら別の呼称を検討・・・》
いやいやいや、べ、別に良いんだよ?ってか寧ろ次元を駆る者としては呼ばれてみたい呼称だけども!!
《流石です、御主人様。御主人様ならそう言って頂けると思いました》
あははっ、それは当然だよぉ・・・っていやいやいや待って!どういうこと!?
《どういうこととは?》
ぇっと、君はどこから話しかけてるの?頭の中で声が聞こえると言うか、考えてることに割り込まれるというか・・・念話ってこんな感じ?
《念話とは少し違うかと思いますが、心中での会話ですので、分かり易いのでしたら、似たようなものと思って頂ければよろしいかと。それと私がどこからとの問いの回答ですが・・・御主人様の魂からです》
た、魂!?な、なんでそんな所に居るのさ!い、いつからなの!?
《私が御主人様の魂の中に、ご厄介になって居る理由を話しますと長くなりますので、申し訳ありませんが割愛させて頂きます。それと私がいつから御主人様の魂の中にご厄介になっているかと言いますと、昨日からです》
き、昨日?ぇ、でもそんな素振り一切無かったような・・・。
《いえ、割と何度か御主人様の思考に割り込んだと記憶してますが・・・お気づきになりませんでしたか?》
思考に割り込んだ?・・・ハッ!そう言えば何度か僕が思ってる事にツッコミとか入れてくるのあったけど、アレって君だったの!?
漫画とかでよくある天の声とか思ってたんだけど!?
《御主人様・・・メタ発言はおやめください》
メタ発言って君・・・もしや、イケる口かね?
《御主人様の前で宣言するのは恐縮ですが・・・嗜ませて頂いております》
ほうほうそれはそれは・・・んむぅ。仕方が無いから僕の魂の中に居座る許可を出してあげるよ!!
《!!あ、ありがとうございます御主人様!!》
感極まったような気持ちが伝わって来たけど、そ、そこまで嬉しがられると照れちゃうじゃないの。
僕の魂の中に居座ってる理由が良く分からないけど、同志みたいだから悪い奴じゃないだろうし、問題無いかな?
それに僕の助けになる様な助言もしてくれるみたいだしね。っとそう言えば結局、殲滅魔法ってどんな感じなの?
《御主人様のイメージによるでしょうが、私の見立てでは、周囲全体を爆発炎上させる魔法になるかと推考いたします》
ぇっ!それって危なくない!?しかもここ洞窟みたいな感じだし、下手したら崩落しちゃうよ!!
《・・・ですが、それぐらいの威力で無いと、粘液生物群を全て殲滅する手立ては無いかと思われます》
ぅ、ぅーんでもなぁ。もし何かあったら困るし、それにアイテムも拾えなくなったら、あとで強欲幼女様に折檻されちゃうよ!
《・・・では別案となりますが、今対峙している粘液生物群の思考パターンを推測するに、強者との戦闘を好んでいる節があると見受けられます》
ぅん。そうなんだよねぇー今も絶賛戦闘中だけど、凄く楽しそうに僕に絡んでくるんだもの。ホントこの世界のスライムさん逞し過ぎやしないか?
《それで妙案があるのですがよろしいですか?》
ぉ、なになに?どんなの??ふむふむ・・・なるほどね。
スライムさんと会話出来るかがミソだけど、以心伝心しちゃうぐらいだから、もしかしたら通じるかもね?よし!やってみよう!?
《ご健闘のほどお祈りいたします。御主人様》




