コレクション9話目〜ミスリルと買い物〜
いつもより長めです。
「・・・・」
夕方の教室。授業も終盤を迎えていた。
商業科の必修科目である経済学である。
10日前まではトレジャーボックスしかなかった為、商業ギルドに入れるよう真面目に努力していた。
しかし、2日前の進化により可能性が広がってしまったのだ。
授業も上の空で、どのようにアイテムを入手するか考えていたのだ。
特に昨日の朝草原で手に入れたスキル。雑誌と石のスキル、生命力と硬化だ。
昨晩、生命力に関しては検証できなかったが、硬化のスキルは検証ができた。
試しにスキルセットしていない状態で木の板を殴ってみた。非常に痛かった。しかし、セットした状態で殴ると全く痛くなく、木の板を折ることに成功ししたのだ。
防御力、攻撃力を同時に手に入れたのである。
あんな何の変哲も無い石にもスキルがあるのだ。
ならば、薬草や万能薬。鋼鉄やオリハルコン
などのスキルがどれだけ凄いのかと考えてしまう。
集は自然と口元が緩んでいた。
「ゴーン、ゴーン」
授業終了の合図が響く。
「それでは、授業を終わります。あー皆さん
。明後日から始まる選択授業の提出日は明日までですよ。忘れない様に」
青髪の馬鹿君が手をあげる。
「選択授業て何ですか?」
ロズワルト先生は深いため息を吐き、眼鏡を上にずり上げる。
「馬鹿君。2日前に話しましたよ。選択授業は戦闘訓練・狩猟訓練・魔技訓練の3つです。馬鹿でも分かりやすく言いますと、対人戦を学ぶか、モンスター戦を学ぶか、アイテムの使用方法を学ぶかを考えなさいと言うことです。分かりましたか?スーパー馬鹿君?」
どうやら馬鹿のレベルが上がったらしい。
「はい・・・」
青髪の少年は激しく俯いている。
集も実は忘れていたのだか、聞かないで良かったと思う。
今日は街にある道具屋に向う為に、席を立ちドアに向う。
「おい!シュウ!」
振り返るとウッドが近ずいて来た。
「食堂行くんだろ?俺もいくよ」
ちなみに食堂は各寮にあり、無料で食事を提供してくれる。とゆうか、基本的に学園の物は全て無料である。これには理由がある。
優秀な人材を排出する学園の運営資金は、国やギルドがら出ている。
王国は税収から。ギルドは利益から捻出している為、分け隔てなく教育を受けられるのだ。
しかし、この制度はジャパ王国でのみ一般的であり、他国では有料ばかりである。
「今日は街に用があるんだ。また今度な」
ウッドを後にし、街に出掛ける。
大通りを歩く集。太陽がオレンジ色に変わり始め、通りには屋台や店の匂いで満ち始めている。
匂いに胃袋を釣られながら道具屋を目指す。
表通りから少し奥に入った場所に道具屋をみつけ、そのまま入る。
中を見渡すと、様々な道具が乱雑に置かれている。青い草や蛇の乾物らしき物。ピンク色の鉱石など様々だ。
「いらっしゃい」
100歳を超えていそうな老婆が声をかけてくる。ローブを羽織り、眼鏡を掛けている」
「なにを探してるんだい?童貞ちゃん」
「ぐっ。硬い鉱石か、薬草とか毒消し草。あれば、万能薬が・・」
くそっ。何故すぐに童貞だとバレるんだ。
「鉱石かい?小さい物ならあるにはあるよ。万能薬はこんなしょぼくれた店にはないねぇ。薬草と毒消し草ならあるよ。とゆうか、童貞ちゃんの予算を聞いてないねぇ」
「1万カーネです」
すると老婆が奥から手のひらに乗った銀色に輝いた1センチ程度の鉱石と、雑草と見分けのつかない草をカウンターに置く。
「これはミスリルと言う鉱石で、軽くて丈夫で魔力伝導率も高い鉱石だね。この大きさでも1万カーネはするよ。薬草と毒消し草は、1つ500カーネだね。まー初めてのお客さんだから、3つで1万カーネでいいよ」
まさかこんな簡単にミスリルに出会えるとは思ってもみなかった集は、一気にテンションが上がる。
「買います!!」
金貨を一枚支払い店を後にする。
「またよろしくねぇ」
老婆の声を後にし、人の少ない場所でミスリルと薬草、毒消し草をトレジャーコレクションに入れる。
【新しい裏スキルをコレクションしました】
【新しい裏スキルをコレクションしました】
【新しい裏スキルをコレクションしました】
頭に響くアナウンスを確認し、ステータス画面を開く。サブスキルをタップすると、3つのスキルが追加されていた。
「よしっ!」
スキル名は
硬化Lv 7
魔力を硬化することにより、耐久力をあげる。バッシブ
回復促進Lv 4
回復速度を上昇させる。バッシブ
毒耐性Lv4
毒への耐性上昇。バッシブ
一気に3つもスキル獲得に心踊る集。
早速サブスキルを変更しようとするが、少し考える。
現在、スキルセットは2つまで。硬化は付け替えるとして、回復促進と毒耐性どちらをとるか。
しばらく悩んで、毒耐性をセットする。
シュウ・タカラ
年齢 15歳
状態 健康・童貞
スキル
トレジャーコレクション Lv1(ゴット級)
サブスキル
硬化Lv 7
毒耐性Lv4
満足の行く成果に喜ぶ集は、別のアイテム屋に足を運ぶ。もちろん先ほど買ったアイテムの売却だ。
「少しでもお金は必要だしな」
少し高級そうなアイテム屋にアイテムを売ると、3つで8千カーネの買取だった。
「以外に良心的な買取価格だな」
たった2千カーネでスキルを3つも手に入れた集は意気揚々と寮へ歩いて行った。
・・・・
・・・・
高級そうなアイテム屋に1人のフードを被った少女が入っていく。
「先ほど売られたミスリルと薬草。毒消し草を買いたい」
店主に話していると、横からもう1人フードを被った少女が現れる。
「いいえ。私が買い取らせて頂きます」
「いつの間に!と言うか、なにを言う!私の方が先に買うと言ったのだ!優先権は私にある!!」
「いえ?売るか決めるのはこちらのご主人ですわよ?私に売っていただけるのであれば、色を付けますわよ、ご主人。」
「なんたる外道!ご主人!私はこ奴の倍払うぞ!こんな奴に売ってはならん!」
「ふふふ。では、私はこの方のさらに倍で」
「ぐぬぅぅー」
「ふふふ。」
オークション会場と化したアイテム屋。
主人は喜びの反面、早く帰って欲しいと願っていた。
次回話は初戦闘です。