コレクション7話目〜雑草と石〜
小説って難しいです。
「・・・・」
朝日が昇り始めた頃、集は街付南に位置する草原を歩いていた。
車や人混みの雑音は全く聞こえず、風が自然を撫でる音だけが感じられる。
「昨日のことは・・・忘れたい・・」
両手でワシャワシャと髪を書きながら悶絶する。
二日前に、スキル進化によりゴット級スキルを手にした集は、次の日に武器屋と防具屋に足を運んだ。
単純にお店の商品をトレジャーコレクションに収納して戻せばいくらでもスキルが手に入ると思ったのだ。馬鹿である。
なるべく年期の入った店に入るなり、スキル付きの武器を収納しようと空間を作る集。
小さなナイフ(20万カーネ)を手に取り、収納しようとした瞬間に腕を掴まれる。
「えっ?」
「小僧!うちの店で万引きとはなかなかいい度胸してるじゃないか!!」
40代位の筋骨隆々なオッさんが千切れんばかりに腕を握りしめる。
「違っ」
「トレジャーボックスで万引きとは、古い手を使いよって!説教してやる!表に出ろ!」
その後、2時間の正座&説教を喰らう集。
防具に着いた頃には、完全に心が折れていた。人の多い通りで盛大に怒られ、沢山の野次馬に見られれば大抵折れる。
街中でのスキル収集を諦める事にした集は、町の外に出かける事にする。
そして本日、街の南門から草原に到着した。
門では、ギルド手帳を見せる事でフリーパスだった。
無理矢理テンションを上げ、本日の目標を口にする。昨日の事を思い出したくない集であった。
「今日はゴブリンが持っている武器だな!たまにスキル付きがあるらしいし!」
ゴブリンは森や草原近くで群れをなしている弱いモンスターである。武器を装備しているが、身体能力は人間で言えば10歳位の子供となんら変わりない。繁殖能力は凄まじいが、能力的には初心者向けである。
「とりあえず、授業まで2時間あるから、1匹の所をフルボッコだな」
草原を歩き出す集。そして2時間が経過する・・・
・・・・
「1匹のゴブリンなんかいやしない・・・」
当然である。ゴブリンも馬鹿ではなく、自分達が弱いことを知っているからこそ、武器を持ち、集団で行動するのだ。集は馬鹿である。
「もう時間がない。とりあえず、帰ろう・・・」
町に向かって歩き始める集。昨日は説教、今日は無駄に草原を歩いただけ。1日が始まったばかりと言うのに、足取りは重くなるばかりだ。
町まで1キロという所で足を止める。
「せめて、なんか持って帰ろう。」
その辺に生えていると草と石をトレジャーコレクションにヤケクソ気味に押し込む。
涙が出そうなほどの情けなさに襲われている集にアナウンスが流れる。
【新しい裏スキルをコレクションしました。】
【新しい裏スキルをコレクションしました。】
「?!」
慌ててステータス画面を開き、サブスキルをタップする。
そこには、2つのスキルが新たに追加されていた。
生命力Lv4
硬化Lv2
「まじか」
画面を見ながら、スキルを手に入れた喜びと無駄な時間を過ごした悲しみに戸惑う集。
とりあえず、生命力と硬化のスキル詳細を確認する。
生命力
瀕死の重傷であっても、生存する確率が高くなる。バッシブ
硬化
魔力を硬化することにより、耐久力をあげる。バッシブ
「雑草と石のスキル。意外に凄いな・・・。
バッシブは常に発動だよな?じゃーアクティブもあんのかな?」
他にも色々と試したくなるが授業に遅れる為、サブスキルに生命力と硬化をセットし学園に走り出す。
その足取りは非常に軽かった。
シュウ・タカラ
年齢 14歳
状態 健康・童貞
スキル
トレジャーコレクション Lv1(ゴット級)
サブスキル
生命力Lv4
硬化Lv2
集のお宝コレクションは、雑草と石から始まった。