コレクション3話目〜授業とスキル〜
「・・・・」
大きな部屋に50人程の生徒が椅子に座っている。
良く手入れされているが、古さの否めない木造の教室だ。
生徒たちの外見は様々で、猫耳等の獣人系や背低いドワーフ。
様々な種族が当たり前のように席についている。
「それでは授業を開始します」
教卓に立つ先生は、黒髪に眼鏡を掛けた25歳位の青年だ。
名前をロズワルト・ポイズン。
商業科クラスA-3担任である。
「えーではまず、スキルについて説明します。皆さんスキルは何かわかっていますか?」
青い髪の少年が手も上げずに答えだす。
「スキルは便利でーす」
「確かにそうですね。馬鹿君。正解は才能であり、魂そのものと考えられています。
人それぞれ性格や外見が違うように、様々なスキル(魂)があります」
青髪の少年は俯いている。今のは仕方ない。
確かに馬鹿丸出しだった。
ロズワルト先生は淡々とした口調で抗議を続ける。
「どんな生き物も最低1つはスキルをもち、
才能の無い(もともと無い)スキルを増やすにはたゆまぬ努力と時間が必要になります。
また、一度覚えたスキルを失うことは基本的にできないと言われています。」
猫耳の少女が手をあげる。
「スキルを奪う能力とかはあるんですか?」
「そういうスキルは聞いたことありませんね。でも、相手のスキルを一時的に封印するスキルやアイテムならありますよ。平胸さん。
まーついでに言うなら、そういった干渉型のスキルはウルトラ級以下にしか効果がありません。」
猫耳少女の顔は真っ赤だ。この先生、あだ名つけるセンスが的確すぎるな。
「次にスキルレベルです。レベルは1〜9まであり、熟練度を表します。
レベル1〜2 初心者Lv
レベル3〜4 熟練者Lv
レベル5〜6 達人Lv
レベル7〜8 魔人Lv
レベル9 神Lv
となっており、普通の冒険者が一生を費やしてようやく達人Lvになれるほど上がりにくいです。」
「また、スキルのレベルを上げる一番早い方法は魔物を倒すことです。では、なぜ魔物を倒すとレベルが上がるの分かりますか?」
あだ名を警戒し誰も答えようとしない。
「では・・そこの童貞君!」
クラスの大半がピクッと動く。
「そこの目つきの悪い童貞君ですよ?」
集は自分の事だと理解し、眉を上げる。
当たっているだけに違うとも言えない自分が悔しい。
「魔物のスキル熟練度を奪うとかですかね?」
「おー。ほぼ正解です!正確には魔物を倒した際に、魔物の持つスキルが魔素と言う粒子に変わります。そして、倒した人間に吸収されレベルあが上がるのです。
なので、強いスキルや高いレベルを持つ魔物であれば、それだけ多くの魔素を吸収できるのです。」
1人が手をあげる。
チャレンジャー出現に皆の視線が集まる。
しかもこのチャレンジャーは巨乳ちゃんだ。
違う意味で男子の視線も集めている。
「では、魔物だけではなく人間を倒してもレベルは上がるのでしょうか?」
「もちろん上がりますよ。でも、おすすめはしません。人殺しを推奨する訳にはいきませんから。ビッチさん」
ビッチさんの顔が引きつっている。どうやら図星のようだ。
キジも鳴かねば撃たれまいに・・・
「また、スキルによって成長速度がまったく違いますが
一つ言える事は生まれながらに持っているスキルと努力で得たスキルでは、圧倒的に前者の方が早く成長すると言うことです。」
集の心にズキッと言葉が刺さる。
「ですから、私が行うのは、長所を伸ばし、どうしても必要なスキルのみ取得する。このような教育方針です。
その後も淀みなく淡々と授業は進んでいく。
馬鹿君は合計四人。平胸は三人。
全て合計すると25人のあだ名被害者が生まれた。クラスの約半分と言う被害である。
ちなみに、あだ名を呼ばれた過半数が童貞君だったことには胸を撫で下ろす集だった。