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コレクション2話目~上着と現状確認~

「・・・」

ふと目覚めるとそこは木造の部屋だった。


「ここは・・・そうだ!あのポセイドンもどきは?!」


ベットから飛び起きる。

まわりを見渡すと知らない部屋だった。全て木でできた机や椅子が並んでいるだけの簡素な部屋だ。


太陽の差し込む窓を視線を向ける・・・


そこには中世ヨーロッパを彷彿とさせる街並みが並んでいる。

歩く人々は皆簡素な服を着て通りを歩いている。しかし、歩く人々の頭やお尻には集の常識から逸脱した物が付いていたのだ。


「獣の耳にシッポだよ・・・」


普通の人間にはあり得ない。歴史が変化してしまったことを決定ずけるものだった。


「あのポセイドンもどきめ・・・」


世界が変わってしまったことに気づいた集は壁に向かって蹴りを入れる。かなり本気で。

次の瞬間だった。

この世界で暮らしてきた集の記憶であろう物が白昼夢のように断片的に流れ込んでくる。


「これは!?・・・・・・・・」

「まじか・・・・・」

「・・・」


簡素な椅子に腰を掛けため息をついていた。


怒りや戸惑いが多少は収まってきたので、記憶を頼りに現状がどのような状態なのか確認をすることにする。


シュウ・タカラ。14歳。肉親は先月他界。三日前からギルド学園ベアー・ブック支部の生徒で商業科の寮生。所持金は金貨3枚


ギルド学園とは世界各国にあり優秀な人材を生み出す為の学園である。

入学金は不要であり、14〜18歳であれば、だれでも入学可能である。


また、学部は多岐にわたる。


魔法科

戦士科

魔法技術科

狩猟科

商業科

隠密科

騎士科

勇者科

普通科


一年間で様々な専門知識や実践を学び、将来的に自分に合ったギルドに所属し生活していくこととなる。


「あっ!ステータス!!」


シュウはあわててステータスと叫ぶ。

それは世界でもっとも重要なモノであり、

どの科に入るか決定ずけ、人生を決めると言っても過言ではない才能を見ることができる言葉。


そこには薄い半透明のウインドウが現れる。


シュウ・タカラ

年齢 14歳

状態 健康・童貞

スキル 

トレジャーボックス Lv1(レア級)


「ですよね・・やっぱり1つか・・・しかも童貞って・・・間違っちゃいないけど・・・」


集が思い出したのは自分のスキルのことだった。


この世界はスキルの個数により才能が決まっている。


才能無し→1個

一般→2~3個

秀才→4~6個

天才→7~9個

神才→10個以上


すなわち、集には才能が無かったのである。


「しかもレアって」


集が嘆くのは無理もなかった。スキルには級等が存在する。


スキル級等確率


ノーマル級 10人に1人

レア級 100人に1人

ウルトラ級 1万人に1人

レジェンド級 10億人に1人

ゴット級 未確認


例外

ユニークスキル 唯一1人


つまり集のスキルは商業ギルドで荷物の運搬係に重宝される程度の級等であり、

決して珍しいスキルではない。


「せめて戦闘で役に立つスキルであれば」


集は思い出していないが、10歳の頃に全く同じ言葉を嘆いていた。人生二度目の落胆である。


「ゴーンゴーン」


鐘の音がする。これは授業開始の合図だ。思考がまとまっていないが、とりあえず授業に行くために急いで着替えを始める。


ゴワゴワとした質感の服を脱ぎ、

上半身裸になった。ふと、違和感を感じる。

胸に大きな切り傷があるのだ。

こんな大けがの記憶はないが・・・と思うが、思考を切り替えて手早く着替えを済ませる。

急いでドアから出て教室に向かい走り出す。


「・・・・」


静寂に包まれた集の部屋。

誰もいないはずの部屋。

しかし、ベッドから人影がガチャガチャと這い出てくる。


興奮している様子で、顔は赤らんでいる。


「と、通りかかった所に集殿の上着が落ちてるではないか!

こ、これは、落とし物として保管しなければならぬな!」


まだ温かい上着を宝物のように拾い、持ち去る少女が1人。


集は知らなかった。とっくに始まっていたお宝コレクションの日々を。



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