コレクション1話目~プロローグ~
初めての作品なので、矛盾点や誤字、脱字はご了承ください。
「・・・」
少年は無言で街を見ていた。
一切の音もなく、自分の吐く息や心臓の音以外全てが静寂に包まれている
少年の名前は宝 集(タカラ シュウ)
一週間後には15歳を迎える。
中学生にしては高めの身長178センチ。
容姿はややくせ毛の目つきの悪い少年だ。
目つきが悪いのには理由がある。
一か月前に唯一の肉親である父親がトラック事故に巻き込まれ他界した。
悲しみに暮れる中、たいした遺産も無いので親戚中をたらい回しにされ、若干人間不信におちいっていたのだ。
先日、赤の他人と呼べるレベルの親戚に引き取られることとなり、九州に引っ越したのである。
荷物をほとんど持たない集は着いてそうそうに街を見て回ることにした。
初めて見る街並みを眺めながら丘の上にある学校を目指し並木坂を歩き始める。
歩き始めて数分後・・・
ふと違和感に気づく。
なにもまわりから聞こえない。
振り向くと・・・世界は静寂に包まれていた。
「あれ?」
車の音も、人影も見えない。
世界に取り残されたような感覚。
しばらく様子を見ても草木の揺れる音すらしない。
たまたま人がいないだけだろうと思う。
・・・・・・
・・・・・・
二時間は経過しただろうか。
いくら探しても人はおろか生き物にすら会うことが出来ないのだ。
「なにこれ。怖っ」
危機感を感じ、とりあえず高い所から見渡そうと考え丘の上の学校を目指すことにして歩き出す。
その時だった。
かすかにだが歌声が聞こえてくる。
「ヌシらはみんな生きている~
いきーているから苦しんだ~
ヌシらはみんな生きている~
いきーているから悲しんだ~」
替え歌かよ!はずかしっ。と内心突っ込みながらも人がいる事に安堵しゆっくりと近づいて行く。
そこには小さな公園があった。
特に特徴のある公園ではなく、定番のブランコと滑り台がある。
その滑り台の上で仁王立ちをし、上機嫌で鼻歌を口ずさむ一人の老人。
白髪の長髪に長い白ひげをたくわえ、白いローブを纏った老人だ。
まるでギリシャ神話のポセイドンのような出で立ちだった。
そんな神々しい恰好をしているにも関わらず、手元にはライトノベルであろう本を持っている。
怪しさ満点だが、ようやく会えた人間に少し安堵する。集はゆっくりと近づき声をかけてみることにする。
「すみません。少しいいですか?」
「!?」
「おぬし!なぜここにいる!?」
少し顔が赤い。鼻歌聞かれて恥ずかしいのだろうと思いながら返事をする。
「なぜと言われても。逆に誰もいないのであれなんだけど」
つい癖でタメ口をきいてしまうが、ポセイドンは気にした様子もなく大きく目を見開いている。
しかし、急に鋭い眼光で見つめる老親。
「むむ!むむむむ!なるほどの~。ワシ納得!」
髭をなでながら遠い目をしている老人。
「出来るなら今この状況の説明をお願いしたいんですが」
「はっはっは!まーよかろう!じゃーまず、ワシは誰でしょう?笑」
このじじいイラッとする。
「神的な人か小奇麗なホームレス」
「ふむ!ある意味どちらも正解じゃの!!」
イラッ
「「・・・」」
「なんかノリの悪い奴じゃのう。まーよいわ!!ワシは神じゃな!!」
「まーそうじゃないかと。で、神がこんな所でなにしてんの?」
「そう思うじゃろうな!笑
馬鹿にもわかるように説明すると、世界を作り変えているところじゃな!!」
イラッ
「リアクション薄いのぉ。なかなか肝っ玉はデカそうじゃが、女にはモテんタイプじゃな!!」
うん。次にイラッとしたら蹴り飛ばそうと思う。
「ワシ、ずーとこの世界を見てきたじゃん?さすがに・・・いい加減飽きたワイ!!!てことで、歴史を弄っている所じゃな!」
「機械文明が発達するずーっと前に魔力とゆう概念をプラスする!これで、魔力文明が芽吹くはずじゃ」
こいつまじかよ。
「質問があるんだけど?」
「なんじゃい?」
「みんなはどこに?俺だけどうしてここにいるだ?」
「あー全ての生物は魂を抜き取り、別の空間に保護しているんじゃ。歴史の変革が終わり次第元に戻しちゃる!あと、おぬしがいるのは能力のせいじゃな」
「俺の能力?」
「そうじゃ!絶対不可侵という能力での!この能力はあらゆる力を自身に干渉させない能力なんじゃ。
千年に1人位がもって生まれるレアな能力じゃ!まーもうないけどな!笑」
「「・・・・・・」」
一瞬二人の目が交差したまま変な間が生まれる。
「いや、なんで無いのか突っ込まぬか!つまらん奴じゃのう!これだから童貞は・・・」
集は右手でくせ毛をワシャワシャ掻きながら空を見上げ思う。
よし、蹴り飛ばそうと。
気づかれない程度の速度でゆっくりと間合いを詰める。
「じゃーワシ今から忙しいから!新しい世界でも頑張るんじゃぞ~!笑」
「くそっ!!」
滑り台を駆け上がろうとした瞬間、意識が暗転した。