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魔術特殊部隊  作者: 未来
第1章 風紀委員会
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第三話 風紀委員会の新事実 その1

 比叡との校内巡回から数日後の放課後。風紀委員会に所属している生徒は招集をかけられた。腕に風紀委員会と書かれた腕章をつけた生徒達が風紀委員会のために建てられた風紀棟と呼ばれる校舎へと入っていく。その生徒達の中には颯太や結衣、比叡もいる。

 意気込んで入っていく1年生を上級生が見て懐かしむようにクスッと笑っていく。意気込むのもそのはず、1年生は風紀棟に来るのは基本的には今回で2回目である。

 最初に風紀棟に来たときは一年生の風紀委員に風紀委員会の顧問の紹介や自己紹介をするなどといったオリエンテーションであった。そのオリエンテーションのときにほとんどの1年生が驚愕を隠し切れなくなった。

「えーっとさ、風紀委員会ってさー入ったが最後。卒業するか退学するまで抜けることができないんだよねー」

 その言葉は颯太と結衣がよく知る楠春香から発せられたことであった。彼女は風紀委員会の顧問であるのだ。

 ざわつく風紀委員会の生徒達。2年生や3年生は1年生のときに聞かされたのかまったく驚いた顔を見せない。というよりも「確かそうだったよねー」というオーラを放っている。

 さて、こんな驚愕を知らされた1回目の召集である。2回目はなにが起きても驚かないという意気込みを持った一部の一年生。どうやら颯太もこの一部の中に入っているようで、意気込んでいることを比叡に感づかれたようであった。比叡は颯太の肩をポンと叩き

「おっす八坂君。どないしたん?めっちゃ強張っとるやん見たらわかるわー。リリャックスしていこうやー」

 こんな大阪弁を使うのは比叡だろうと確信して声がした方向を見る颯太。視界に入ったのは学ランのボタンを全開に開け、カッターシャツの上にベストを身につけていた比叡であった。

「寝屋川先輩でしたか。いや、だって驚くのも無理ないと思いますよ。中学のときの委員会って半年ごとに委員の変更でしたよね。卒業するか退学するまで辞めれないってことは……俺、ずっと風紀委員ってことじゃないですか!」

 颯太の返答を聞いて、予想していたのか比叡はハハハと笑い

「リリャックスには突っ込んでくれないのかー。和ませようと思ったんやけどなぁ。それは置いといて、風紀委員って案外楽しいからさ、後悔せえへんと思うけどなぁー」

「楽しい……今はそうは思いませんけどね」

 会話をしながら校舎へと入っていく颯太と比叡。召集がかけられている教室のドアを開け入っていく。ドアの中では召集の時間まで待っている風紀委員達が友人と何気ない会話をして笑いあったりと普通の高校生だなと実感させられる。


 しばらく時間が経ち、召集時間となる空が少し夕暮れる午後の4時。バインダーを抱えた春香と艶のある黒髪の女性が入ってきた。

「はいー、おまえら早く黙って席に着いてよー。」

 やる気のないマイペースな喋り方。颯太にとっては通常営業のように感じる。そんな通常営業の喋り方で連絡や報告などを伝える。1年生の中には「よかった・・・普通だ」と言わんばかりに胸を撫で下ろす人もいた。

 そんな時であった……。春香が黒髪の女性に目で合図すると「さーて」と言いニヤッと微笑んだ。何か裏があるような微笑みである。

「まぁ、そんなどうでもいい報告とかは置いといてさー今日の本題に入ろうかなぁー」

 春香がそう言うと、黒髪の女性を手招きして教卓の前に越させた。

 艶のある黒髪。高い身長。小柄な春香と比べるとより高く感じる。なにかの制服であろうと思われる服装に身を包んだ女性を一言で表すなら綺麗。その女性が口を開く。

「京都魔術都市治安維持委員会の黒川姫子くろかわひめこです。本日は、はるにゃ……いえ、楠先生からある程度の説明を頼まれたので来た次第です」

 冷静で単調な物言いの姫子。颯太にとっては治安維持委員会やらのことはどうでもよかった。そんなことよりも「はるにゃ……」と何かを言いかけたことが気になった。

(はるにゃ……? まさか、あだ名とかなのか?もしそうなら知り合いなのか)

 と颯太は思考を巡らせて姫子に関する情報をまとめようとする。

「治安維持委員会の傘下部隊に関することなんですが説明ってしました?はるにゃん。じゃなかった楠先生」

「説明なんてしてないけどー」

 姫子の発した「はるにゃ・・・」に関して分析をしていた颯太にとって「はるにゃん」という情報は春香と姫子は知り合いであることを確定させていた。

「そうですか。ならそれも含めて説明しますね。ストレートに言えば、皆さん風紀委員の方々には治安維持委員会に所属してもらうことになります」

 その言葉は颯太の思考回路を妨害するかの如く颯太に衝撃を与えた。いや、颯太だけではない。ほとんどの1年生は口をポカンと開けてなにが起きたのかが一瞬理解できない状況になっていた。


 

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