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作戦

「そんなこと言って、作戦とか立ててんのかよ?」

「作戦?」

 僕の突飛な計画を聞いたフォールは、存外真面目な顔で僕に対した。

「そりゃお前、作戦立てて計画的に実行しねぇと、姫に会う前に撃たれるぞ」

「…確かに」

 僕がそう言うと、フォールは溜息をついて僕に人差し指を向けた。

「いーか。お前みたいな馬鹿が無鉄砲に動いたところで、待っているのは死だ。姫を悲しませないために、絶対成功させろ。いいな?」

「…協力してくれるんですか?」

 僕は目を丸くして言った。彼は軍人だ。そんなことをしたらそれこそ罰を受けてしまう。

「俺は厄介事が大好きなんだよ」

 不敵だがどこか悪戯っぽく笑って、彼は勢いよく立ちあがった。

「ちょっと待ってろ。確かこの中に…」

 フォールが自分の机の引き出しから折り畳まれた一枚の紙を取り出した。彼はそれを床に広げた。

「城とその周辺の見取り図だ」

「見取り図?」

「そう。ほら、この南東の部屋、あるだろ?三階のこの部屋が姫の部屋だ」

「何でそんなことまで…」

「俺は軍の中じゃ情報通で通ってるんでな」

「でも、どうやってここに…」

「それは今から説明する。いいか、警備の手が薄れる時ってのはない。常に一定の警備が城にはついてる。ただ、ほんの一瞬だけ隙をつける時がある」

 フォールがにやりと笑って、僕に視線を投げかける。僕はそこで閃いた。自信満々な顔でフォールに回答をする。

「警備員が交代する時」

「その通り。そこが一番の狙い目。そこをついて城内に侵入したら、これを着ろ」

 そしてフォールは、クローゼットの中から一着の服を取り出した。青いこの国の軍服とは違って、赤い服だ。作りは軍服のようになっており、胸には位を示すバッヂがついていた。

「何ですか、これ?」

「これはな、城内の警備兵だけが着ることのできる軍服だ。城外の一般兵とは区別される。特別なもんなんだ」

「…なんでそんなものを?」

「持ってるかって?へへ、俺はな、元々エリート街道まっしぐらな人間なんだよ。三年前に警備兵に抜擢された。警備兵ってのは城内を任されるわけだから、信用のおける人間じゃないとできない。俺はそんなのに選ばれたんだ」

「それが何で…兵長?」

「…まぁ、その、なんだ。別に、あれだぞ?第三王女の部屋に入って覗きを試みたとか、そういうんじゃないんだぞ?」

「…何で、軍に残れたんですか」

 僕が呆れながら言うと、彼は変に胸を張って力強く言った。

「そりゃまあ、俺が優秀だったからだよ。それに、覗こうと思った所を捕まっただけだから、言うなれば未遂だからな」

 僕は沈黙した後に咳払いを一つした。それがきっと最善の行動だ。

「…使っていいんですか?」

「ああ、使え。それを着たら堂々と城内を歩けばいい。そしたら後は一目散に逃げろ。とにかく東へ」

「ありがとうございます」



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