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決意

 入隊三日目、僕は朝五時に起きてランニングをし、その足で食堂に向かった。食堂には既にフォールがいて、手を上げて僕を呼んでいる。僕はトレイを持って、彼の隣に座った。

「何お前、走ってきたの?」

「はい。何か、うずうずしちゃって」

「…単純にも程があるな」

 呆れて目尻を下げるフォールに、僕は照れ隠しにサラダを口に運んだ。

「そんなんでこれから一日の訓練に耐えられんのかよ?」

「耐える!」

「あ、そ…」

 その後、僕は昨日と同じ過酷な訓練をこなした。ただ昨日と違うのは、僕のやる気である。他の者と競うように、僕は闘争心をむき出しにした。周りの隊員達は僕の変わりように最初こそは呆気に取られていたが、やがて段々と引いていった。

 訓練が体力的に厳しいことは変わらないのだが、僕には心の支えがある。そう、カレン姫である。彼女がいる限り、僕は負けない。


********


 そうして半年が過ぎた。僕はその間体を鍛え、精神を鍛えた。僕の体は一回り大きくなったし、心も強くなったと思う。そして、僕は悟った。

「うん、無理だ」

「は?」

 例の如く、フォールがベッドの上の段から蝙蝠のように下段の僕を覗く。僕は布団の上で胡坐をかいて、真正面を向いたまま言った。

「元帥になんかなれっこない」

 しばらくの沈黙の後、フォールが咳払いをする。

「お前さ、あんだけカッコイイこと言っといて、それかよ」

「冷静になって考えた。うん、これは、無理だ」

 はぁ、とフォールのため息が聞こえる。僕は虚ろに壁の一点を見つめていた。

「じゃあ、どうすんだよ。元帥にならないと、姫と付き合えないんだろ?」

 フォールの当たり前の質問に、僕は三日前から考えていた案を彼に言った。

「駆け落ちする」

「はっ!?」

 フォールが驚いてベッドから転げ落ちた。階下の人はうるさかっただろうな、と変に冷静な僕は考える。

「かっ…かかっかけおち!?」

「しっ!聞こえるでしょう、他の部屋に」

「いや、ダメだろ!」

「何でですか」

「いやだってお前…一般の女性ならまだしも、相手は王女だぜ?そんなことしたら国家反逆罪でギロチン行きだ」

「逃げ切ればいいだけの話ですよ」

「簡単に言うけどな!お前はこの国一番のお尋ね者になっちまうぞ!」

「構いませんよ。そもそも、愛する人と立場が違うから一緒になれないなんて間違ってる。僕はそんなの、認めない」

「そうかもしんねぇけどよ…っ!」

「僕の心はもう変わらない。僕はカレンを連れてこの国を出る。遠い地で、二人で幸せに暮らすんだ」

 僕は力強く言い切った。



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