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入隊しました

 僕は、晴れて国防軍に入隊した。本当は年に一回の入隊試験をパスしなければいけないのだが、そこは姫の計らいで即入隊という運びになった。だが、隊長である髭をたっぷりと蓄えた大男はそれが気に入らないらしく、先程から僕に怒号を飛ばしている。

 僕に与えられた位は、一等兵。今朝の座学(イントロダクション的なものだったが)で知ったが、この後には兵長、伍長や軍曹を経なければならない。元帥は軍部の最高位だから、まだまだ遠い道のりである。

「いいかっ!軍人たるもの常に心身を鍛えていなければならん!よって今から、訓練を行う!」

「はぁ…」

「気合いが足りんっ!」

「いって!」

 馬に振るうような鞭を僕に振るうのだから、よほどこの指揮官は理不尽だ。きっとこれから事あるごとにこの鞭を振るうだろう。もしかしたら夜も一緒に寝ているかもしれない。

「返事!」

「はいっ!」

「よし!」

 そして僕はしこたま腕立てをし、腹筋をし、訳の分からぬ訓練、基、筋トレをさせられた。一体どこを鍛えているのか疑問になるような訓練もあったが、それよりも僕は体から発せられる悲鳴を無視することに尽力した。

 僕は今年で二十一歳。男盛りと言ってしまえば筋トレなど造作もないように思える年齢だが、しかし僕の今までの人生は、ほとんどが勉強に費やされている。かといって秀才なわけもなく、進学するために最低限の学力を身に付けるのに、必死になって勉強をしたという、つまり、馬鹿なわけだ。

 そんな馬鹿であるし就職活動もしていないから、勿論まともな職にもつけず、ああしてぬいぐるみの中に入るというアルバイトをして生計を立てていたわけだ。嗚呼、哀しき我が人生。

 ちなみにいうと、僕は学力もなければスポーツの才能もない。よって今までの人生の中でスポーツはせいぜい学校の授業でやるくらいのもので、寧ろそれについていくのが精一杯だった。

「十二!十三!声を出せ!」

「じゅうよん…っ!」

 僕は何回目かわからない腕立てをさせられていた。外の演習場のような場所で一人腕立てをしているわけだが、まるで青春ドラマのようにバックには赤い夕焼けが僕を包んでいた。

「よし、そこまで!」

「ひぃ…はぁ…げふっ」

 訳の分からない咳まで出てくるが、とにかく終わったのだ。僕は仰向けになって舌を出しながら伸びていた。

「今日はここまで!明日は朝六時起床!また訓練を行う!」

「へぇ!?」

 おいおいおいおいおい。今日は午後から訓練が始まったわけだが、それでこのありさまだ。それなのに明日は朝から訓練?

「返事!」

「はいっ!」

 上官が鞭を振りかぶったのを見て、僕は飛び起きながら弾かれたように返事をした。


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