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決着―シエラ

 シエラは、肩から地面に落ちた。僕の拳はある程度のダメージを与えられたらしい。彼は地面に手をついて、それを支えに起き上がろうとしていた。

「カレンさん、ストラッドさんの手当てをお願いします」

「はいっ」

 弾かれたように顔を上げたカレンさんは、ストラッドに寄り添った。ストラッドは意識こそあったものの、相当痛そうだ。出血が止まらない。

 カレンさんに僕の気持ちを伝えるのも、ストラッドさんに感謝を言うのもまだ後だ。今は、コイツを倒す。話は、それからだ。

「なかなか…やるな」

「僕は、お前には負けない。僕が、カレンさんを守るんだ」

「そうか。なら、姫を守り死んで行け!」

 シエラの剣が僕の喉元を突く。僕はそれを紙一重で躱して、体を回転させてシエラの懐に入った。そして、下から突き上げるようなボディブローを彼の腹に叩き込む。

「がはっ!」

「死ぬもんか!カレンさんを一人にして…死ねるかっ!」

 僕はもう一度シエラの顔面に拳を放った。彼は再び倒れた。

「―っ!」

 それと同時に、僕の頬から血が噴き出す。シエラが倒れ際に剣を振るったのだ。それが僕の頬を切り裂いた。

「悪いが…私にも王族直属兵士としての誇りとプライドがある。やられるわけにはいかん」

「僕も、カレンさんへの想いは譲れない」


「「お前を倒す!」」


 駆け出したタイミングが、一緒だった。シエラの剣が一閃、僕の首を刎ねようと向かってくる。僕はそれを、左腕で受け止めた。

「いっ…あああああっ!」

 届け。僕の渾身の右ストレート。

「…っ!」

 左腕を犠牲にした僕の拳は、シエラの顔面を捉えた。僕が腕を振りぬくのと同時に、彼は地面へと吸い込まれるように倒れた。


 僕は安堵して、その場に尻餅をついた。ほっとした瞬間、鋭い痛みが僕の全身を襲った。左腕から血がどくどくと流れ出し、僕の服を赤く染め上げている。

「つっ…」

 切断まではいっていないが、骨は見えている。重傷と呼ぶには十分すぎる。

「そうだ…ストラッドさん!」

「おおー、大丈夫だったか兄弟」

「こっちの台詞ですよ!大丈夫ですか?」

「おう。カレンちゃんがちゃんと手当してくれたからな。お前さんこそ、左腕は大丈夫か?」

「ええ、僕は大丈夫で…す…」

 僕の意識はそこで途切れた。




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