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バトル―シエラ

 僕は、どこか夢心地のままだった。地に足がついていない状態。だが、目ははっきりと見えていた。

「え…」

「誰だ、貴様は」

 聴覚も働いている。シエラの無機質な声が僕の鼓膜を揺らしている。きっと僕の五感は正常に働いている。だから、だからこそ、目の前の状況が信じられなかった。

「ぐっ…!大丈夫…か、兄弟…!」

「ストラッドさん!」

 突如現れたストラッドが、盾となって僕を剣戟から守った。彼は背中側の肩の辺りをザックリと斬られ、夥しい量の出血をしている。

「ストラッドさん、大丈夫ですか!」

「俺の心配はいい…。カレンちゃんを、守れ…」

 苦しそうに歪むストラッドの顔には大量の脂汗が滲んでいた。

「でも…」

「お前が守らないで、誰がカレンを守るんだ!」

「―!」

 ストラッドの声が、僕の中に響いた。胸の中で何度も反芻されて、僕の中へと染み込んでいく。

「いいか、男と女ってのはな…お互いに守り守られながら生きてくもんだ。その役を、カレンちゃんだけにさせるな。そんなことしたら、俺がお前をぶん殴ってやる」

 苦しいのに、痛いのに、ストラッドは笑った。その時、僕はやっと気が付いた。自分の馬鹿さ加減に。自分の小ささに。そして、自分がどれだけカレンさんを好きかということに。

「お前も反逆者か?なら、殺すまでだ」

 シエラが、僕達に一歩近づいて剣を振り上げる。僕は力一杯彼を睨んで、そして跳び上がった。

「っ!?」

 僕は右手でシエラの剣を握っている手を覆うように彼の手を剣の柄ごと掴んだ。

「僕はカレンさんのことが好きだ!カレンさんは、僕が守る!」

 僕の硬く握りしめた左拳が、シエラの横面を捉えた。




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