決着―ルーク
「何見せつけてくれちゃってんだ、お前」
煙の中からルークが現れる。僕は立ち上がりながら、彼を見上げた。彼は愉しそうに嗤っていた。
「カレンさんが傷ついたらどうしてくれるんだ」
「だーいじょーぶ。俺の腕は確かだ。お前だけを殺すように調整してある」
「そりゃどうも」
「礼には及ばねぇよ」
この野郎。僕はカレンさんをこの場から離しながら、活路を考えた。どうすればコイツを追い返せるだろうか。
「さぁて、吹っ飛びな」
ルークは再び手榴弾を投げる。僕はまた逃げる。ドカン!
前転して爆風から逃げると、そこにはまた手榴弾。畜生。全て計算して爆弾を投げている。
ドカァン!!
「死んだかな?」
「ニルさん!」
「姫ぇ、大丈夫ですって。姫にはアイツなんかよりよっぽど似合いの男がいますよ。あ、俺なんてどうです?俺今フリーなんですよ」
「ニルさん!」
「無視ッスか。どれどれ…様子を見てくるかな。姫に死体を見せるわけにいかねぇし」
「ニルさん、大丈夫ですか!?」
「姫ってば、だからもうこいつは死にました…―ッ!?」
惜しい。もう少しで渾身のアッパーカットがルークの顎を捉えたのに。寸でのところで躱しやがったな、この野郎。
「テメェ…まだ死んでなかったのか…」
ルークが後ろに跳び退って冷や汗を拭う。
「カレンさんを置いて死ねるか…っ!」
そうは言ったものの、僕の体はもうボロボロだった。爆弾に巻き込まれたせいで至る所に裂傷が見られる。右腕など感覚がないに等しい。
「やってくれるね、色男。これで終わりだ、朽ちろ」
今度ルークが取り出したのは、ダイナマイトだった。素早い動きでライターに火を点け、僕へと放つ。そう、ダイナマイトを僕へ放つその瞬間。それを僕は待っていた。
「なっ…!」
僕はルークの手からダイナマイトが離れた瞬間に彼に向かって猛進した。そのまま、彼の腹めがけて頭突きをかます。
「がっ…!このっ…」
彼が肘を僕に振り下ろす前に、僕は彼の背後に回った。そして、彼の腰を後ろからがっちりと掴む。
「テメッ…!離しやがれ!」
「やだね」
僕は感覚を失った右腕に念じた。もう動かなくなって良いから、コイツを倒す力だけはくれ、と。
「うおおおおおっ!」
僕はそのまま彼を力任せに持ち上げて、バックドロップを決めた。
脳天から落ちたルークは見事に気を失い、僕はヘロヘロになってその場にへたり込んだ。すぐにカレンさんがやってくる。
「ニルさん、大丈夫ですか!」
「なんてことありません、へっちゃらですよ」
「血が…」
「血なんていずれ止まります。大丈夫」
カレンさんが涙を流しながら僕に抱きついてくる。
「良かった…」
「カレンさん、逃げましょう。次の追手が来る前に、なるべく遠い所まで」
「はい」
僕は起き上がって、カレンさんに手を貸した。抱きつかれたままなら捕まってもよかったかも、とは断じて思っていない。




