表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/29

四天王―ルーク

 馬とカレンさんを休ませるべく、森の水辺で休憩した。少しずつだが、隣国への国境が近づいている。僕はきっと、心のどこかで慢心を抱いていた。このまま行けるだろうと。四天王が近づいてきても、愛がある限り僕達は負けないと。そしてそれは、突如にして崩された。


ドガァン!!


「!!」

 僕とカレンさんが一斉に振り返る。何だ、今の爆音は。馬が嘶いて、前足を上げる。僕はそんな馬をなだめて、音のした方に注意を向けた。音の源はここからすぐ五十メートルほどのところだった。そこから灰色の煙が上がり、小さな火がパチパチと音を立てて燃えている。

「みぃーっけ」

 煙の向こうから、一人の男が現れた。細身で、肩につくぐらいの金髪が所々カールしていた。目の周りをメイクで黒くしていて、パンクロッカーのように見えた。細い目は猛禽類を思わせた。

「姫、お迎えに上がりましたよ」

「ルーク…」

「お名前を覚えていただき光栄です」

 ルークと呼ばれたその男は、紳士的に礼をした。彼の目には僕は映っていないらしく、カレンさんだけを見ている。

 彼の動きはどこか人間らしくない所があり、しいて言えばおどけているピエロのような動きだった。僕と年はそう変わらないであろう若い男だが、こんな状況にも落ち着いた雰囲気を持っていた。僕は直感で理解した。彼こそまさに、四天王の一人だと。

「さ、姫、帰りましょって。お父上も国民も、みんな心配してますぜ?」

 四天王というのがどのくらいの権力があるのかは知らないが、彼は馴れ馴れしい口調でそう言った。これは彼の人間性かもしれない。

「帰りません」

 カレンさんはきっぱりと、だが怯えた声でそう言った。ルークは困ったように頭をぼりぼり掻いた。

「参ったなぁ。姫をお連れしないと、俺がお父上に怒られちまう」

 ルークはさして参っていないようにそう言った。

「私は帰りません」

「それはまかり通りませんって。そこの優男のどこがいいんですか。そいつはどうせ今から死にます。諦めて俺と来てください」

 僕は今ひしひしと感じていた。ルークから発せられているのは、ただ純粋な殺気。僕を殺そうとする気持ち。でも僕はそれに、憤りを感じていた。何故好きな人と一緒になるのに殺されなきゃいけないんだ。お前に何がわかる。

「カレンさんは帰らない。僕と一緒に来るんだ。お前に邪魔はさせない」

「おいおい、何言っちゃってんだ、テメーは。それこそまかり通らねぇって。っつーか、お前は今から俺に殺されるんだって」

「カレンさん、少し目を瞑ってくれますか?」

「は、はい」

 僕はルークの眼前に近づいた。そして思い切り―ルークの横面を殴った。

「僕はカレンさんを守る。お前になんか屈しない!」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ