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駆け落ちスタート

 身を低くして、忍び足で走り抜ける。木で身を隠しながら、赤い軍服に着替える。そして先程と同じように、壁を蹴って窓枠に手をかける。頭だけ出して見ると、廊下はうすぼんやりしていて人気がない。僕はカッターでガラスを小さく切り、鍵を外した。窓から侵入すると、僕は胸を張って歩いた。

 南東の三階の部屋にたどり着いたのは、深夜のことだった。ノックをすると音を立ててしまう。それを不審に思われてはいけないから、僕は無礼を承知でいきなりドアを開けた。

 後ろ手にドアを閉めると、そのわずかな音に反応して姫が目を開けたらしい。ベッドの上で身を動かした。

「姫」

「だ、誰です?」

 怯えきった声で暗闇を見つめる姫に、僕は優しい声で語りかけた。

「僕です、ニルです。カレンさん、安心してください」

「ニルさん…?ニルさん、なぜここに?」

「話があってきました。どうか、僕の話を聞いてください」

「え、ええ」

 戸惑いながらもカレンさんはベッドの上に座った。

「僕と、駆け落ちしましょう」

「えっ!?」

「大きい声を出さないでください。見つかったらまずいことになります」

「駆け落ちって…何故?」

 姫は何とか平静を保って質問してきた。僕達の顔は窓から差し込む月明かりに照らされて、青白く光っていた。

「元帥になるのを待っていては、僕達はこれからも離れ離れだ。だけど僕には平民としての立場しかない。だから、僕達が一緒になるには駆け落ちするしかないんです。姫、どうかご決断を」

「しかし…私は一国の王女。駆け落ちなどしたら…」

「僕は、犯罪者になる覚悟ができている」

 僕は、今までで一番力強く、はっきりと言った。そうだ、カレンさんと一緒になれるのならば、犯罪者になることくらい、何だというのだろう。

「ニルさん…」

「姫、どうぞ、お手を」

 僕が右手を差し出す。すると、姫はそれをそっと握り返した。



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