旅行(3)
いよいよ旅行の日がやってきた。私は新幹線に乗り込んでこれから始まる長旅に不安を感じていた。しかしわたるは全くそんな様子は無く、むしろワクワクが勝つような様子だった。
私には何が良いのか理解しかねるが、まぁ何か良い所があるのだろう。商店街で当たった旅行チケットを片手に握りしめていた。現地に着くまで何か緊張を紛らわそうと他の事を考えていた。
私は人と話すのが得意な訳では無い。会社には行っていたもののそれほど人と話す訳も無く昼ごはんは基本1人で食べていた。帰宅してもどこかに出かけることも相手や友人いることも無く、ただひたすらに家でゲームをしていた。
何か友達と言える物があるとすればネット上の誰かだろう。あの人は今元気だろうか。よく遊んだしよくお世話になった。とてもゲームをしている時は自分で言うのもアレだが輝いて居たと思う。
そんな事を考えて居るうちに新幹線は目的地に着いてしまった。新幹線が止まり、乗客に降りるよう指示がされる。私達もそこで降りた。
「長かったな。辛くなかったか?」
「大丈夫。精神的には辛かったけど。」
「?」
私達は宿に着くまでにお昼を済ませる事にした。相談の結果お昼はうどんになった。私は少々ご飯な気分だったので不満だったがまぁ仕方ない。乗ってやろう。
店に入ってメニューを流し見し、とりあえず月見うどんを頼む事にした。わたるはキツネうどんを頼んでいた。
私は提供までの時間スマホでも見ていようかと思って居たが、この際スキルで遊んでいようかな。とりあえず『鑑定』を使って色んなものを調べてみる事にした。まずは目の前の机から。
「鑑定」
『机
【特徴】木製 』
んー面白い情報は出なかったな。耐久力が出たりはしないんだね。この世界だからなのか、元々なのか。
あ、うどんのいい匂い。もう出来たのか。はやいな。
「キツネうどんと月見うどんでございます。」
私は提供されたうどんを一口食べた。