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それこれ

それはこれからの3

作者: なむ

こんにちはしばらくぶりです。

なかなか文章がまとまらず、書いては消しを繰り返していました。

今回で3つ目の話を書いてみましたが、やっぱり難しい。

世の中の小説家の方々の頭の中を覗いてみたいとサイコパスのようなことを考えています。

もし最初から読んでくれている方が居たら光栄です。今回もよろしくお願いします。

「…くちっ」

何かが鼻のあたりをくすぐった感覚でくしゃみをして目を覚ます。目の前にはきれいな毛並みの尻尾がゆっくりと揺れていた。逆を見るとテリーの顔、どうやらテリーを枕にしていつの間にか寝ていたようだ

「おはよう。テリー」

返事の代わりに特大の笑顔が返ってきた。両手で顔を持ってくしゃくしゃに撫でてやった。気持ちいいのかなんともだらしない顔になって面白い。軽く伸びをした後アルバムを手に取り、続きを見ていく。

どうやら私は新しい学校では可もなく不可もなく過ごしていたようだ。でも紗良ちゃん達と仲が良かった時に比べると遊んでいる様子は減り、一人でいる時間が増えていって本を読む時間が日に日に増えていった。

そうして気がつけば時が過ぎて中学生。手元が写っていたけど成長を見越しての少し大きめの制服で手首が少し隠れている。なんだか懐かしい。そしてしばらくすると放課後に必ず向かう場所があった。廊下の一番端、引き戸を開けると左手にカウンター正面には長い机と椅子がいくつか。壁際にはいくつもの本棚とたくさんの書籍。見慣れた図書室の写真が写っている。

「ここ好きだったなぁ。あんまり人が来なかったし。」

ひとり呟く。独り言に隣から思わぬ返答が返ってきた。

「いっつも角席で恋愛小説だのファンタジーだの読んでたよな。」

「小杉君!?」

「よっ。」

いつも屈託のないこの笑顔に私は心をざわつかせていたことを覚えている。どこにでもいる普通の男の子だったけど、時々図書室にきて私を見つけては話しかけてきた人だ。

口を開きかけたところを遮られる。

「お前は次にどうしてここに?と言う」

目を細め少しむっとした表情で睨んでおく

「おぉ~怖い怖い。久しぶりに会ったんだし俺も俺で少しテンションが上がってんだよ。」

「何よそれ。意味わかんない。」

彼はいつもこんな感じだった。クラスは同じだったけど教室で話すことはなくて決まって図書室。いつから図書室を利用するようになったのかはわからないけど初めて話しかけてきたときは「文字ばっかの本読んでて楽しい?」なんて言ってきたのを思い出した。

「お?犬じゃん?滝山の家の?名前は?」

「テリー私が小学生の時までずっと一緒だった子」

「おぉ~テリー初めましてだな!」

テリーがされるがままに顔をわしゃわしゃ撫でられている。まんざらでもない感じだ。

「それで?私と小杉君は別に仲が良かったわけじゃないけどどうしてここに?」

「滝山に会いに来ちゃいけなかったか?」

顔も向けずテリーを撫でながら当たり前のように彼はいう。少し頬が少し熱い。明後日の方を向く。いつもそうだ、掴みどころがないというかよくもまぁ恥ずかしいことをぬけぬけと。

「それで?来ちゃまずかった?」

「別に…。」

「そうかそうか。滝山も俺に会いたかったか。」

「そこまでは言ってない。むしろうるさい。」

「冷たいこと言うなよ。俺も一緒にそれ見ていいか?」

アルバムを指さしながら先ほどとはちょっと落ち着いた雰囲気で彼は聞いてきた。

「別にいいけど、先に私が確認して見ていいところだけなら」

恥ずかしい写真は見せたくないし、検閲してからなら別に構わないだろうと思い彼の要望に応えた。行事ごと以外は基本的に同じ写真が続いた。写真を見るたびに「俺もこれ好きだったわ。滝山は?」とか「こいつがあの時さ」などの感想や彼の思い出を聞きつつページが進む。テリーがすっかり懐いて彼の胡坐をかいた足に顎を置いてくつろいでいる。なんだか悔しい。

「この時のこと覚えてるか?」

ある一枚の写真を指さした。それは泊りがけの校外学習でキャンプファイヤーの写真だった。彼は別のクラスの女の子と楽しそうに談笑している姿が中心に映っていた。少しもやもやする気持ちが蘇ってきた。

「別に覚えてないけど。」

自分の勘違いを彼に悟られるのが嫌でそんな嘘をついた。

「俺この後、この子に告白されたんだよ。」

「ふーん。それで結局付き合ったの?」

「付き合ってたらこの後も図書室で、滝山と二人で話したりしないだろ。めんどくさいことになるし」

「…。」

「なんだよ。変な顔してこっち見て。」

言われてみればそうなのだが、それだとまるで私が好きみたいにならないか?いやいやそんなことはない。そんなことを逡巡していて気が付かなかったがぽかんとしていたようだ。彼は少し目が泳いでいるように見えた。

「バレンタインデーかな?」

図書室から窓の外を眺めている写真だったが、誰かがきれいな包装された箱を受け取っている様子が写っていた。

「そういえば渡したことないなー。」

「俺は2人からもらったぞ?」

「聞いてない。」

「誰だと思う?」

「興味ない。」

「母さんと妹からでしたー。いやー校外学習の時は告白されるくらいだったからもらえると思ってたんだけどなぁ」

「何それ。」

そんなやり取りをしていたら勉強している写真が増えていき、高校の合格発表、その次は卒業式。

「普通の中学生活生活だったなぁほんと。」

「そうか?俺は割と楽しかったけど?」

「小杉君の交友関係は知らないけど私はそんなに多くないし波風立てたくない。平穏を享受してたの。」

そう聞いた彼は頭を少し乱暴に搔きながらあきれ顔をしていた。

「滝山って本当に鈍いよな。」

何が?とは聞けなかった。本当は気づいているのに恋愛小説の主人公みたいな態度は私にできなかった。

「卒業するまでにとは何度も思ってたけど、結局最後の最後でも言葉にできなくて後悔していた。キャンプファイヤーの時滝山と居たかったし、バレンタインもチョコもらえないかなとか期待したり。何やってたんだろうな俺。」

「…。」

「ここで滝山に会えたのも滝山が呼んでくれたじゃないかと最初は思って期待した。でも俺が会いたくて伝えたくてここにこれたんだと思う。」

顔を真っ赤にしてみたことない緊張顔で彼は私の目を見ていた。私は目を逸らして彼が言い切る前にこう告げた。

「ごめんなさい。」

自分の伝えたいことを伝える前に回答が来てしまい、頭が追い付いていない様子の彼に私は続けた。

「私も小杉君のことが好き。ここでもう一度会えて話せたこともすごく嬉しかった。でもね。ここは終点なの。あるのは思い出だけで事実しかない。前には進めないし戻れもしない。でも私もそうだったけど、小杉君も私の気持ちを薄々気づいてたんじゃないかな。好きだって。」

彼は深いため息を吐いて、そうだったかもとだけ天を仰いでつぶやく。

「あの時の思い出は私の中でも小杉君の中でも素敵な思い出だったと私は思う。やり取りだって腹の探り合いだって、お互いが好きなのをわかってるくせに言い出せないなんてこれでもかってくらい青春していた。」

「一言いいか?」

「なに?」

「好きだった。」

その言葉を告げるとどこかすっきりした様子で私が好きだった笑顔を浮かべて消えていった。もういない彼に向って私は応える。

「うん。私も。」

前作で名前。今回で苗字がわかりましたね。滝山 いずるが彼女の名前になります。

彼女の容姿については皆さんの好きなように想像してください。

今後容姿に触れるかもしれないですが、解釈違いだと思われても作者の癖だと思って受け止めてくれたら幸いです。

今回は自分もこんな恋愛してみたかったなというのと、告白できなかったあの人にもう一度会えたらというテーマで書いてみました。

皆さんはどんな恋愛してきましたか?

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