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宇宙の終わり

作者: 勝のび太

気が向いたらでいいので良かったら読んでください。

ここは宇宙のとある星、ライズ。この星には4つの島があった。エスト、ウエスト、スュド、ノールである。それぞれの島は自然豊かでたくさんの生物がおり、それぞれに一本の巨大な木が生えていた。レオはエストに住むまだ若い20歳の青年だった。去年、訓練学校を卒業し、狩も一人前にできるようになった。

ある日、レオが親友のカインと共にいつものように狩をしていると不意に地震が襲った。この星は地震とはほぼ無縁で、起こっても一年に一度で、規模も大したことはなかった。だが、今回の地震は違った。レオはその揺れの大きさに立っていられなくなり、転んでしまった。隣を見るとカインも転んでいた。しばらくすると地震はおさまった。

「カイン大丈夫か?」

「あぁ何とかな」

しかし安心したのも束の間、再び地震は起こった。それは地震というより、島ごと何か乗り物に乗ったようなそんな感覚だった。

「ちょっと海を見てこよう」

レオとカインは揺れに耐えながら海岸に向かって走った。すると驚くべき光景を目にした。

島が「進んで」いるのだ。まるで海を渡る船のように。

「何が起きてるんだ?」レオは目の前の光景を疑った。

「とりあえず村に帰ろう」レオに比べカインは冷静だった。

「そ、そうだな」レオは深呼吸をしてから先に歩くカインを追った。

レオとカインは少しの酔いを感じながらも何とか村に到着した。レオは一度カインと別れると家へと急いだ。

「父さん、母さん!」家に着くなりレオは叫んだ。

「レオ!」レオの母親はレオを見るなりレオに抱きついた。

「レオ、無事だったか」家には仕事に出ていたレオの父親も帰っていた。

「何が起こってるの?」レオは聞いた。

「分からない」レオの父親はそう言って首を振った。

「みんな大変だ!」家の外から大声がした。

レオら3人は思わず外へ飛び出した。

「どうしたんだ」レオの父親は聞いた。

「島が生きているんだ!」

「どういうことだ?」

「この島は島じゃない。大きな亀だっだんだ。俺はその頭を見た!」

「どこでだ?」レオの父親は場所を聞くと一目散に走り出した。レオとレオの母親もそれに続いた。

ついた海岸でレオは絶句した。そこにはレオの何十倍も大きな動物の首と頭が見えた。虚な目がギョロギョロと不気味に動いている。レオは足が震えてしまい、その場で立てなくなった。

「おい、あれを見ろ!」レオらと共に来た村のある男が何かを指さして叫んだ。

そこにはもう一匹、いや三匹の巨大な亀がいた。そこからは別の島の人間の姿が確認できた。そう、この星の島の正体は四匹の巨大な亀だったのだ。

亀達は海のある一点に集まり、鳴き始めた。レオは鼓膜が破れるのではないかと思った。すると海に大きな渦潮ができた。

亀達は自ら躊躇なくその渦に飲み込まれていった。

「母さん、父さん!」レオは咄嗟に母親と父親にしがみついたが、強い流れにやられ、手を離してしまった。


それからどれくらい時間が経っただろう。レオが目を覚ますとそこは宮殿のような建物の中で、渦に飲み込まれたはずの亀達が一本の木を中心として輪を作っていた。レオはどうやら無意識のうちに巨大な亀の尻尾に捕まっていたようだ。そこには手を離してしまった母親の姿も父の姿もカインの姿も、そして一緒に渦に飲み込まれたはずの人々の姿もなかった。建物には天井がなく、木は空高く伸びていた。それは亀達の甲羅に生えている一本の巨大な木よりさらに何倍も大きかった。レオはとりあえず亀の尾の影に隠れた。

「おかえり」

レオは最初それがまさか中心の木の発した言葉だとは思えなかった。亀達が答えるように再び鳴いた。すると亀の甲羅に生えていた巨大な一本の木が次第に浮いてきたではないか。そして木々の根の底から光が見えてきた。光の正体は何か宝石のような物質だった。宝石は次第に中心の木に引き寄せられていく。すると中心の巨大な木が裂け始めた。そしてまるで巨大な口のような構造物が現れた。口は宝石達を飲み込んだ。すると中心の木は大きく成長し、逆に亀の甲羅の木は枯れ、地面に倒れた。

その時、亀が尾を振った。レオは尻尾にぶつかり、地面に倒れてしまった。

「ほぉ、運のいいやつ」木がまた喋った。

「みんなはどこだ」

「もう死んだよ」

「なぜこんな酷いことをする」

「それはもうじき君たちの暮らしている第七宇宙が終わるからだ。どちらにせよみんな死ぬのさ」木はそう言って少し笑った。

「お前の目的はなんだ」

「そうだな、私は第七宇宙だけじゃない。他のたくさんの宇宙の始まりから終わりまでを記録している。それを使命に生きているのさ」

「本当に宇宙は終わるのか」

「そう、終わる」

「じゃあ、俺にも見せてくれ宇宙、第七宇宙の終わりを。そして俺も第七宇宙とともに死のう」

「いいだろう」

木がそう言うとまた亀が鳴いた。するとレオの目の前の何もなかった空間に黒い渦ができた。

「第七宇宙が終わるまであと1分だ。急げ」

レオは足早に黒い渦へと飛び込んだ。


気がつくとレオは無重力空間にいた。息を止め、目を大きく見開いた。

宇宙が収束を始める。レオが住んでいた星、ライズはもう消えてしまっただろうか。

宇宙はレオの手のひらにあるちょうど一点に集まった。そしてレオの肉体も次第にその一点に飲み込まれていった。


さよなら第七宇宙。


読んでくださり、ありがとうございます。また気まぐれに投稿します。

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